図1-2 1人当たりフード・マイレージ(輸入相手国別)


◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎回少しずつ取り上げていきます。
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5 フード・マイレージ基礎知識
(2) 輸入食料のフード・マイレージ(人口1人当たり)
前回は、日本の輸入食料のフード・マイレージ(食料の輸送量×輸送距離)は約9000億トン・キロメートルと、韓国・アメリカの約3倍、イギリス・ドイツの約5倍、フランスの約9倍と、際立って大きいことを紹介しました(2001年)。

ただし、これはトータルの数字であるため、その大きさは人口規模に左右されます。
2001年の日本の人口は約1億3千万人。これは、アメリカに比べれば2分の1以下ですが、イギリス、フランス(ともに約6千万人)、ドイツ(約8千万人)または韓国(約5千万人)に比べてかなり多いのです。
人口からみても、日本は決して「小国」ではありません。

以下のグラフは、輸入食料のフード・マイレージを人口で割り、1人当たりで比較したものです。

これによると、日本の人口1人当たりのフード・マイレージは約7,100t・km(トン・キロメートル)/人となります。
諸外国と比較すると、韓国は人口が日本の4割弱であるため日本に近くなりますが、それでも9割強の水準です。また、イギリスは日本の5割弱、フランスとドイツは約3割です。
一方、日本の約2.2倍の人口を擁するアメリカの1人当たりフード・マイレージは、わが国の1割強に過ぎません。

また、グラフは輸入相手国別の構成も示しています。
日本は、アメリカからの輸入食料のフード・マイレージが全体の59%、
上位3力国で全体の76%を占めています。
これに対し、欧米各国における上位3力国のシェアは2~5割であり、輸
入相手国は分散していることが分かります。

このようにフード・マイレージという指標でみても、日本の食料輸入
相手国は、特定・少数の国に偏っていることが分かります。
このことは、不測の事態(異常気象による不作、港湾ストライキ等)
を想定した場合、食料の安定供給の観点から好ましいとは言えません。

[参考]
フード・マイレージ関係資料
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html

「食料の総輸入量・距離(フード・マイレージ)とその環境に及ぼす
負荷に関する考察」[農林水産政策研究 No.5, 2003]

クリックしてseisakukenkyu2003-5-2.pdfにアクセス

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