持続可能性(Sustainability)ということ

natori_convert_20120314231817.png 農林水産省「消費者の部屋」では、16日(金)13時まで特別展示「東日本大震災から1年~復興に向けた農林水産省の取組~」が開催されています。
 東北農政局における支援等の取組のほか、被災地産花きの消費を通じて復興を応援する「飾って応援しよう!~花とみどりで人は元気になる~」のパネル展示等を行っています。
 さて、今から20年前の1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで「地球サミット(国連環境開発会議)」が開催されました(写真は平成5年版 図で見る環境白書)。
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 約180の国と国際機関、NGOが参加し、「環境と開発に関するリオ宣言」やリオ宣言を具体化するための行動計画である「アジェンダ21」が採択されたほか、気候変動枠組条約や生物多様性条約が署名されるなど、その後の世界の環境と開発に関する国際的な枠組みが合意された画期的な会合でした。
 それから20年、世界は「リオ宣言」を受けて持続可能な開発の実現に向けて取り組んできました。
「持続可能性(サステナビリティ)」とは、人間の社会経済活動を環境に悪影響を与えない範囲に留め、将来の世代のニーズを損なわない等の意味です。
 20年目となる節目の本年6月、同じくリオ・デ・ジャネイロで「リオ・プラス20」と称する国連の会合が開催されます。
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 これに向け、様々なグループによる勉強会等が東京でも盛んに開催されています。
 3月13日(火)には、神保町でグリーンエコノミーフォーラム主催のワークショップ「環境・貧困問題解決に向け、経済のあり方を考える」が開催されました。
 まず、國學院大学経済学部教授の古沢広祐先生から「地球サミット20年とグリーンエコノミー ~環境・貧困問題の解決への経済・社会の変革~」というテーマで報告。
 古沢先生によると、この20年、グローバル金融資本主義により歪みを内在しつつ拡大を続けていた経済は破綻、世界の南北間格差と各国の所得格差は拡大しており、さらに冷戦終結後は一時減少していた軍事費も近年は再び増加傾向にあるとのこと。
 そしてポランニーの互酬(贈与関係や相互扶助関係)の概念等を引用しつつ、今後、グリーンエコノミー政策を推進していくことの重要性を強調されました。
 続いて、環境省地球環境局の担当者から「リオ・プラス20」に向けての日本政府としてのスタンス等について説明。
 さらに、一般財団法人CSOネットワーク事務局長・理事の黒田かをり氏から「途上国における社会的課題解決に向けた企業とNGOの連携:その可能性と課題」と題して報告。
 後半は、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の足立治郎氏の司会による意見交換。
 この日の参加者の中には、これら分野で永く活動されてきた方もおられ、積極的な発言が続きました。しかし時間も足らず、次の機会に向けて引き続き議論をしていくこととし、この日のワークショップは終了しました。
 特に大震災も経験した日本は、「持続可能な」社会経済のあり方について、国際的な議論に貢献できる可能性と義務があるものと思われます。
 しかし、そもそも「リオ・プラス20」という重要な国際会議が約100日後に控えていること自体、どこまで一般の人達に知られているのか、疑問を感じざるを得ませんでした。
 この日のように専門家の方達の議論を積み重ねることも必要ですが、もっと一般の市民の方達に分かりやすく伝え、意見交換していくことも重要と思われます。
 なぜなら、持続可能な社会を実現していくのは、最後は、政治でも役所でも大企業でもNGOでもない、「向こう三軒両隣」の普通の人達なのですから。
 さて私自身は、これからも可能な限りJACSESの研究会等に参加して勉強しながら、フード・マイレージを、これまでの「輸送に伴う環境負荷」を計測する限定的な指標から、「持続可能性」の拠り所にもなる指標にブラッシュアップし、意見交換等の参考にしていければと考えています。