「選択除草」ワークショップ

 2014年5月24日(土)は好天の下、東京・調布の京王線飛田給(とびたきゅう)駅で下車。
 変わった駅名(地名)は、奈良時代の荘園制度に由来するそうです。JリーグのFC東京と東京ヴェルディのフラッグが掲げられています。
 歩いてすぐ見えてきたのが「味の素スタジアム」。
 今年はJ1が楽しみな一年になるはずでしたが、昇格を果たした郷土のチームは散々な成績(がんばれボルティス)。ちなみに野球もさっぱり。
140525_1_convert_20140525092636.png
 ということで(?)、この日はスポーツ観戦ではなく隣接する「西スタジアム」へ。
 天然芝の向こうに巨大なスタジアムが望まれます。気持ちのいい景観です。
140525_2_convert_20140525092702.png
 この日、ここで開催されたのは「選択除草」のワークショップ。
 西競技場の周囲の緑地には、武蔵野の希少な野草が植栽されています。ここで、残すべき在来種と除草対象となる外来種を見分けて、手で除草を行うというものです。
 主催は(株)プランタゴ。社名(PLAMTAGO)はオオバコに由来するそうです。
 協力は、ここの施工・管理者である(株)富士植木と、屋上・壁面緑化等の(株)5×緑(ゴバイミドリ)
 10時半に集合したのは40名ほど。
 千葉大学園芸学部のオフキャンパスも兼ねているため大学生・大学院生が多く、園芸関係の仕事をされている方なども。
 プランタゴ代表の田瀬理夫(たせ・みちお)さんから開会の挨拶。日本のランドスケープ・デザインの分野では第一人者の方です。このワークショップは4回目になるそうです。
 富士植木の小島次長、ゲストインストラクターの荒井浩司さん(翠嶺舎植物調査事務所 代表)からも挨拶を頂きました。
140525_3_convert_20140525092722.png
 早速フィールドに出て、荒井さんから草について教わります。
 もとより「雑草」という名前の草はありません。それぞれ名前があり、残す在来種と外来種(帰化植物)の見分け方等を詳しく教えて下さいます。
140525_4_convert_20140525092747.png
 すぐ後で自分で見分けて(選択して)除草するわけですから、皆さん、メモを取るなど真剣です。畑に生える雑草の名前を知りたい程度の意識で参加した身としては、やや圧倒される思いです。
 荒井さんが説明して下さった草に、事務局の方が名前を書いた付箋を張り付けてくれます。青色が在来種(残すもの)、ピンクが除去する外来種です。迷った時は、これらを目安にできるようにとの配慮です。
140525_5_convert_20140525092806.png
 写真が見えにくくて申し訳ないのですが、左からセイタカアワダチソウ、オニノゲシ、ニワゼキショウ類、セイヨウタンポポ。いずれも除草対象の外来種です。
 セイタカアワダチソウは花があると嫌でも目立つのですが。ニワゼキショウは青紫の可憐な花と小さな丸い実を着けています。セイヨウタンポポの在来種との見分け方も教えてくれました。
140525_6_convert_20140525092830.png
 左写真の手前はガガイモ(在来種)、向こう側はタチイヌノフグリとオオイヌノフグリ(いずれも外来種)。中央と左も外来種のヒメムカシヨモギとノボロギク。
140525_7_convert_20140525092853.png
 左は在来種のカタバミ。中央は外来種のオッタチカタバミ。茎が立っているのが外来種ということですが、後で自生しているのを見ると、なかなか見分けられません。
 右はノニガナ。在来種で、「残」「珍」の文字が添えられています。
140525_8_convert_20140525092915.png
 左はオランダミミナグサ(外来種)。次は綺麗なオレンジ色の花をつけるナガミヒナゲシですが、繁殖力の旺盛な外来種とのこと。次のオニウシノケグサも外来種です。
 右の写真の手前はドクダミ(在来種)。奥のヤブカラシも在来種ですが、その名の通り藪を枯らしてしまうほどの繁殖力があるので、今回は除草対象とのこと。
140525_9_convert_20140525092941.png
 と、一通り説明を受けた後、各自、手近なところから「選択除草」。迷ったら声を掛けて下さい、と荒井さんは親切に言って下さいますが、自分には何とも見分けがつきません。荒井さんを始め、多くの慣れている方はどんどん抜いていきます。
 ニワゼキショウは花と実を着けていて分かりやすいため、これから集中的に抜いていくことにしました。 
140525_10_convert_20140525093004.png
 気がつくと12時半になり、45分間の昼食休憩。競技場を眺めながら、それぞれ持参のお弁当やおむすびを広げます。
 スタンドは5×緑システム(保水性のある土壌を入れた金網のカゴを積み上げる方法)により緑化されています。
 この間に田瀬先生に挨拶させて頂きました。岩手・遠野では農業生産法人を設立し馬を飼っておられるそうです。
140525_12_convert_20140525093051.png
 午後の作業再開。作業する場所も次第に拡がっていきます。
 ニワゼキショウはほとんど無くなったので、次はヤブカラシに挑戦。地下茎が地表近くを這っていて、長いものが切れずに掘り出せると、ちょっとした達成感。
140525_11_convert_20140525093027.png
 14時半を回って作業は終了。
 休憩の後、改めて荒井さんに周辺にある植物の解説をして下さいました。
 公園や緑地という言葉には人工的なイメージがありますが、ここでは在来種の木や草を積極的に植栽し、武蔵野の里山の姿を再現しようとしているそうです。 
140525_16_convert_20140525093929.png
 鮮やかな花々も咲いています。
 紫色のアヤメ。日向のキリンソウは黄色い花をつけています。房のような薄桃色の花はウツギ。宝石のようなヘビイチゴ(自生)の実で被われているところもありました。
140525_13_convert_20140525093115.png
 一画に、丸い面白い形のものがありました。
 「バイオネスト」というものだそうで、剪定枝を編んで丸く囲い、その中に落ち葉や除草した草などを積んでおくことで、廃棄物を出さず、良質のたい肥ができるそうです。 
 最後に田瀬さんから閉会の挨拶。次回は秋に開催予定とのことです。
 
140525_14_convert_20140525093139.png
 日射しは強かったものの、木陰では風が心地よく感じられた一日でした。
140525_15_convert_20140525093206.png このイベントを紹介してくれた「たかったー」氏(共奏キッチン♪)と駅前の居酒屋でビール(美味)。
 帰途、乗り換えた京王・府中駅には、翌週に迫った日本ダービーの派手な飾り付け。
追伸
 後日、事務局の方が、対象とした植物の写真集と詳しいリストをメールで送って下さいました。とても覚えられなかったので、大変助かります。有難うございました。
【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキングに参加しています。よろしかったらクリックして下さい。)

人気ブログランキングへ