新聞から

本日付けの日本経済新聞から雑感的に。

 

やはり心配なのは宮崎県の口蹄疫。感染の見つかった農場数は増えていますが、何とかこのまま地域的に封じ込められることを祈るしかありません。大事に育ててきた牛や豚を殺処分する農家の皆様の無念さを思うと、言葉もありません。

ただ、口蹄疫はあくまで家畜の伝染病で、仮に感染した家畜の肉を食べても人にうつることはない(実際には出荷もされていません)という意味で「食の安全」の問題とは違います。この点は多くの消費者も理解していただいているようで、2004年に鳥インフルエンザ(これも家畜伝染病です。)が国内発生した時のような混乱はみられないことは救いです。食肉の供給にも大きな影響は無いようです。

今後、感染経路の特定等が重要になってきますが、この問題の背景には、日本の畜産の飼料自給率は26%(2008年)に過ぎないという事情があります。家畜衛生の面からも、なるべく国内の飼料(飼料米も含め。)で生産できるようにしていくことが求められます。

 

商品面には「中国のトウモロコシ自給策」との記事。すでに大豆の大輸入国に転じた中国が、トウモロコシでも輸入国に変わるのは時間の問題と言われ続けながら、今年度もわずかながら輸出超過とのこと。興味深いのはその要因分析で、1つは貴重な農地の利用は食用のコメや畜産飼料を優先していること、2つは国際市場での大量買い付けは国際価格高騰につながり、アフリカ戦略(資源外交)に支障が出ること等。いずれにせよ、急速な経済発展を続ける人口超大国・中国の動向(思惑)次第で、穀物の国際価格は大きく変動するという現実に改めて気付かされました。

関連して、日本のある大手商社がフランス産穀物の中近東・アフリカ向け輸出に新規参入するとの記事も。目ざとい商社が新規参入するということは、中近東やアフリカでも穀物需要は確実に拡大しており、今後も拡大が見込まれていることの証左でしょう。

さて私たちは、これからも食料の多く(現在は6割)を海外に依存し続けて大丈夫なのでしょうか。

 

社会面には「長寿大国日本、単独首位の座失う」との記事。まだ最長ながらサンマリノに並ばれたとのことですが、かつて国内最長寿だった沖縄の平均寿命が26位に転落(2000年、男性)した背景に食生活の過度の欧米化があったことを思うと、日本も今の食生活のままでは問題が多いのでは・・・。

一方で明るいニュースもありました。消費面にはコンビニ等で魚総菜の人気が高まっているとの記事、「魚離れ」が止まる兆しではと期待されます。企業面には、いくつかの外食産業が共同で食品ごみの本格的な再利用に乗り出すとの記事。生ごみを堆肥化して自社農場で使い、とれた野菜を居酒屋で提供するというもので、飲みに行く店を選ぶときには、安くておいしいだけではなく、こういった店に行きたいものです。

 

食をめぐる記事が、主なものだけでも1日の新聞にこんなに掲載されていました。