図30 収入階層別にみた品目別支出額の特化係数


◆ F.M.豆知識
 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 2005年を底にエンゲル係数が上昇に転じている要因として、本稿では、国際需給動向と円安を反映した輸入食料品価格の上昇、食生活のパターンの変化(欧米化、外部化等)を説明してきました。

 一方、総務省『家計調査』により収入規模別にみると、現在の日本でもエンゲル係数が成り立っていることを、前回、紹介しました。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/29_shotokukaisou.pdf
 
 それでは、収入規模別にみて、食料費に対する支出にはどのような特徴があるでしょうか。
 リンク先の図30は、総務省『家計調査』(2人以上、勤労者世帯)により、食料費支出に占める主な品目毎の支出割合について、収入五分位階級別の特化係数を示したものです(1.00より高い品目は、相対的にその品目に対する支出割合が高いことを示しています)。

 これによると、まず、収入が最も高い階層(906万円以上、青い線)では、外食に対する支出割合が相対的に高くなっており、その分、他の品目は総じて低くなっていることが分かります。
 一方、収入が最も低い階層(436万円未満、赤い線)では、外食への支出割合が低くなっている一方、米に対する支出割合が高くなっています。
これは、収入が低くても必需財的な品目に対する支出は減らないという、エンゲルの法則を反映したものと考えられます。
 ところが同時に、収入の低い階層では、カップめんに対する消費支出が相対的に多く、また、調理食品(弁当など)に対する支出割合も高くなっています。さらには、外食への消費は少ないなかで、ハンバーガーに対する消費支出の割合だけは、高収入層よりも高くなっています。

 このように、収入の低い階層においては、特定の品目について「外部化・簡便化」が進んでいることが伺えるのです。

[出典等]
 総務省『家計調査(家計収支編)』(二人以上の世帯、2014年)
  http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001135068

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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