春作業の土の感触

 この土日は好天に恵まれ、特に16日(土)は最高気温は24℃まで上がり、まるで夏のような中を、「伊達ツアー」の一環としてさいたま市で開催された「てんつくマン」さんのトークライブに行ってきました。
 かつて赴任していた熊本でも金沢でも、環境関係の活動をされている方からはいつも名前は聞いていて、ブログやメルマガは拝見していましたが、ご本人の話を直接伺ったのは初めてでした。

 元お笑い芸人という経歴もあるせいか、期待以上に面白く、会場は笑いの連続。
 しかし話の内容は、自らの過去のどツボな経験から、最近積極的に取り組んでおられる東日本大震災の被災地支援の話まで、内容としては非常に深刻なものです。
 それを明るく笑いを入れながら話される真摯な姿には、心を打たれました。

 最後には歌手の村上由香さんのミニライブ、新曲の「手をつないで」。
 村上さんは自らも被災地支援に行っておられ、前回はヘドロ出しの手伝いだったけど、次回は歌を届けに行きたいと笑顔で語っておられました。
 
 てんつくマンの 「一人でも多くの人に現地に支援に行って欲しい」との訴えには、自分自身はなかなか踏ん切りがつかないと思いつつ、できることをやっていこうと勇気をもらった2時間でした。

 翌17日(日)も好天。しばらく手をつけていなかった畑へ。

 とうに春作業を始める季節は来ていたのですが、どうも花粉症の季節は屋外で作業をする気が起きません。放射能と違い、スギ花粉は直ちに体調に影響します。
 ようやく訪れた畑(といっても市民農園の一画)は、一面、ホトケノザなど春の野草で彩られていました。セイヨウタンポポやスギナは根が深く、なかなかきれいに掘り出せません。

 結局、草むしりだけで約2時間、暑さとほこりっぽさにまいって、春作業の初日はこれだけで終了。

 それにしても久しぶりの土の感触は、嬉しいものです。

 その嬉しさをしみじみと噛みしめつつ、思いました。

 この東京都下の土壌にも、事故を起こした原発の放射性物質が降下しているのです。
 その量は、東京では健康に影響を及ぼさないわずかなものかも知れませんが、より多くの量の放射性物質に汚染され、農作業ができない地域があるのです。

 私たちは自然の恵みを受け、自然の循環の中で農業や漁業を営んできました。
 ところがこの春、作付や漁ができない農家や漁家の方たちが大勢おられます。その無念はいかほどでしょうか。
 その方々の気持ちを思うと、原発の恩恵を一方的に享受してきた一人として、粛然とならざるを得ません。
 折しも今日、原発事故が安定するには、6~9カ月が必要との見通しが示されました。息の長い話ですが、私たちの全てが正面から向き合わざるを得ない問題です。

 それでも季節は確実に、春から初夏に移りつつあります。

 幼稚園の庭先の山桜、農家の桃、河川敷のセイヨウカラシナが満開です。
 嬉しいニュースも。
 2週間遅れでスタートしたプロ野球、被災した仙台を本拠地とするイーグルスが好調です。岩隈、田中、青山、永井らが好投。山崎や松井も好調。今年こそ「底力」を見せてほしいものです。