わたしたちが選ぶエネルギー

 今日6月3日(日)は、予報された雨にはならず、自治会の一斉清掃が行われました。
 側溝の蓋を開けてたまった泥をかき出しましたが、最近はゲリラ的な豪雨も多く、例年より多かったようです。量はともかく、フクシマ由来のセシウムも含まれているものと思われます。
 近所では、今は特に立葵の花が見頃です。紫陽花も色づき始めました。
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 ところで春のG1シリーズ最後を飾る伝統のマイル戦・安田記念は、驚異的なレコード決着。しかし、この記録を単純に喜ぶ気持ちにはなれません。
 先週のダービーの後、何頭もの馬が骨折や捻挫をしていたことが判明しました。今日のレースの出走馬も心配です。馬が故障するような硬い高速馬場に、いったい何の意味があるのでしょうか。JRAは何を考えているのでしょうか。
 さて、昨日の6月2日(土)、阿佐ヶ谷での「食品と放射能」講座の後は、急いでメトロ南阿佐ヶ谷駅から霞が関へ。
 週末の日比谷公園は、普段の平日と雰囲気も違い、野外音楽堂では人気グループのコンサートに若い女性たちの行列ができています。
 この日、日比谷図書文化館で開催されていたのは、NPO法人気候ネットワーク主催の特別シンポジウム「わたしたちが選ぶエネルギー・気候変動対策」です。hibiya2_convert_20120602232146.png
 13:30からの第1部(講演)、14:00からの第2部「政府が示す”選択肢”とその意味」はすでに終了、第3部「話そう、選ぼう、わたしたちの未来」が行われている途中から入場しました。
 壇上には錚々たる方々が並び、すでに熱い議論が闘わされています。
 その方々とは(失礼ながら「さん」づけで紹介させていただくと)、和田武さん(日本環境学会会長)、飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所)、金子勝さん(慶応義塾大学教授)、高橋洋さん(富士通総研主任研究員)、そして浅岡美恵さん(気候ネットワーク代表)。
 いずれの方も、それぞれの専門分野で活動されながら、現在は経済産業省の調達価格等算定委員会、資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会、内閣府の原子力委員会新大綱策定会議など、正に喫緊の課題を議論している政府の委員会等のメンバーにもなっておられます。
 その委員会等でどのような議論が進められているか、議事録等はHPで公開されているとはいえ、雰囲気等は一般人に分かりにくい面があります。
 例えば飯田さんは、自ら参画している総合資源エネルギー調査会での議論が、原発依存度35%の選択肢を削除するか否かという点に矮小化されてしまっていることについて、危機感と反省の弁を述べられていました。
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 原子力委メンバーの浅岡さんは、政府決定されたはずの「原発依存度を下げていく」という基本的な合意さえ、ないがしろにされたまま議論されている現状の危険性を指摘するとともに、選択肢の議論だけではなく、エネルギー使用量を減らすことをセットで考えていくことの重要性を訴えられていました。
 和田さんは、環境学会として脱原発とCO2削減は両立できるとの提言を出していることを紹介しつつ、再生エネルギー(風力や太陽光)が画期的なことは、市民がエネルギーの生産者にもなれることと話されていました。
 なるほど、確かにこれまでエネルギーは与えられるもので、消費者としてもほとんど選択の余地はありませんでしたが、再生エネは自ら生産者になれる(自宅に太陽光パネルを設置する、風車建設に出資する等)という話は、まさに「目からうろこ」でした。
 飯田さんは、自ら主人公になって具体的にアクションを起こすことが大事であり、まずは原発推進派の「トンデモ親父たち」を一歩でも歩み寄らせるために、具体的に行動に移していくこと(閣議決定や法制化に持っていくこと)の重要性を訴えられていました。
 関連して高橋さんは、脱原発などエネルギー政策を選挙の争点にすべき、と訴えておられました。
 そして金子さんは、現下の大学生・高校生の就職難の状況を踏まえ、脱原発による新しいエネルギー政策のもとでの成長を、と訴えられていました。
 皆さん一流の論客であり、かつ政府の委員会等のメンバーとして現在進行形の諸問題に関する当事者としての率直な説明と意見の表明は、なかなか迫力のあるものでした。
 そして、この日の進行役は「おしどり」のお二人(ケンさんマコさん)でした(写真はおしどりさんHPから)。
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 吉本興業所属の「お笑い芸人」が、原発事故以来、東電の記者会見等に張り付き、被災地にも入られ、その情報を分かりやすく提供してくれているのです。専門家でも政治家でもない、私たち「素人」の代表です。
 ちなみに、おしどりのお笑いとしてのネタは、ワイヤー細工を絡ませたアコーディオンによる音曲漫才ですが、これは純粋に漫才としてもなかなか面白いものです。
 また、ともすれば批判されかねない社会的な活動を容認している所属会社の懐の広さも、たいしたものです(もっとも吉本は、暴力団との付き合いとか、生活保護の不正受給とか、所属芸人のワイドショーネタにはこと欠きません。でも不正受給バッシングは変ですね)。
 ともあれ、この日のシンポジウムのタイトルにある通り、自分たちの未来は自ら選んでいく必要があります。
 しかし、エネルギーや原子力、放射能の問題は、専門的で難しく、なかなか一般人には理解できません。だから、これまで私たちは専門家や政治に安易に「お任せ」してきたのです。でもそれは間違っていたことが、今回の震災と原発事故で思い知らされました。
 私たちが主体的に判断できるようになるためには、その材料となる知識や専門用語を、正確に分かりやすく伝え、身近なものとしてくれる人(翻訳者、インタープリター)が必要です。
 おしどりのお2人や、前回の記事で紹介した市民研の上田昌文先生は、そのような貴重な方たちだと思います。
 ますますのご活躍を期待したいと思います。

“わたしたちが選ぶエネルギー” への1件の返信

  1. まとめtyaiました【わたしたちが選ぶエネルギー】

     今日6月3日(日)は、予報された雨にはならず、自治会の一斉清掃が行われました。 側溝の蓋を開けてたまった泥をかき出しましたが、最近はゲリラ的な豪雨も多く、例年より多かっ

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