フード・マイレージと「みさを大豆」

 2013年11月16日(土)、朝の便で久しぶりに熊本へ。
 幸い好天に恵まれ、南アルプスの山襞は横からの朝日を受け、コントラストも鮮やかに輝いています。
 西日本は雲が出ていましたが、九州に入ると再び快晴に。上空からの阿蘇の光景も格別です。山肌には点々と紅葉、真っ白い噴煙が上がっているのが望めました。
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 定刻に熊本空港着。
 熊本市は、2005年4月から3年間にわたって暮らした町です。
離任して5年半以上、少しずつ変わっている町の光景を眺めつつ、昼過ぎに「市民活動支援センター・あいぽーと」へ。
 これも住んでいた頃には無かった施設です。
 くまモンの看板に出迎えられて建物を入ると、共有スペースでは、様々な団体がテーブルを囲んで活動中。
 その傍らにあるセミナー室で、この日、「フード・マイレージ講演会」が開催されました。
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 主催は「フード&ライフスタイル協会」。
 代表の毎熊知子さんは、もともと九州農政局在勤中に、食育やリスクコミュニケーション等の関係で色々とお世話になった方。当時は生協の理事をされていましたが、現在は、個人で仲間とともに食べ物や農業に関わる様々な活動をされています(その様子は、翌日、詳しく伺うことができました)。
 その毎熊さんが、今回の講演会を企画して下さったのです。
 共催のフード・マイレージプランナー水と緑ワーキンググループNPOエコパートナーくまもとNPO環境ネットワークくまもとは、いずれも熊本在勤中からお世話になっている市民グループです。
 毎熊さん達と再会を喜びつつ、お弁当を頂きました。
 「とうふ庵うちだ屋」の特製で、厚揚げにネギ味噌を挟んだものなどヘルシーな内容です。
 原料には熊本県産大豆のみを使用し、消泡剤など添加物は使用せず昔ながらの製法にこだわった豆腐屋さんだそうです。
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 徐々に参加者の方達が集まり始めました。
 30名ほどの方が足を運んで下さり、熊本在勤中からお世話になった方達も、多数、参加して下さいました。
 産山村で赤牛を生産されている井信行(いい・のぶゆき)さんも、別の会合から回ってきて下さいました。
 熊本在勤中には何度か産山を訪ね、秘湯・御湯船温泉につかって井さんの「山小屋」に泊めて頂くなど、大変、お世話になった方です。
 14時定刻にスタート。
 私からは「フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える」と題して、食生活の変化、食料自給率、フード・マイレージ、今後の望ましい食のあり方等について説明させて頂きました。
 最後の方では、今回も、ふくしまオーガニックコットンプロジェクトのTシャツを披露(毎度、人前で脱ぐのはみっともないのですが)。
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 後半は「みさを大豆」を使ったお菓子(カップケーキ、ビスコッティ、ブラウニー)とオカラ茶を頂きながらの意見交換会。
 みさを大豆とは、小粒ながら収量は多く味の良い熊本の在来種で、大正時代に阿蘇地方の井上みさをさんが発見した品種と伝えられています。
 県内の生産は次第に少なくなっていますが、熊本県北部の山鹿市にある鹿本農業高校で栽培されており、この日、出して頂いたお菓子とオカラ茶は、その大豆を使って毎熊さんが自ら加工されたものです。
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 意見交換会では、会場から様々な質問や意見が出されました。
 その中で産山村の井さんは、司会の毎熊さんに促され、九州産100%の飼料による赤牛生産に成功したことについて報告して下さいました。
 日本の食料自給率(カロリーベースで39%)が諸外国に比べて極端に低い要因の一つが、家畜の飼料の多くを輸入に依存していることです。地元産の飼料(牧草)主体の畜産は、自給率の向上のみならず、地域の環境や景観の保全にも貢献することを紹介して下さいました。
 最後に「水と緑ワーキンググループ」の大住和估さんから、食と環境に関わる活動を、それぞれの立場で広げていきたい、との発言。
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 終了後は、市内の繁華街・上通にある和食のお店で懇親会。
 お造りやマテ貝の煮物、何と新タケノコまで。温暖な天草地方では11月頃から出荷されるそうです。
 日本酒(霊山と朱盃)も頂きました。一般的に九州は焼酎とのイメージがありますが、熊本には美味しい日本酒もたくさんあります。
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 フグ、ナスと椎茸の炒め煮、締めは柚に詰めた卵ご飯。手の込んだ丁寧な料理ばかりでした。
 改めて、熊本の食の豊かさを実感した次第です。
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 毎熊さんとご子息が、車で県庁近くのホテルまで送って頂きました。
 胸もお腹も一杯になった一日でした。有難いことです。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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