練馬大根引っこ抜き競技大会 観戦記

 2013(平成25)年も12月に入りました。
 平成に入って四半世紀が慌ただしく過ぎようとしています。
 12月1日(日)朝の9時頃、抜けるような冬の青空の下、東武東上線・下赤塚駅に降り立ちました。
 太陽はまだ低く、眩しい日射しを避けるように住宅の間の路地を10分ほど進むと、突然、視界が開けました。家族連れを含めて500人以上の人が集まり、熱気が溢れています。
 7回目(7年目)となる「練馬大根引っこ抜き競技大会」の会場です。
 約4500本の練馬大根が植わっている畑の脇には、本部、受付、特産品販売等のテント。大根を形どった大きな看板も掲げられています。
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 江戸東京・伝統野菜研究会の大竹道茂さんに誘って頂き、今回、初めて参加(見学)することができました。
 好天の下、9時30分からの開会セレモニーは、全員参加のラジオ体操でスタート。
 大会副会長のJA東京あおば・榎本組合長からは、「今日は収穫を体験して頂き、収穫した大根は明日の学校給食に出されます。この競技大会を通じて、食べ物の大事さと、身近に農業があることの良さを肌で感じて頂きたい」との挨拶がありました。
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 続いて、この日のために練馬大根を栽培し、会場として提供して下さった生産者の相原さんから、練馬大根の抜き方についての説明。
 知名度の高い練馬大根ですが、大型かつ中太で収穫に大変な労力がかかるため(一般的な青首大根に比べ3~5倍の力が必要とのこと)、ほとんど栽培されなくなっていました。
 そこを逆手に取って「競技」大会に仕立てたのが7年前(大竹さんも仕掛け人の一人とのこと)。
 毎年、人気は上昇し、今回も参加者を募集し始めてすぐに満員になったそうです。
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 競技大会は2部構成。
 「選手権の部」(15歳以上、男女別)は、時間内に引っこ抜いた大根の本数を競うもの。ただし2本折ってしまうとその時点で失格です。
 「グループ参加の部」はファミリー等5名までが対象。最も長いものの長さを競うものです。
 別に、最も長い大根、重い大根、面白い形の大根等も表彰対象です。
 来賓の方の引っこ抜き体験や選手宣誓に続き、いよいよ女性の部・予選から競技がスタート。
 皆さん、楽しみながらも真剣に大根を引っ張ります。
 次々と抜く上手な方もおられれば、いつまでも抜けない方も(後で私も体験させてもらいましたが、とても簡単に抜けるものではありません)。
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 男性の部は、さらにすごいスピードと迫力です。
 急ぐあまり抜いた大根を放り投げると審判から注意が飛びます。あくまで丁寧に扱うことが求められます。
 畑の南半分では「グループ参加の部」の競技が並行して続けられており、小さな子ども達も、両親の手を借りながら一所懸命に引っ張っています。
 畑の脇にはトラックが着けられ、引っこ抜かれた大根は次々とピストン輸送されています。
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 女性部の皆さんが、参加者に熱い「すずしろ汁」を振る舞って下さいました。
 練馬大根を始め野菜たっぷりの味噌汁に、大根下ろしを載せて頂きます。畑の中で頂く文字通り地産地消のアツアツの汁物は格別です。
 JA職員の皆さんも総出のようです。
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 本部テント脇には豪華なトロフィーや副賞も展示されています。
 「最も長い大根」「最も重い大根」等の候補も、次々と運ばれ並べられます。
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 何しろ500名以上の参加者、予選が終わったのが12時近く。
 そして男女10名ずつによる決勝戦が始まりました(男性の部はサドンデスのプレーオフまでありました)。
 年配の方もすごいスピードです。引っこ抜くのは、若さと体力だけではないようです。
 そして全ての競技が終了。
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 畑に残っている練馬大根については、集計と表彰式の準備の間、「一斉引っこ抜き」の時間に。
 抜き足らなかった参加者も、私のような見学者も、一斉に畑に入って大根を引っ張ります。子ども達からは歓声が上がります。
 私も引っ張ってみましたが、動かすことさえできません。力を入れると途中で折れてしまいました。
 結局、全ての練馬大根はみんなの力で抜き終えトラックまで運ばれました。
 なかなか抜けない大根を、いつまでもつかんで放さない子どもの姿も。
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 そして表彰式。
 女性の部は記録19本(5本のハンデ込み)、男性の部は26本の方が優勝。総合優勝の若い男性の方には、持ち回りの優勝カップの他、トロフィー、副賞(お米、旅行券等)が授与されました。おめでとうございます。
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 現在、食料や農業についての国民的な議論が求められていますが、都市の住民にとって身近な畑で、この日のような農作業が体験できるイベントは、大きな意味があるものと思われます。
131201_10_convert_20131205071701.png 畑の脇では、都市農業をアピールするボードとともに「笑味(えみ)ちゃん」の幟が掲げられていました。
 帰途、お土産の大きな練馬大根とキャベツを抱えて小さな子どもを連れた家族連れとすれ違いました。「抜けなかったけど面白かったね」と満足そうに話し合っていた笑顔が印象的でした。
 
 なお、詳細な記録等は、大竹道茂さんのブログに美しい写真とともに掲載されています。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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