「原発事故子ども・被災者支援法」をご存知ですか。

130121_1_convert_20130122232926.png 2013年1月21日(月)18:30から四谷地域センター(新宿区内藤町)の集会室において、アドボカシーカフェ「原発事故-子ども・被災者支援に必要な施策を考える」が開催されました。
 主催のソーシャル・ジャスティス基金(SJF)は、市民団体活動に助成することを目的にした市民ファンドで、様々な社会課題とその解決策を議論し提案に繋げていくための「アドボカシーカフェ」を定期的に開催しています。
 私は、昨年11月21日(水)に「有機農業の力と市民の力で新しい共生を考える」(講師:福島県有機農業ネットワーク理事長・菅野正寿氏)とのテーマで開催された時に続き、2回目の参加です。
 この日のテーマは、昨年6月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」について。
 19時前に、東京メトロ丸ノ内線の新宿御苑前駅にほど近い会場に到着すると、30名ほどの参加者が集まり、大河内秀人さん(SJF、江戸川子どもおんぶず、原子力行政を問い直す宗教者の会)の進行の下、パネリストの渡辺瑛莉さん(FoE Japan)の話が始まっていました。
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 FoE Japan は、地球規模での環境問題に取り組む国際環境NGO(世界77ヵ国、サポーター200万人) Friends of the Earth International のメンバーであり、子ども・被災者支援法の策定にも関わってきた団体です。
 渡辺さんによると、この法律は、被災者や支援する市民団体と超党派の議員が一体となって昨年6月に立法化されたもので、被害を受けている子どもや住民に対する「避難の権利」等を認め、健康面や生活面を支えることを目的とした画期的な内容とのこと。
 しかしながら、成立から7ヶ月を経過しているにも拘わらず、未だ基本方針も策定されておらず、具体的な施策の実施は遅れている現状だそうです。
 そして現在、被害者の声を反映させ、より良い内容の支援策の一刻も早い実行に向けて、被災当事者、支援団体などからなる幅広い市民のネットワーク「原発事故子ども・被災者支援法市民会議」が活動していること等について、報告がありました。
 その後、各テーブルでの意見交換の時間を挟んで、増子理香さんからの報告がありました。
 増子さんは、現在、小学校2年生の娘さんと二人で、福島県三春町から東京都下に自主避難されている方です。
 義理のご両親とご主人は、現在も三春に在住されているとのこと。なお、滝桜で有名な三春町は比較的線量は低く、現在も他町からの避難者を多数受け入れています。
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 増子さんの嫁ぎ先は農家で、ご自身も有機農業を営み、近く有機JAS認証を取得予定という時に、事故が起こったそうです。
 そして、自分の野菜を本当に安心して娘に食べさせられるかと自問して作付けは取りやめ、さらに、宅配先からキャンセルも入り、それまでの人生を否定されたような気がしたそうです。
 家庭内では、義母は今まで通りお米を井戸水で炊いて(確かにその方が美味しいそうですが)、自分は娘のために別の釜でミネラルウォーターで炊く。すると夫は「どっちの米を食べればいいんだ」と。
 家族の中で「食べ分ければ良い」という人もいるが、24時間生活する中では現実には不可能で、ぎくしゃくして家族が分断されてしまったとのこと。
 この頃のことを思い出すと、今でも涙が出るほど辛いそうです。
 震災直後の4月、娘さんは地元の小学校に入学。
 ミネラルウォーターを入れた水筒を持たせたのに、学校の先生から「水道の水は安全だから水筒を持ってきてはいけない」と言われ、喉が渇いたのを我慢して、そのまま持って帰ったことがあったとのこと。
 そして、学校では地産地消の給食が続けられ、プールも再開すると言われて、周囲では「安全キャンペーン」が繰り広げられている空気に耐えられず、決心してゴールデンウィーク明けに母子で自主避難したそうです。
 自分はパート、娘は学校と学童保育と往復するだけの毎日。三春で娘と農作業をしていた生活は一変してしまった。娘さんは転校先で「放射能がうつる」といじめられたこともあったそうです。
130121_4.png また、福島県では2年以内に全ての子どもを対象に甲状腺がん検査を行うこととなっているが、ようやく順番が回ってきて3月に福島県立医大まで来るように通知が来たが、交通費は自費であり、かつ、決められた日以外は受け付けないと言われ、困惑しているとのこと。
 自主避難者には情報がなかなか届かず、被災者雇用の情報などインターネット等で自ら収集する必要があったことから、避難者同士で情報を共有することが大事と、仲間達でネットワーク「つながろう!放射能から避難したママネット」を立ち上げられたそうです。
 また、「福島避難者こども健康相談会」(主催:福島避難者こども健康相談会)を定期的に開催、2月10日には調布と亀戸で3回目を予定しているとの紹介もありました。
 そして、子ども・被災者支援法については、ぜひ、自主避難者の意向も汲んだ内容としてほしいとされ、最後には、関東も同じく被災地であり、当事者意識を持って、事故のことを忘れず、支援法の動きもウォッチしてもらいたい、と訴えられました。
 さらに、同じネットワークで活動されている練馬に母子避難されている方からは、小さな子どもがいてパート等に出られないお母さん達のためにアクセサリーやお洒落なマスクを作る取組を行っていること等の紹介がありました。
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 その後、再びグループでの討論等を行い、この日のプログラムは終了。
 都内にも避難されている方が大勢おられることは、知識としては知っていたつもりですが、実際にお話を伺ったのは初めてでした。痛切ともいえる現実に、正直、言葉が出ない思いがしました。
 終了後、増子さんと名刺交換と若干の立ち話をさせて頂き、アクセサリーを購入させて頂きました。
 小学校2年生の娘さんが活発で、他の参加者の人とも楽しそうにはしゃいでいたことが、救いに感じられました。動物が好きで、獣医さんになるのが夢だそうです。
【ご参考】
 ◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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