F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.020

================================================================

◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信− ◇◆◇

     No.20 ; 2013. 5/24(金)[旧暦 卯月十五日]発行

================================================================

 

 去る21日は二十四節気の「小満(しょうまん)」でした。

 木の枝葉がいよいよ繁る時期とされています。

 

 時の流れを感じて頂く一助とするため、旧暦の毎月1日と15日に配信し

ている本メルマガ、今回は卯月(うづき)十五日の配信です。

 


—————————————————————-

  F.M.豆知識

   3 「食の激変」と食料自給率

  (2)食料自給率は「大嘘」?

  フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎

 回少しずつ取り上げていきます。

—————————————————————-

 現在、食料自給率をめぐって様々な議論がなされています。

 

 むろん、日本の食料や農業について幅広い議論が行われること自体は

歓迎されることですが、ともすれば、向こう受けを狙ったような文言の

ものもあります。

 

 例えば「食料自給率は大嘘だらけ」等と批判する論調がありますが、

その「嘘」の内容は、例えば以下のようなものです。

 

(1) 食料自給率には、生産額ベースとカロリーベースの数字がある。

  生産額ベースは高いのに、農水省は低い方のカロリーベースの数値

 しか使わない。

  これは、農水省と農林族議員が、危機感をあおって予算を獲得しよ

 うとしているため。

 

(2) そもそも、カロリーベース自給率という数値は、世界中で日本だけ

 しか使っていない数字。これを用いて国際比較することはナンセンス。

 

(3)「日本は世界最大の農産物輸入国」と言うのは、貿易統計からみると

 真っ赤な嘘。

 

(4) そもそもGDP(総生産)でみれば、日本は世界第5位の農業大国。

 

(5) 自由競争すれば、日本農業も規模拡大が進んで輸出産業にもなる。

 

 これら一見もっともらしい論調は、公平にみて十分に正確なものとは

言えません。

 

 これらについて、次号以降一つずつ取り上げ、できるだけ正確なデー

タを引用しつつ私の考えを述べ、一緒に考えていきたいと思います。

 

—————————————————————-

  オーシャン・カレント −潮目を変える−

 

  食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組

 んでおられる方達を紹介するコーナーです。

—————————————————————-

 「竹さん」こと竹本亮太郎さんは1982年、東京都の生まれ。

 

 東京農業大学(環境緑地学科)在学中から福島・鮫川村等の地域活性

プロジェクト等に関わり、卒業後は国内外で造園・作庭や循環農法等の

技術を習得した後、自然を活用した企業研修や健康管理のプログラムを

提供する(株)キュアリングに入社されました。

 

 ここで、「檜原村休耕地活用プロジェクト」等の事業化を模索する内、

縁があり、自らも移住して農業を始められたという方です。

 

 奥多摩にある檜原村(ひのはらむら)は、東京都では島しょ部を除い

て唯一の村です。

 人口は2500人弱、うち65歳以上の高齢者の割合が45%ほどという中山

間地で、耕地の多くは傾斜地であるため耕作放棄地も増えています。

 

 3年前、竹本さんが移住しようとした当初は、村は受け入れには必ずし

も積極的ではありませんでした。

 そのため、竹本さんはボランティアでの畑の草刈りを申し出、実際に

1年間近く続けたことで、その熱意が認められ、畑も使わせてもらえるよ

うになったそうです。

 

 傾斜地の畑は、ミニ耕うん機は何とか入るものの、ほとんどの作業は

人力によるしかありません。しかも、耕作放棄されていた畑には、丈の

長い草や灌木が生い茂っています。

 ここを開墾し、畑に再生して利用しているのですが、一人の力では限

界があるのも事実です。

 

 そこで、竹本さんは、「古民家再生ゲストハウス化&場づくりプロジ

ェクト」等により、都会の人たちを受け入れての農作業体験イベント等

を積極的に開催することとしたのです。

 「グリーンスマイル」主催の「ゴマ畑プロジェクト」も受け入れてい

ます。

 

 趣味は茶道という竹本さん、きらきらと目を輝かせながら、

 

 「村の魅力は外から来た人間の方が分かる。

  同じ農作業体験でも、都会の市民農園とは違い、自然が豊富で、川

 遊びや観光、郷土料理等も楽しめる。

  都会の人達をどんどん受け入れ、地元の商店でも買い物をしてお金

 を落としてもらい、地域の活性化に取り組んでいきたい」

 

と話されています。

 

 ご関心を持たれた方は、ぜひ、檜原村を訪ねてみて下さい。

 竹さんや地元の方たちが、待ってくれています。

 

(参考)

 株式会社キュアリンク

  http://www.curelink.jp/

 檜原部(HINOHA-LOVE, 檜原村を愛する人の活動)

  https://www.facebook.com/hinohalove

 グリーンスマイル「ゴマ畑を作ろう in 檜原村2

  http://www.greensmile.asia/2013/05/13/goma2/

 

—————————————————————-

  情報ひろば

 

  食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各

 種イベントの開催情報等をお知らせします。

—————————————————————-

 ブログ「伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 

 510日付け]ニイクラファーム見学会−都市農業の香り

   東京・田無にあるハーブ農家を見学する機会がありました。

   住宅に囲まれた農地においては、香り高い都市農業が営まれてい

  るだけではなく、防災など多面的な役割も担っています。

   http://food-mileage.jp/2013/05/10/

 

 511日付け]69(ロック)の会

   59日(木)、東京・神宮前で開催された「69(ロック)の会」。

   マエキタミヤコさん達による環境問題について対話するイベント、

  ユルくも熱く真剣な討議が行われました。

   ちなみに、亀戸の老舗の料理店のお弁当付きでした。

   http://food-mileage.jp/2013/05/11/

 

 514日付け]東京・檜原村でゴマを栽培する意味。

   511日(土)、東京・檜原村で開始された「ゴマ畑プロジェクト」。

   食料自給と都市と農村の格差解消という、現代社会が抱える2つの

  大きな課題に対するチャレンジです。

   http://food-mileage.jp/2013/05/14/

 

 517日付け]食をとおした「縁結び」

   512日(日)に開催された池袋での「えんがわ市」と、三田での

  「共奏キッチン」。

   宮城で復興に取り組む方たちの話も伺うことができました。

   http://food-mileage.jp/2013/05/17/

 

 521日付け]「全快野菜ちゃん」とアベノミクス

   518日(土)に開催されたマルシェとシンポジウム。

   目先の景気回復に浮つくことなく、自分たちにできることを続け

  ていくことの大事さを思いました

   http://food-mileage.jp/2013/05/21/

 

 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

   満席等となっている場合がありますので、参加を希望される方は、

  必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

  フクシマオーガニックコットン JKSKボランティアバス(第1回)

  日時:525日(土)

  場所:福島県いわき市等

  主催:NPO法人 女子教育奨励会(JKSK

  (詳細、お問合せ等

   http://jksk.jp/j/yyp/focJKSKpr120418.pdf

 

 「野菜の学校」特別講座「伝統野菜はおもしろい!」

  日時:61日(土)13:0016:30

  場所:東京ウィメンズプラザ(渋谷区神宮前5-53-67

  主催:NPO法人野菜と文化のフォーラム

  (詳細、お問合せ等

   http://www.yasaitobunka.or.jp/katsudo.html

 

  ゴマ畑を作ろう in 檜原村(2)

  日時:68日(土)9:3017:00

  場所:東京都西多摩郡檜原村(JR武蔵五日市駅集合)

  主催:グリーンスマイル

  (詳細、お問合せ等

   http://www.greensmile.asia/2013/05/13/goma2/

 

  吉田俊道氏講演会「もっと上手に!生ごみ堆肥作り」

  日時:68日(土)13:0017:00

  場所:グリーンパレス(江戸川区松島1丁目381号)

  主催:江戸川区生ごみ堆肥化実践クラブ

  (詳細、お問合せ等

   http://www.city.edogawa.tokyo.jp/eventcalendar/kozakoen/250608eco/index.html

 

 * 次号は69日(旧暦 皐月朔日)に配信予定です。

 

================================================================

 F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 

================================================================

  発行者:中田哲也