図4 輸送機関別にみた二酸化炭素排出係数


◆ F.M.豆知識
フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎回少しずつ取り上げていきます。
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5 フード・マイレージ基礎知識
(7) 二酸化炭素排出係数について
日本の輸入食料のフード・マイレージは韓国・アメリカ等と比べて突出して大きく、大量の輸入食料を長距離輸送する過程で相当量の二酸化炭素を排出しています。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/1-1_FM1.pdf

また、これは家庭でできる地球温暖化防止のための取組に比べても、相当の量に当たります。

そして前回は、食料輸送に伴う環境負荷の低減を考える際に、キーワードとなる「地産地消」の意義について説明しました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/3-1_CHISAN.pdf

今号から数回にわたり、地産地消の取組により、実際にフード・マイレージと二酸化炭素排出量がどの程度削減されるかについてのケーススタディを紹介します。
削減量を推計するために必要となるのが「二酸化炭素排出係数」です。
これについては、前々号で輸入食料の輸送に伴う二酸化炭素排出量(約1700万トン)を紹介した際にも簡単に触れたのですが、ここで改めて説明しておきます。

二酸化炭素排出係数とは、1トンの貨物(食料でも何でも構わないのですが)を1km輸送する際に排出されると見積もられる二酸化炭素の量です。
この係数には様々な推計方法や数字がありますが、ここでは、分かりやすい国土交通省等の数字を紹介します。

これによると、1tの食料を1km輸送する際に排出される二酸化炭素の量は、普通トラックの場合は179.8gとなっているのに対して、鉄道は22.0g、内航船舶は40.4gとなっています。なお、航空は1,461gと格段に大きくなっています。
また、外航船舶については、バルカー(ばら積み船)が9.6g、コンテナ船が20.7gと、一度に運ぶ量が多いこと等から、内航船舶に比べても小さな値となっています。

現在の日本国内における食料輸送の大部分はトラックが担っていますが、トラックは鉄道や船舶に比べて、多くの二酸化炭素を排出することが分かります。
なお、実際の二酸化炭素排出量は、船舶やトラックの大きさ、速度、積載率等により異なりますが、この係数を用いることにより、おおむねの傾向を把握することは可能です。

次回は、この係数を用いて、地産地消の取組によって輸送に伴う二酸化炭素排出量がどの程度削減されるかについて、具体的なケースに即して紹介します。

[参考]
フード・マイレージ関係資料(F.M.豆知識)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data.html

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