図39 米の作付規模別生産費と農家手取り価格


◆ F.M.豆知識
  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 本欄では、ある新聞の社説をきっかけとして、前回から米の価格と水田農業について取り上げています。
 前回は2015年産米の価格(相対取引価格)は前年産米に比べて1,000円ほど高くなっているものの、2013年産米以前の水準までは必ずしも回復していないことを紹介しました。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/38_aitai.pdf

 今回は、この米価の水準を農家の米生産費と比較してみます。
 農林水産省「農業経営統計調査-平成26年産 米生産費」によると、2014年産米の60kg(1俵)当たり全算入生産費(資本利子・地代算入生産費)は平均で1万5,416円となっています。
 内訳をみると、労働費、農機具費等が大きな額となっています。

 リンク先の図39の棒グラフは、これを作付規模別に示したものです。

 これによると、0.5ha未満の小規模層においては2万5,510円と平均より65%高くなっていますが、規模が大きくなるに従い生産費は下がり、15ha以上の大規模層では1万1,558円と平均を25%下回っています。
 このように、米生産については明らかな「規模の経済」(規模拡大による生産費低減効果) が認められます。ただし、5haを超えると低下する度合いは小さくなっています。

 それでは、この生産費は価格と比べるとどのような水準にあるでしょうか。
 青い破線が前回紹介した相対取引価格(2015年産米、2015年9月) で、全銘柄平均で1万3,178 円となっています。これはJA全農等が卸売業者等に販売する際の取引価格ですので、ここから流通経費等(2,600円と仮定)を差し引いた額(1万578円、青い実線)が生産者の手取り価格となります。

 これを棒グラフと比べると、大規模層においても農家手取り価格が生産費を下回っている状況が分かります。つまり現在の米価の水準では、規模拡大を進めてコスト削減に努めてもコスト割れとなっているのです。
 なお、米農家に対しては、収入減少影響緩和対策(いわゆる「ナラシ対策」)、直接支払い交付金といった助成制度があります。これらによる補てん後の農家手取り価格は1万2,960円(試算、赤い実線)となり、5ha以上層では何とか利潤が出る状況となっているのです。

[出典等]
 農林水産省「農業経営統計調査 平成26年 米生産費」
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/seisanhi_nousan/pdf/seisanhi_kome_14.pdf

 農林水産省「米穀の取引に関する報告」
(農林水産省ホームページ「米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等」)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001129409

FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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