言葉の重み

 日本フードシステム学会の2011年度大会は、6月18(土)~19(日)の2日、小雨の降り続く京都大学農学部で開催されました。
初日のシンポジウムのテーマは「食品安全行政と支援科学の役割-レギュラトリーサイエンスを考える-」。レギュラトリーサイエンスとは、科学技術の人間社会への適用のためのルール作りの役割をもつもの。今後、この分野における専門家養成の必要性等について議論されました。

日本フードシステム学会の2011年度大会は、6月18(土)~19(日)の2日、小雨の降り続く京都大学農学部で開催されました。

初日のシンポジウムのテーマは「食品安全行政と支援科学の役割-レギュラトリーサイエンスを考える-」。レギュラトリーサイエンスとは、科学技術の人間社会への適用のためのルール作りの役割をもつもの。今後、この分野における専門家養成の必要性等について議論されました。

 2日目の午前中は「地域ブランドの戦略的課題と新展開」と題したミニシンポジウム。京野菜、和歌山梅などのブランド化に実際に取り組んでおられる実務家の皆さんによる事例報告等がありました。アカデミズムに偏らず、実際に取り組んでおられる方々の話が聞けるのがこの学会の特色、魅力です。
 2日目の午後は個別報告。私からは「日本の輸入食料のフード・マイレージの変化とその背景」と題して、2010年の数値の計算結果と過去との変化、その背景等について発表を行いました(要旨説明資料)。
 18日の午後はシンポジウムを抜け出して、NPO「使い捨て時代を考える会」主催の「脱原発連続講演会(第2回)」の方に参加しました。この日の講師は、村上真平さんと槌田劭(たかし)先生。
 村上さんは、飯舘村で有機農業を営んでおられ、エコビレッジの取組に向けてバンガローの棟上げ当日に被災。その後、避難を余儀なくされて現在は三重県にお住まいとのこと。スライドをみせてくれながらの説明でしたが、小さな子どもたちと写った「最後の家族写真」には胸が詰まりました。
 槌田先生からは、このような事故を起こしてしまったことの無念さと、福島の農家のために自分は福島産野菜を食べるという覚悟等が述べられました。
 「若狭の原発廃止に向け、死ぬまで関西電力と対話を呼び掛けていく」との言葉は、長年にわたり一貫して反原発活動を続けてこられた槌田先生だからこそ、一層の重みがあります。
 前後しますが、6月15日(水)には下北沢で開催された防災トーク「モシモからイツモ そしてコレカラモ」に参加。主催はTBSラジオ番組の Dig と雑誌ソトコト。
 平日の毎日22時からのDigは質のいい番組で、ポッドキャスト配信もあってほぼ毎日聴いていますが、いつもラジオで聴いている神保哲生さん、荻上チキさん、外山恵理さん達を生で見られました。内容も防災への心がけ、震災直後の取材報告など充実したものでした。
 6月16日(木)は「共奏キッチン」というイベントに参加。会場は古民家を改装した「三田の家」。慶応大学の先生や学生さん達が中心となって、地域のコミュニティづくりの場となっているようです。主催者は自称・流れデザイナーの高田あきかずさん
 この日は若い人たちを中心に30名ほどが集まり、みんなで料理を作ってワインなどを飲み、大阪から来られたゲストの上田假奈代さんによる詩の朗読もありました。
 色々な地域で様々な取組がなされています。参加者の皆さんの思いを聞くことができ、心強く感じた夜でした。
 ところで先週は、驚くこともありました。
 東京・京橋で開催された「日本再生と農業」と題された講座に参加した際、説明資料をみるとフード・マイレージのグラフが。色々なところで引用して頂くのは有難いことですか、その資料にはその日の講師のI先生のクレジット。しかも説明でも「自分が作った」と強調され、日本は世界でダントツ一位との説明。
 使用したデータや中国の数字について質問すると、I先生からは「貴方はどう思いますか」と逆質問。ここまで明らかな剽窃、パクリ、居直りを目の当たりにしたのは初めての経験です。
 肩書を拝見すると、日本で最高学府とされている大学の名誉教授、国立研究機関の所長等も務められた立派な方のようですが、農業に対する知識も生半可で、大いに失望させられました。
 研究者にも色々な方がおられるようです。