消費者教育と食-岡山県立大での特別講義-

0831-1_convert_20120904070250.png 8月最終日の31日(金)は、久しぶりに岡山へ。大学の4年間を過ごした地です。
今回は、岡山県立大学の特別講義に招いて頂いたものです。
 朝9時過ぎ東京発の新幹線で岡山へ。車中、昼食には崎陽軒の炒飯弁当。
 岡山から吉備線に乗り換えました。
 2両編成のキハ54型は昔ながらの単色塗装。ワンマン化されていて、乗車は後ろの車両から、降車は最前部からということになっているようです。ドアを開けるのは手動です。
 この日も晴天。古代は吉備王国の中心部であった地は、出穂間近の水田が目に鮮やかです。田んぼをみるとほっとします。ちなみにこの辺りは、秀吉の備中高松城水攻めの史跡もあります。
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 岡山からの快適なローカル線の旅は、残念ながら30分ほどで終了し、目的地の服部駅に着きました。ここは無人駅で、最前部で運転手さんに切符を渡して下車。
 学生さんと、偶然同じ列車に乗り合わせたらしい関西地方の短大のY先生が出迎えて下さいました。
 徒歩数分で岡山県立大です。1993年、岡山県立栄養短期大学を改組し、この地に移転するかたちで設置された大学で、田園風景の中に目新しいキャンパスがあります。
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 今回、お呼び下さったのは、保健福祉学部栄養学科の岸本妙子先生です。
 そしてこの日の特別講義の受講者は、将来、管理栄養士や栄養教諭として活躍する予定の栄養学部生3、4年生を中心に、岡山県立大の教員の方、それに、岸本先生が参加されている共同研究グループの先生方です。
 私からは、いつもの代わり映えしない話ながら、日本人の食が大きく変貌したこと(外部化・簡便化、供給熱量構成の変化)、その結果、健康面、食料供給面(自給率等)、さらには地球規模の資源・環境に対する負荷といった面で悪影響を及ぼしている状況について説明をさせて頂きました[説明資料]。
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 そして、フード・マイレージの考え方と内容を説明しつつ、南瓜(かぼちゃ)を例に、地産地消が輸送に伴う環境負荷削減の効果等について、試算とともに紹介しました。
 つまり、地元産の南瓜を使用すれば、ニュージーランドの輸入品を使用した場合と比べてフード・マイレージは474分の1、輸送に伴う二酸化炭素排出量は34分の1に縮小されることとなるのです。。
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 なお、地元産の南瓜は、伝統品種である「備前黒皮南瓜」と想定しました。写真等は(社)岡山県農協電算センターが運営するウェブサイト「農業ポータルおかやま」の「おかやま伝統野菜」のページから引用させて頂きました。感謝申し上げます。
http://portal.oy-ja.or.jp/dentou/yasai/yasai.htm
 また、フード・マイレージ指標の限界や問題点(輸送機関による違い、輸送部分のみを対象)についても、きちんと説明しました。
 ところで、いつも後悔するのですが、今回も内容を詰め込み過ぎたようです。説明も早口になって、結局、消化不良になってしまいます。実はこの日の朝、パワーポイントのファイルを最終確認していて、将来の食を担って行かれる人たちが対象と思うと、ついつい何枚かスライドを追加してしまったのでした。
 特別講義終了後は、別室で共同研究グループの先生方と意見交換させて頂きました。
 岸本先生始め、関西方面の大学の先生方(専攻は家庭科教育や生活科学)4人のグループで、継続して消費者教育を支援するための教材開発等に取り組んでおられるそうです。
 「あおぞら財団」が開発されたゲームも活用されているとのこと。
 ちなみに消費者教育とは、文部科学省によると、「国民の一人一人が自立した消費者として、安心して安全で豊かな消費生活を営むために重要な役割を担うもの」とのことです。
 文部科学省が2010 年度に定めた「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」においては、消費者教育の目標を、
 ① 基礎的な知識の習得と問題解決能力をはぐくむ、
 ② よりよい社会を形成するために倫理観を持って責任ある行動をとれるようにする、に加え、
 ③ 「消費を、持続可能な社会を実現するための重要な要素として認識し、持続可能な社会を目指してライフスタイルを工夫し、主体的に行動できるようにする」
が掲げられています。
 食について考えてみると、何を選択して食べるかは、日々の消費者一人ひとりの意志にかかっています。
 つまり、エネルギー等と比べると、消費者自らが選択できる余地や裁量性が大きいのが、食の特徴です。例えば、現行では電気の産地(あるいは発電方法)はほとんど選べませんが、食材は産地や生産方法について、かなりの部分、選ぶことができるのです。
 その意味では、食の分野ほど、消費者教育が重要かつ有効な分野はないと言えるのかも知れません。
 この日の特別講義に参加された学生さん達や先生方の、今後のますますの発展を期待して止みません。
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