JKSK ふくしまオーガニックコットン・ボランティアバス2015(第1回)

 2015年6月13日(土)午前7時。今年も1台のバスが、福島・広野町に向けて新宿を出発しました。
 認定NPO法人 女性の活力を社会の活力に(JKSK)が主催するふくしまオーガニックコットン・ボランティアバスです。
 今年から担当になられた柏木智帆さん(元新聞記者、農業関係のライター)から日程等の説明。
 続いてJKSK理事長の大和田順子さんから、この日のボラバスの趣旨等の紹介。
 原発事故直後、いわゆる風評被害で農産物(食べもの)が売れない状況のなか、JKSKが2011年12月にいわき市で実施した車座交流会(復興地の女性リーダーの方々と、支援の志を持つ首都圏のエキスパートとの意見交換会)をきっかけに、綿を植え、製品化までするふくしまオーガニックコットン・プロジェクトが発足しました。
 その綿の栽培をお手伝いするためのボラバスが、2013年から実施されているのです(私も最初の頃から継続的に参加させて頂いています)。
 木全(きまた)ミツ会長からは、JKSKは復興が完了するまで支援を続ける、との力強い言葉も。
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 続いて、FCAジャパン(株)のマーケティング本部長・ティツィアナさんからご挨拶。
 同社では、「Share with FIAT」を合言葉にしたCSV活動(Creating Shared Value、社会共有できる価値の創出)活動に取り組んでおり、JKSKとコラボレーションし、このボラバスも支援対象の一つになっているそうです。
 この日は高校生のお嬢さんと、その友人達も参加されており、国際色豊かなツアーとなりました。
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 続いてマイクが回され、約40名の参加者から一人ひとり自己紹介。
 3歳と5歳の姉妹からシニアの方まで。やや女性が多いようです。地域で綿の栽培を始められた方達もおられます。大学で吉田恵美子さん(後出)の講演を聴いたことをきっかけに参加したという大学生達も。
 リピーターの方もおられますが、被災地や福島に行くのが初めてという方もおられます。
 8時40分頃に友部SAに到着。
 パネルには、常磐道は全線開通している旨の説明。3年前は広野の先で不通となっていました。
 並行する国道6号線が昨年9月に再開通したのに続き、本年3月には常磐自動車道が全線開通したのです。インフラは確実に復興しています。
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 いわき四倉ICで常磐道を降り、広野町のコットン畑についたのは午前11時前。
 遠くに東京電力広野火力発電所の煙突が望まれます。
 原発が停止している現在も火力発電所はフル稼働。福島・浜通りは、現在も首都圏への電力供給基地であることに変わりはありません。
 その手前の平坦地は、かつては水田だったところ。津波の被害を受けて間もない3年前は、一面、消波ブロックの置き場となっていました。
 現在は一部で稲の作付も再開され、防災緑地工事が行われています。新しく建築された復興公営住宅も見えます。
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 バスを降りて畑へ。
 バスから降りる時には一人ひとりに元気に声を掛けて下さった吉田恵美子さん達が、出迎えて下さいました。
 古着リサイクルのNPO(ザ・ピープル)を主宰されている吉田さんは、震災後は復興支援に積極的に取り組むなか、JKSKの車座交流会に参加したのをきっかけにオーガニックコットンプロジェクトに取り組み始めたのです。
 現在は、オーガニックコットンのほかコミュニティ電力やスタディツアーにも取り組むいわきおてんとSUN企業組合の代表もされています。
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 畝には黒マルチが敷かれ、半分ほどはすでに苗が植え付けられています。
 作業を始めておられた地元の方たちとともに、畑の脇に集合。
 福島県富岡土木事務所長から挨拶。市民と協働しながら防災緑地事業を実施しており、来年3月には植樹祭を予定されているとのこと。
 地震と津波で被災された地元の方からもご挨拶を頂きました。
 ずっと栽培を指導して下さっている松本公一さんからは、今日の作業内容等の説明。震災前は楢葉町で水田農業を営んでおられた松本さんは、現在はいわき市に避難されています。
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 この日の作業は、除草から。
 砂地なので比較的簡単に手で抜けるのですが、スギナ等は深く根を張っていて鎌を使います。
 新宿を出た時は曇り空でしたが、真っ青な空が広がりました。
 日射しは強いものの、海の方から霧が流れてきて涼しく過ごしやすい一日です。
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 畑の脇では、銀色のパラソルのようなものが組み立てられています。
 太陽光を集め、その熱で調理するソーラークッカーという器具とのこと。中心に卵を入れた鍋がセットされています。
 昼食休憩の前に、いわきおてんとSUN企業組合のコミュニティ電力担当の島村守彦さんが説明して下さいました。
 神戸で阪神淡路大震災を、移住して来られたいわき市で2度目の大震災を経験されたという島村さん。自然エネルギーで地域に希望の明かりを灯したいと、活動されています。
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 12時前に午前中の作業は終了。50名ほどの人海戦術で、2か所の畑は綺麗になりました。
 心地よい風が通るなか、テントの下で頂く地元産の米で作ったおむすびなどは、この上なく美味です。
 食事をしながら、地元の方から色々と話を伺いました。
 広野町では原発事故後は全町民が避難。現在は帰還が進められているものの、戻っているのは半分程度とのこと。他方、廃炉に向けて多くの原発作業員の方が来られており、町の景色は震災前とはだいぶ異なるそうです(廃炉作業の拠点になっているJビレッジは、ここからほど遠くないところにあります)。
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 梅が青い実をつけています。桑の実は黒く甘酸っぱく熟れています。
 時折、JR常磐線の電車が通ります。こちらは道路と違い、竜田(広野から2駅)から北は今も不通のまま。
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 堤防上の軽トラでは、プロジェクトから生まれた製品(Tシャツ、手ぬぐい、コットンベイブ等)が展示・販売されていました。
 私もアーティストTシャツ(国産綿の生産をボランティアでサポートするアーティストのデザインによるもの)を1枚、求めされて頂きました。矢萩喜從郎さんのサインが入っています。
 
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 13時前に午後の作業を再開。
 午後は、畑の脇に並べられているポットの苗を、畑に定植(移植)する作業です。
 松本さんが自ら実演し、方法を指導して下さいます。
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 まず、器具を使ってマルチに等間隔に穴を開けていきます。ちょっとコツが必要です。
 その穴に手を入れ、ポットの苗が丸ごと入るように深く土を掘ります。移植時には、根を傷めないように気をつける必要があります。
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 開けた穴に、じょうろでたっぷりと水を注ぎます。
 水は、すぐ近くを流れる浅見川からバケツで人海戦術で運ぶのですが、これがなかなかの重労働。男子学生くん達が中心となって率先して運んでくれました。
 川べりに下りてみると、水をくみ上げる小さなポンプがソーラーパネルで動いています。
 水面を覗くと沢山の小魚の姿。かつて津波が逆流して大きな被害をもたらしたこの川にも、自然が戻ってきています。
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 十分に水を注いだ穴に、ていねいにポットから苗を移植し、回りから土を寄せます。苗を植えた部分が周辺より少し低くなるように(水が流れ込みやすいように)整えます。
 最後に、もう一度水を掛けて一連の作業は終了。
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 移植したばかりの苗は、ちょっと頼りなげに見えます。
 果たして秋には無事にコットンができるか、参加者一同、祈るような気持ちです。
 畑のあちらこちらには、昨年、植えたマリーゴールドが金色の花を咲かせていました。害虫の防除に効果があるそうです。
 ハコベ、ヒメジョオンなどの野草も花を咲かせています。
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 15時前、一行はバスに戻り、温泉へ。
 同乗してくれた吉田さんが、広野町やいわき市の現状について話を聞かせてくれました。
 持参し見せて下さった地元紙の一面トップは、前日に公表された「廃炉に向けたロードマップ」改訂のニュース(帰宅してからみると、東京の全国紙では5面でした)。中面には、空間線量の詳しいデータ等も大きく紙面をとって掲載されています。
 福島では原発事故被災は終わっていないと、吉田さんは強調されました。
 一方、嬉しいニュースとして紹介して下さったのは、富岡町からいわき市に避難されている方たちが「みんなの畑」で綿を栽培し始めたということ。
 日頃、狭い仮設住宅で声をひそめるような生活をされている方たちの、明るい笑顔と歓声が印象的だったそうです。避難が長期化する中、避難先で新しいコミュニティが生まれつつあります。
 「震災から4年3ヶ月。解決されない課題もたくさんあるものの、着実に前に向いて進んでいます」と、吉田さんは強く語られました。
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 15時半前にはかんぽの宿いわきに到着。
 温泉で私たちは汗を流すのですが、話を聞かせて下さるために来て下さった吉田さんとは、再会を期してここでお別れです。
 少し戻って道の駅よつくら港へ。ここも津波で大きな被害を受けました。
 かさ上げして再建された施設の柱には、子ども達の応援メッセージのパネルが貼られています。
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 2年前に来た時は、港湾の区域内にはおびただしい数の漁船の残骸が積み重ねられていました。今はきれいに片づけられ、その面影は伺えません。
 バスに戻り、一路東京へ向かうバスの中で、地酒・又兵衛のワンカップと金目鯛の押しずし。
 再び一人ひとりにマイクが回され、本日の感想などをシェアしまた。現地との繋がりを継続させていきたい等のコメントが、多数、ありました。
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 渋滞もなく、21時前に新宿に到着。再会を期して解散しました。
 今年のJKSKボランティアバスは、あと9月12日(土)と11月22日(日)に予定されています。
IMG_0885_convert_20150620225104.jpg 翌14日(日)、自宅近くに借りている市民農園に行ってみると、こちらにも綿の芽が一斉に出ていました。昨年、いわきから頂いてきた種から栽培し、できたコットンから種を採って播いておいたのです。いわきから数えて3代目です。
 中には、綿帽子を被っているものもありました。まるで可愛い花嫁さんです。
 偶然ながら、季節は6月(ジューン・ブライド)。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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