大賀米づくり隊(仮称) 稲刈り @ 新潟・上越

 2015年度の前半最後の週末、9月26日(土)は朝6時に高田馬場へ。
 好天続きだったシルバーウィークが終わったとたんに天気は下り坂。この朝も小雨模様でとょっと心配。というのも、これから有志のグループ「大賀米づくり隊」(仮称)で、新潟・上越市の大賀地区に稲刈りに行くのです。
 「たかったー」号に4名で同乗させて頂き、関越自動車道を一路、北上。
 途中、上里SAで地粉うどんの朝食。混んでいます。どうも天気はすっきりせず、上州の山にも厚い雲がかかっています。
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 途中、若干のアクシデント (T_T) はあったものの、予定通り六日町ICで高速を降り、松代の素敵な酒屋さんで日本酒を、そして青空市場(上越市大島区)で昼食等を調達。
 何とか雨は上がっています。
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 稲刈りは午後からになるとの連絡もあり、少々遠回りすると(道を間違えただけ?)、素晴らしい杉の大樹に出会えました。
 白山神社の境内にそびえていたのは「虫川の大杉」。樹齢1200年と推定され、国の天然記念物に指定されているとのこと。雨上がりでもあり、杉の根本回りの苔も素晴らしい美しさでした(ここで仕入れたネタは、追って「コツコツ小咄」で披露する予定)。
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 11時過ぎに大賀集落の集会所に到着。
 私は昨年9月の稲刈り今年5月の田植え以来です(夏の草取りは欠席)。今回もお地蔵さまが出迎えて下さいました。
 三々五々、20名ほどの参加者が東京や神奈川から集合。
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 毎回、お世話になっている地元の農家・Nさん(師匠)が、ナラタケを持って顔を出して下さいました。
 田植えの時にはベビーカーに乗っていたS子ちゃん(1歳)は、お母さん、お祖母ちゃんと一緒に、田んぼの向こうの家から歩いてきました。この時、奇跡が。S子ちゃんの笑顔につられるように、雲が切れ、陽が射してきたのです。
 その後は各自、午後の作業に備えて腹ごしらえ(私は青空市場で買ってきた「くびきの押し寿司」と唐揚げ)。
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 13時前、集会所裏の急な道を歩いて下り、いつもの田んぼへ。棚田のうち2枚で稲作体験をさせて頂いています。
 5月に田植えした棚田は、一面、黄金色です。
 今回は、周囲(畔ぎわ)の2~4条を手刈りし、残りはバインダー(かなりの年代物のようです。)を使うことに。
 師匠が手本を見せて下さいます。 
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 その後、それぞれ思い思いに田んぼに散って作業を開始。
 4株ずつを束にして鎌で刈り、もう一束を交差させるように重ね並べていきます。
 ざっくりと刈る鎌の感触。日向の芳香が鼻腔をつきます。よくぞ、晴れてくれました。
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 バインダーは男性が交代で操ります(機械オンチの私はパス)。
 数日来の雨で田んぼはぬかるんでいて、方向転換など一苦労のようです。
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 手刈りした稲株は、稲藁で束ねていきます。
 師匠と、師匠の奥さんに教えてもらうのですが、これがなかなか難しい(昨年も教わったのですが)。
 まごつく私達を尻目に、師匠ご夫妻は素早く、しかも美しく束ねていかれます。神業のようです。 
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 一段、下にある田も同様に、手刈りとバインダーの併用で作業を進めていきます。
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 次第に、田んぼの地面が広くなってきました。
 さらに16束を一つにして、今度は太いロープで縛っていきます。これもなかなかコツと体力が必要です。
 そのおおきな稲束を四駆の軽トラに載せ、稲架(はさ)がけする場所まで何度かピストン輸送。
 15時半頃、2枚の棚田の稲刈りと搬出が完了。
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 稲架かけするのは、風通しのいい高い場所です。
 黄金色の稲穂の絨毯が何層にも連なっています。息を呑むような美しい光景です。
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 師匠にやり方を教わり、稲束を2股に分けるようにして、3段になった木枠にかけていきます。
 渡す人と架ける人と、2人で分担した方が早いようです。
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 17時頃には、稲架がけ作業も完了。昨年の稲刈りは2日に渡ったのですが、今回は一日で終了しました。
 師匠ご夫妻はもとより、回復した天候にも(陽射しを連れてきてくれたS子ちゃんにも)感謝。
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 この後、参加者の半数ほどは(私も)近くの温泉施設で汗を流した後(この間も料理の準備をして下さったみなさん、有難うございました。)、集会所で懇親会。
 師匠ご夫妻、師匠の弟さん(東京在住)、S子ちゃんもお父さんとともに顔を出して下さいました。
 テーブルには、地元の食材等を使った料理の数々。師匠のほか、ご近所の方からの差し入れも。
 松代で調達してきた日本酒・吟田川(ちびたがわ)も美味でした。
 懇談は、日付が変わる頃まで(たぶん)、続きました。
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 ここ大賀に来るたび、多くのことを学ぶことができます。
 稲架がけが終わった後、師匠から「藁が染む(わらがしむ)」という言葉を教えてもらいました。
 現在、稲の収穫・調製作業については、コンバインで刈り取ると同時に脱穀し、ライスセンター等に運んで人工的に乾燥させるのが一般的です(品質も均一化します)。経済的な価値に乏しい藁は、切断されて田んぼに放置されます。経済性、効率性の観点からは合理的な方法と言えます。
 しかし、刈った直後の稲は、まだ生きています。
 それを稲穂を下にして稲架にかけることによって、茎の中に残っている栄養分等が徐々に稲穂の籾に移行していきます。このことを、「藁が染む」という言葉で師匠は表現されたのです。
 籾は、茎の養分を吸収しつつ天日で時間をかけて乾燥していくことで美味しいお米になります。一方、茎(藁)の方はカラカラに乾燥して様々な資源として活用され、化石エネルギーの使用量も少なくてすむというメリットも無視できません。
 ただ、20人ほどがこの半日をかけて収穫した米は300~350kg程度。年間の平均消費量からすれば、5~6人分にしか過ぎません。そのことを思うと、食料の安定供給という観点からは、どちらの方法が絶対的に優れているとは断じることはできないのです。
 大賀に来ると、様々なことを教えて頂き、考える機会にもなります。有難いことです。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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