F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.035

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◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信− ◇◆◇

     No.35 ; 2014.1/1(水)[旧暦 師走朔日]発行

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 2014年が明けました。新年のご挨拶を申し上げます。

 今日は旧暦では師走朔日。偶然、元旦の配信となりました。

 

 旧暦(太陰太陽暦)は、季節は太陽の動き、日々は月の満ち欠けに基

づいています。つまり、旧暦を意識すれば、時の流れ、息吹きを体感す

ることができるのです。

 本メルマガは、今年も旧暦の毎月1日(朔日=新月の日)と15日(ほぼ

満月の日)に配信してまいります。

 

 201210月の創刊以来、35号を重ねてきました。これまで読んで下さっ

た皆様に感謝申し上げます。

 今回は特別号として、これまでの内容を振り返りつつ、今後の方向に

ついての抱負を述べたいと思います。

 

(バックナンバーは、以下からご覧頂けます。)

http://archive.mag2.com/0001579997/index.html


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  F.M.豆知識

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 本コーナーでは、フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話

題について、毎回、少しずつ取り上げていきました。

 

 No.1.4では、そもそもフード・マイレージという概念が出できた由

来等について、個人的経験を踏まえて紹介するとともに、続くNo.57

では、農水省・政策研究所で最初に取り組んだ輸入食料のフード・マイ

レージの計算方法と結果について取り上げました。

 

 No.810は、「食をめぐる世界と日本の動き」と題し、世界ではスロ

ーフード運動など食をめぐる大きなうねりが生じていること、国内では

伝統野菜等に対する関心が高まっていることを紹介しました。

 

 No.1118では「フード・マイレージを考える背景」として、日本人の

食料消費の大きな変化(外部化・簡便化、米消費の半減と畜産物・油脂

の消費急増等)とそれが及ぼしている悪影響(肥満、不安感の高まり、

世界的な資源・環境に対する負荷の増大)について整理しました。

 

 続くNo.1626では、「食の激変」の結果の一つでもある食料自給率が

低下してきた要因等について、本指標に対する批判も踏まえつつ整理し

ました。

 

 No.2734のテーマは「日本は農業大国か」。日本は世界第5位の農業

大国であり、規制を緩和し競争原理さえ導入すれば自然に規模拡大し輸

出産業になるといった巷間かまびすしい「日本は農業大国」論を批判し

つつ、日本農業の本当の強み(多彩な風土、高い人口密度)について考

察を行いました。

 

 私たちの食べものと、それを支える農林漁業の現状は、多くの課題を

抱えています。農業政策の見直し、TPP交渉への対応など、大きな変化も

想定されます。

 

 食は誰にとっても一日たりとも欠かせない重要なものであると同時に、

最も身近な、自ら選択する余地が大きいものでもあります。

 考えが浅はかで独善的な点も多々あるかと思いますが、本コーナーで

は、本年も引き続き、食と農に関し、私たち一人ひとりがどのように考

え、行動していくかという視点から、皆様とともに考えていくための話

題を提供していきたいと思います。

 

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  オーシャン・カレント −潮目を変える−

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 このコーナーでは、食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動

や、それに取り組んでおられる方達を紹介してきました。

 各地には、食べものや農業の分野で素晴らしい取組をされている多く

の方がおられます。

 実は、身分不相応にメルマガなどを始めようと思った最大の動機は、

このような方たちの取組の素晴らしさを、より広く多くの方に知っても

らいたいと思ったことです。

 

 創刊号で紹介したのは「共奏キッチン」。ほとんど初対面のような

方たちが一緒に料理を作って食べ、語り合うという取組です。初参加し

た時、食を介在にした新たなコミュニティづくりの取組が都会の真ん中

で行われていることに驚き、感動を覚えました。

 この主宰者の高田彰一さんの思いに触れたことが、本メルマガ創刊の

背中を押してくれたのです。

 なお、主な会場だった「三田の家」(閉家となりました。)は、別途、

No.30で紹介させて頂いています。

 

 本コーナーでは、合計28名の方と6件の取組を紹介してきました。個人

については6割が女性、4割が男性です。食の分野(食育等)に関しては、

やはり女性の方がより積極的ということかも知れません。

 

 「共奏キッチン」を含め、「顔の見える関係作り」に関わる取組を

多数取り上げさせて頂きました。

 「生活文化・地域協同研究会」の菊池陽子さんは、永年にわたって埼

玉県下で農業体験活動等を主催されています(No.5)。塩島由依子さん

は、山梨県上野原市での「しごと塾さいはら」の中心メンバーです

No.2)。池袋で毎月開催されている「えんがわ市」も紹介させて頂き

ました(No.21)。

 埼玉・新座市での「わいがや勉強・交流会」を取り上げたのはNo.4

す。

 

 埼玉・小川町の高橋優子さんは、日替わりシェフの「べりカフェ」運

営のほか、様々な地域づくり活動をされています(No.3)。高橋さんも

関わっておられる「おいしいお野菜届け隊」(CSA)等に取り組んでいる

US.Peace Farm の取組も紹介させて頂きました(No.16)。

 

 「都会と田舎をConnectする(つなぐ)」Greensmile とリーダー・い

まなかてつやさんの活動を紹介させて頂いたのはNo.12です。東京・檜原

村での活動を受け入れて下さっている竹本亮太郎さんも紹介させて頂き

ました(No.20)。

 

 No.34で紹介させて頂いた蔦谷栄一先生は、CSA等に関する研究の分野

でも第一人者ですが、ご自身も山梨・牧丘町で交流活動に取り組んでお

られる方です。

 

 野菜ソムリエでもある金沢市在住のフードライター・つぐまたかこさ

ん(No.17)、野菜ジャーナリストの篠原久仁子さん(No.31)は、それ

ぞれ女性らしい細やかな感性によって、発信を続けておられます。

 また、農業情報総合研究所・植村春香さん(No.22)は、ラジオ番組等

を通じて地元・世田谷を始め全国各地の農業生産現場の情報等を発信さ

れています。

 

 食と環境との関わりという面からは、「きょうと風土(フード)コン

ソーシアム」の西澤浩美さん(No.16)、「金沢エコネット」の中村早苗

さん(No.17)、「CSまちデザイン」の近藤惠津子さん(No.23)、マエ

キタミヤコさん(No.19)達を紹介させて頂きました。

 フード・マイレージ指標も活用頂いている方たちです。

 

 飲食店関係では、全国うまいもの交流サロン・NAMIHEIの川野真理子さ

ん(No.11)、高円寺の魚料理店「うおこう」の松井つるみさん(No.26)、

池袋「たまにはTSUKIでも眺めましょ」の高坂勝さん(No.8)紹介させて

頂きました(No.26)。

 食を通じて、地域づくりや農業等に関わる活動をされている方々です。

 

 伝統野菜や在来作物の復活・普及に取り組む方たちも、多く紹介させ

て頂きました。

 江戸東京野菜は、今でこそ連日のように多くのマスコミで取り上げら

れるなどすっかり有名になりましたが、これは、No.9で紹介させて頂い

た大竹道茂先生の永年の取組に負うものです。関連して、江戸東京野菜

コンシェルジュ育成講座についても紹介させて頂きました(No.7)。

 映画『よみがえりのレシピ』を取り上げたのはNo.6です。

 

 また、料理研究家の酒井文子(あやこ)さん(No.32)は、江戸東京

野菜を使った料理の普及という面から取り組まれています。

 熊本市の北亜続子(あつこ)さんは、熊本の伝統野菜・ひご野菜の普

及のための様々な活動に取り組んでおられ、コロッケ専門店「ひご之す

け」も起業・経営されています(No.25)。

 同じく熊本市で「myくま屋」等を主宰される毎熊知子さんは、料理教

室等の開催とともに、在来種・みさを大豆の加工・販売等にも取り組ん

でおられます(No.33)。

 

 農業生産者の方々も紹介させて頂きました。

 佐賀・唐津の山下惣一さんは農民作家として著名な方です(No.10)。

長崎・佐世保の吉田俊道さんは、生ごみリサイクル元気野菜作りの取組

を全国に広める活動をされておられます(No.18)。茨城県下で新規参入

された有機農家・久松達央さんは飲食店への直販等に積極的に取り組ん

でおられます(No.28)。

 

 震災と原発事故からの復興の関連では、下北沢で「福島オルガン堂」

を立ち上げた福島県有機農業ネットワークと菅野正寿理事長のこと

No.15)、オーガニックコットンの栽培・加工に取り組む「いわきおて

んとSUN企業組合」の吉田美恵子さん(No.27)、新宿で復興カフェ「結」

を立ち上げられた根本二郎さんを紹介させて頂きました(No.29)。

 また、市民科学研究室・上田昌文さんの「親子放射能学習会」の取組

も取り上げさせて頂きました(No.24)。

 

 まだまだ紹介させて頂きたい方や取組もたくさんあります。

 また、今年も多くの方に出会うであろうことを思うと、期待に胸が高

鳴ります。

 

 私などが紹介させて頂くこと自体、僭越のそしりを免れないような素

晴らしい取組をされている方々ばかりですが、少しでも多くの方に知っ

て頂き、ネットワークが拡がっていくことを期待したいと思います。

 

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  情報ひろば

  このコーナーでは、拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に

 関わるセミナーや勉強会、イベント等の情報をお伝えしていきます。

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ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」更新情報

 1223日(月)に開催された「水前寺もやし見学とフード・マイレ

  ージ講座」での説明資料を掲載しました。

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/131223_HigoPPT.pdf

 

 (遅くなりましたが)1023日付け日本農業新聞の記事を掲載しま

  した。フード・マイレージについて紹介して頂いています。

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/131023_nitinou.pdf

 

ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 1217日付け]拡がる「顔の見える関係」

   −小川の野菜、品川マルシェ

  「おいしいお野菜届け隊」、「全快野菜ちゃん」など顔の見える関

 係作りの取組が拡がっています。

   http://food-mileage.jp/2013/12/17/

 

 1220日付け]2013年最後の「共奏キッチン

  自由が丘「シェア奥沢」で今年最後の「共奏キッチン」開催。コ

 ミュニティづくりに貢献しうる食の可能性について考えてみました。

   http://food-mileage.jp/2013/12/20/

 

 1226日付け]年の瀬近い熊本へ。

  熊本で先月お会いした毎熊さんと再会。美味しい天草の魚なども。

   http://food-mileage.jp/2013/12/26/

 

 1227日付け]水の国・熊本

  火(肥)の国・熊本は、地下水に恵まれた地でもあります。

   http://food-mileage.jp/2013/12/27/

 

 1228日付け]ひご野菜見学会(1)

  ひご野菜ブランド協議会の見学会に参加させて頂き、芋の芽、水前

 寺セリ、水前寺ノリの生産者の方を訪ね、説明をお聞きしました。

   http://food-mileage.jp/2013/12/28/

 

 1229日付け]ひご野菜見学会(2)と伝統野菜等への期待

  引き続き水前寺もやしの見学。生産は減少しつつある中、農業高校

 生達の取組を心強く感じました。

   http://food-mileage.jp/2013/12/29/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  締切り等の場合がありますので、参加を希望される場合等は、必ず

 事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

  greensmile新年会in檜原村 〜鍋と盆栽とわたし〜

  日時:2014111日(土)9:3017:00JR武蔵五日市駅集合)

  場所:東京・檜原村

  主催:グリーンスマイル

  (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/606091536095213/?notif_t=plan_user_invited

 

  秋そばづくり第6弾「水車挽き そば打ち体験」

  日時:112日(日)11001630JR上野原駅10:25発バス)

  場所: 羽置の里びりゅう館(上野原市西原6931

  主催:しごと塾さいはら

  (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/426307590830306/?ref_dashboard_filter=upcoming

 

  市民科学研究室「設立20周年記念シンポジウム、交流会」

  日時:118日(土)

     シンポジウム14:0017:30、交流会18:0021:00

  場所:せたがや がやがや館 多目的室(世田谷区池尻2-3-11

  主催:NPO法人市民科学研究室

  (詳細、お問合せ等

  http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/2014/01/11820.html

 

  第12回品川マルシェ「全快野菜ちゃん」

  日時:119日(日)10:0015:00(売り切れ終了)

  場所:品川寺(ほんせんじ、品川区南品川3-5-17

  主催:グリーンスマイル

  (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/790059507677073/?ref_newsfeed_story_type=regular

 

  丘の上より三田の家 三田の家の7年間の活動をふり返りつつ、

   コミュニティや場づくりについて対話する午後

  日時:119日(土)13:0017:30

  場所:コクヨ エコライブオフィス品川(港区港南1-8-35

  主催:共奏事ム局

  (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1394443530803443/?ref_dashboard_filter=upcoming

 

  「日本の田舎を食べて、元気と笑顔を作る」

   わわわwith greensmileプロジェクト キックオフパーティー

  日時:119日(日)15:0018:30

  場所:アームス経堂(世田谷区経堂2-6-1

  主催:wawawa 共催:グリーンスマイル、

  (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/295678637224012/?ref_dashboard_filter=upcoming

 

  下里有機の里づくり講演会「里山から見える未来」

  日時:126日(日)13:3015:00

  場所:小川町農村センター(埼玉県小川町下里459-1

  基調講演:澁澤寿一氏(NPO法人共存の森ネットワーク理事長)

  主催:下里有機の里づくり協議会

  (詳細、お問合せ等

   http://tad-a.com/shimosato/satoyama/

 

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* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 の部分は、全て筆者の個人的なものです。

 

* ご意見、ご質問、投稿等をお待ちしています(本メルマガへの返信

 で届きます)。

 

* 2014年もよろしくお願いします。

  次号は115日(月)(旧暦・師走十五日)の配信を予定しています。

 

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 F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

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