図33 米、パン、カップめん等に対する支出額(都市階級別)


◆ F.M.豆知識
 食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
—————————————————————-
 本稿では、近年のエンゲル係数の上昇をきっかけに、主に総務省「家計調査」のデータを用いて食料消費の変化の状況について紹介してきました。
 そして前回は、2年ほど前からパンに対する支出額が米への支出額を上回るようになっていることを説明しました(消費「量」については、依然として米の方が多いことも併せて紹介しました)。

 今回は、主食に対する消費支出額が、都市と農村でどのような状況になっているかをみてみます。

 リンク先の図33は、2014年における米、パン及びカップめん等(カップめん及び即席めん)に対する世帯員1人当たりの消費支出額を、数量と価格に分けつつ、都市階級別にみたものです(全国平均=1)。
 なお、「大都市」とは政令指定都市及び東京都区部、「中都市」とは大都市を除く人口15万以上の市、「小都市A」とは人口5万以上15万未満の市、それ以外が「小都市B・町村」です。

 このグラフによると、米に対する支出額は大都市から農村にいくに従って減少しています。これは、米の価格が農村部ほど低くなっていることを反映したものです(消費量は小都市Aで最も多くなっています)。

 次に、パンに対する消費額をみると、これも農村部ほど少なくなっていますが、米と違って価格に大きな違いはなく、農村部における消費量の少なさが支出額の少なさに直結していることが分かります。

 これら米とパンに対する消費についての都市部と農村部の特徴は、ほぼ予想できるものです。
 やや意外だったのは、カップめん等の消費です。
 これについては、農村部ほど支出額が大きく、かつ、消費量も多くなっているのです。以前(No.69; 2015.5/18配信)、食生活の欧米化・外部化は高齢世帯においてより大きく進んでいることを指摘しましたが、カップめん等に代表される食生活の簡便化は、都市部よりも、むしろ農村部で進んでいるというやや意外な結果が、伺われるのです。

[出典等]
 総務省「平成26年家計調査」
 (都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり支出金額,購入数量及び平均価格)(2人以上の世帯)
  http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001129409

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

—————————————————————-