しごと塾さいはら「蕎麦の収穫」

 2013年10月27日(日)は久々の秋晴れ。前日午前中までの大雨が嘘のようです。
 抜けるような青空の下、山梨・上野原市の西原(さいはら)地区に向かいました。
 池袋での都市農村交流のセミナーから生まれた「しごと塾さいはら」。
 地元のNPO等の協力を得て、「さいはらの手しごとを学ぶ・手伝う・伝える」をテーマに様々な活動が行われるようになって4年目になります。
 10時10分にJR中央線・上野原駅の改札前に行くと、コーディネート役のSさん(農作業と田舎体験が大好きな若い女性です。)が、一つ早い電車で来て待っていてくれました。
 バスと自家用車に分乗し、さいはらへ。明るい秋の日射しに、山々が輝いています。
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 まず、活動拠点となっている古民家に集合。
 ゲストハウスとして各種イベント等にも使われてきましたが、現在は、移住してきた若いTさん(男性)の住居ともなっています。
 ちなみにTさん、地域の祭り等にも引っ張りだこなど、活躍中とのこと。
 ここで、いつもお世話になっている「畑の先生」・もりおさんが出迎えて下さいました。
 この日の参加者は10名ほど。常連さんもいれば初参加の人もいます。小さな子ども2人を連れて家族4人で参加された方もおられました。
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 他に、長寿食関連のイベント(この西原や隣接する棡原(ゆずりはら)は、長寿の村として有名です。)や鳥獣害に関する現地研修会の下見で見えられていた方達も来られていて、ここで挨拶を交わしました。
 さいはらを舞台に、いくつものプロジェクトが進行しているそうで、Tさんは何組もの訪問者のアテンドでも大忙しです。
 さて、この日の「しごと塾」のプログラムは、蕎麦の収穫です。
 8月に種を播いた秋蕎麦が、数度の台風にも耐え、収穫期を迎えているとのこと。
 作業はまず、刈った蕎麦の束を結わえるための葛(くず)の蔓(つる)切りから始まりました。
 山際にある古民家の裏手は急な斜面ですが、ここに登り、地を這っている葛の蔓を探して鎌で切って集めます。
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 続いて、竹を伐り出す作業に。刈った蕎麦を架けて干すための台(「うま」と呼ぶそうです。)の材料にするそうです。
 裏山を見上げると、かなり高いところが竹林になっています。
 さすがに傾斜が急なため、ここは、もりお先生と、野生児・レンコンマンさん(注:女性)にお任せです。
 ノコギリで伐った直径10cmほどの青竹が倒れ、落ちてきたのを、手繰り渡しながら下の斜面に下ろします。
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 根本に近い曲がった部分は落とし、まっすぐな部分を約8メートルほどで切り揃えます。
 ノコギリやナタの使い方にもコツがあり、もりお先生に教えてもらいながらの作業です。
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 太くて長い2本の竹竿ができました。
 これを前後2人で担ぎ、えっちらおっちらと、干す場所(びりゅう館)にまで運びました。ここで竿を下ろします。
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 地元の観光・交流施設「びりゅう館」の玄関を入ると、展示されている雑穀や昔の農具が目に入ります。
 直売スペースには野菜や雑穀、こんにゃく等の加工品の他、竹細工のかご等が並んでいます。左側はレストラン。研修室も併設されており、蕎麦打ちや竹かごづくりの体験もできます。
 ちなみに傍らには水車があり、ここで実際にひいた蕎麦を頂くことができます。
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 びりゅう館での昼食は、私は、いつもの「欲張り定食」。
 蕎麦のほかに、郷土料理の「せいだのたまじ」(「せいだ」という品種の小さなジャガイモを甘辛く煮たもの)、手作りこんにゃく、野菜の天ぷら、麦ご飯、とろろ芋、サラダまでついた豪華なお膳。これで1500円は高くはありません。
 新しいメニューもできていて、餅粟コロッケというものを食べてみました。「おばく」とは、丸麦を炊いた郷土料理だそうです。
 もりお先生からは、ふかしたサツマイモの差し入れも。
 地元産の食材を、地元のお母さん達が優しく調理して下さる伝統食を頂けるのも、「しごと塾」の大きな魅力です。
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 午後は「しごと塾」で使わせて頂いている畑に向かいます。
 途中、太鼓の音に誘われて旧・西原小学校の体育館を覗いてみると、子どもたちが和太鼓の練習をしていました。
 柿の実はたわわに色づき、お茶の花も咲いています。
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 いつもの畑に着くと、周りがトタンで囲われていたのに驚きました。近年、鳥獣害がますます酷くなっているそうです。隣接する農家の畑の周囲には電気柵が設置されていました。
 さて、蕎麦はというと・・・、
 相次いだ台風のために一様に横倒しになり、白い小さな花をつけている雑草に埋もれています。
 赤い茎が目に鮮やかです。そしてよく見ると、黒い菱形の実が、しっかりとついています。倒されながらも、たくましく実をつけてくれています。
 もりお先生が、刈り取り方と束ね方を実地に指導して下さいます。
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 実が落ちないように丁寧に刈っていきます。
 片手でいっぱいに掴めるほどの束になったところで、午前中にとった葛の蔓で結わえます。葛の蔓はしなやかで強く、かなり力を入れても切れることは希です(たまに切れます)。
 1束を結わえて、蔓を交差させて「ゆとり」の部分を作り、もう一束をさらに結わえます。これで2束が1つになり、竹竿に振り分けて干せるのです。
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 隣の大豆(「せんごく」という在来品種です。)も豊かにサヤをつけていて、いい感じに枯れかかっています。この収穫作業は次回(11月23日頃を予定。)に行う予定です。
 ヤーコンも葉を茂らせていて、掘り出すので楽しみです。
 2人の小さな兄妹は、大きな声を出しながら、雑草抜きを競うのに夢中です。
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 2時間ほどで刈り取りは終了。
 束ねた蕎麦を軽トラに乗せて、びりゅう館まで運びます。畑は、雑草も片づけてきれいになりました。
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 そして、びりゅう館前では、3本の竹を交差させた支柱を立て、それに午前中に切り出した竹を渡して(「うま」です。)、これに蕎麦の束を架けていきました。
 約8メートルほどの竹竿に、蕎麦の束が鈴なりになりました。
 しばらく、びりゅう館を訪れる人たちの目を引くこととなると思われます。
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 最後に、振り返りの話し合い。この日の作業の感想などをシェアしました。
131027_15_convert_20131029000111.png 東京からそれほど遠くないにも関わらず、非日常の楽しさを語る人が多くいましたが、もっとも感銘したのは、お兄ちゃんの言葉。
 実は、ノコギリを使って竹を切ることの楽しさに目覚めた彼は、昼食休憩の時間にも、もらった竹を自分で切り、竹馬の足や花立てを作っていたお兄ちゃん、
 「自分で作ってみて、その大変さと楽しさが分かった」、というしっかりとした言葉に、みんなから拍手。
 再び自動車とバスに分乗してJR上野原駅へ。かなり冷え込んできました。
 上野原発18時前の電車に乗り、19時半頃に帰宅すると、先日の「気仙沼を食す会」の際に注文していたスイサンカトーの「いろいろセット」が届いていました。
131027_16_convert_20131029000132.png イカの一夜干し、秋刀魚のハンバーグ、刻みワカメ・昆布など、しばらく楽しめます。
 この夜のシリーズ第2戦は、田中の完投で1勝1敗に。
 微妙な判定にも執拗に抗議しない原監督の態度には、伝統もありシリーズ常連のチームの風格を感じました。総合力にはだいぶ差があるようです。
 (29日追記:美馬、レイ、斎藤隆の好投で2勝1敗に。)
 
【ご参考】
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