日隅一雄さん『「主権者」は誰か-原発事故から考える』

 4月14日(土)はしっかりと雨。この春は土曜日ごとに雨です。気温も前日から大幅に低下。
 表参道にあるクレヨンハウスは、絵本など本の小売のほか、有機野菜等の販売、それにオーガニックレストランが併設されています。
 代表は落合恵子さん。
 先日の「女たちの集い」で初めて講演をお聞きし、感銘を受けてネットで情報収集。するとクレヨンハウスでは、月2回ほど「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」を開催されていることを知り、さっそく出かけてみました。
 勉強会の会場は、らせん階段を降りた半地下のレストランです。こんな日の朝からどの位の人が来ているかと思っていたら、パイプ椅子を並べた会場は100名以上の方で満席。立ち見の方もおられます。
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 この日の講師は、弁護士の日隅(ひずみ)一雄さんです。
 「報道されなかった福島原発事故」というタイトルで、パワーポイントを遣ってお話を頂きました。
 大手マスコミの記者を経て弁護士として活動されていた日隅さんは、昨年5月、末期癌と宣告されました。その後も、東京電力の記者会見など、原発関係の取材を積極的に続けられています。インターネット新聞 NPJ(News for the People in Japan) の編集長でもあります。
 この日の話によると、原発事故でマスメディアが事実と異なった報道をしたのは、日本のマスメディアには編集の自由を守る仕組みがない-独立行政委員会の不在、全国キー局の系列化、広告業界で一業種一社制の慣行が無い-ためとのこと。これらは、いずれも他の先進国にはない日本だけの問題だそうです。
 しかし、日隅さんが最も強調されたのは、私たちが「主権者」として振舞えるか、という問いかけでした。
 そのため、まず判断するために必要な情報を得ること、判断に基づき国会議員を選ぶこと、行政の在り方をチェックするシステムを整備すること等の必要性を訴えられました。
 さらに、「震災や原発事故のことを忘れていけないのは当然のこと。しかし覚えているだけでは駄目。主権者としてどういう行動を取るかが大事」「欧米では民主主義を進歩させていくために制度やシステムを変えてきたが、日本では、そのような努力は全くなされてこなかった」とのご発言も。
 会場の参加者からは、活発な質問が出されました。
 若い女性(たぶんお母さん)の方「原発について当たり前のことを言っていても、回りからは『変な人』と思われかねない。そうだよね、という普通の話ができにくい。友達が減ってしまうかも」
 日隅さんから丁寧なアドバイス。「難しい問題。押し付けることはできない。でも、知れば分かるはず。まずは子どもたちを含めて、リテラシー教育が必要」。
 落合さんからは「変な人と言われることに快感を感じるようになればいい」とのストレートなアドバイス。
 こちらも若い女性「テレビや新聞を見て、報道が変だと思ってもどうしたらいいか分からない」
 日隅さん「すぐに新聞社やテレビ局に電話して下さい。私は携帯に登録していて、すぐに電話をする。メールや手紙でもいい。声を届けることは効果がある」
 会場には、作家の澤地久恵さんも見えられていました。再稼働阻止のためのハンストに、自らも参加されるとのことです。
 講演終了後、新著『「主権者」は誰か」-原発事故から考える』(2012年4月、岩波ブックレット)を求めさせて頂き、ミーハー的にサインまで頂いてしまいました。お身体がどうかと心配でしたが、サインを求める長い行列に、最後までにこやかに、対応されていました。
 イラスト入りのサインもお人柄を表しているようです。本当に闘っている人こそ、普段は殊更に激しい言葉や態度をとることはなく、温厚で穏やかなのかも知れません。
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 翌15日(日)は打って変わってうららかな春の一日。
 久しぶりに立川の国営昭和記念公園に行ってみました。入園無料の日でもあり、5万人以上が来園されているとのこと。
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 ソメイヨシノも、まだ見頃でした。風が吹く度に花びらが舞います。
 花大根の紫、ポピーのオレンジ、山吹やレンギョウの黄色、雪柳の白。1年前を思い出すと、取りあえずは平和な一日でした。
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 この日、南相馬市で1年ぶりに警戒区域解除のニュース。新たに帰還困難区域の決定も。