図2-1 食料の輸送に伴う二酸化炭素排出量(試算)


◆ F.M.豆知識
  フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎回少しずつ取り上げていきます。
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5 フード・マイレージ基礎知識
(4) 輸入食料の輸送に伴う二酸化炭素排出量の試算これまで3回にわたり、日本の輸入食料のフード・マイレージ(食料の輸送量×輸送距離)の概要について紹介しました。
総量でも一人当たりでみても、韓国・アメリカ等と比べて最も大きくなっています。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-1_FM1.pdf
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-2_FM.pdf
 
 また、日本の輸入食料のフード・マイレージの大きさは、輸入量の大きさもさることながら、諸外国に比べて長距離を輸送されているという事情を反映していることも説明しました。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-3_FM.pdf

 このように、大量の輸入食料を長距離輸送していることにより、大量の二酸化炭素が排出されています。
 食料の輸送に伴う二酸化炭素排出量は、フード・マイレージ(単位はトン・キロメートル)に、二酸化炭素排出係数を乗じることにより計測されます(詳細は参考2をご覧下さい)。
 なお、二酸化炭素排出係数(単位はグラム/トン・キロメートル)とは、1トンの貨物を1km輸送する際に、何グラムの二酸化炭素が排出されるかを表す係数です。

 輸入食料のフード・マイレージにこの係数を乗じることにより、輸入食料の輸送(海外の産地から日本の輸入港まで。日本国内の輸送の分は
含まれません。)に伴う二酸化炭素排出量が計測できます。
 なお、輸入食料は全量を船舶で輸送するものと仮定していますが、船舶には穀物等を運ぶバルカー(ばら積み船)と、畜産物や野菜を運ぶコンテナ船の2種類があるので、それぞれの係数で計算します。
 また、輸出国内の輸送手段は船舶とトラックが半々と仮定しています。

 試算の結果、輸入食料の輸送に伴い排出されている二酸化炭素排出量は、16.9百万トンと見積もられました。

 これに比べ、日本国内における食料(輸入食料も含みます。)の輸送に伴い排出されている二酸化炭素排出量を、国内の輸送量やエネルギー使用量のシェアから試算すると、約9.0百万トンとなります。

 つまり、日本国内における食料輸送に伴う排出量の2倍近い量を、輸入港に到着するまでの間に地球環境に排出しているという結果となりました。
 この試算の意味や評価については、次回、引き続き説明したいと思います。

[参考]
1 フード・マイレージ関係資料
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html

2 「食料の総輸入量・距離(フード・マイレージ)とその環境に及ぼす負荷に関する考察」[農林水産政策研究 No.5, 2003]
  http://www.maff.go.jp/primaff/koho/seika/seisaku/pdf/seisakukenkyu2003-5-2.pdf

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