奥沢ブッククラブ(第2回)

 2015年11月30日(月)。晴れ。
 朝、自宅近くの市民農園に立ち寄りました。大根、白菜、小松菜、カリフラワーなど冬野菜がどんどんできています。
 伝統大蔵大根を1本収穫。
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 その大根を抱えて夕方向かったのは、久々のシェア奥沢(東京・自由が丘)。
 多摩美大教授・堀内正弘先生が自宅の一部を改装して開設・運営されている様々なコミュニケーションの場です。
  (堀内先生はお忙しく、この日はお会いできませんでした。)
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 この日開催されていたのは、「奥沢ブッククラブ」の第2回
 別のイベントで一緒だった読書好きな方たちが意気投合して始められた「まだ出会っていない本、まだ出会っていない人との出会いを大切にする会」で、これまで10月5日に第0回(キックオフ)、11月30日に第1回が開催されたとのこと(この時の課題図書はアゴタ・クリストフ『悪童日記』)。
151130_3_convert_20151205223920.jpg 読書会の前に軽く食事をして、くつろいだ雰囲気で1冊の課題図書を中心に感想や意見をシェアするという会のようです。
 19時前に着いた時は、皆さん、ちゃんこ鍋と白菜のサラダをつつきながら歓談中。
 参加者は10名 (女性3名、男性7名)。 私も冷蔵庫から缶ビールを取り出して(実費)頂きました。鍋は暖まります。
 19時を少し回ったところで、ブックカフェ本体のスタート。
 進行役のシゲさん(シェフも兼ねておられます)から、
 「自分も高校2年までは陸上競技に夢中で全く本を読まなかった。読書とは基本的に孤独な作業。課題図書を決めてあらか じめ読んできてもらい、月1回程度、こうやってリアルに集まる会を開催している」と、会の趣旨等を説明して下さいました。
 ちなみに今回の課題図書は中勘助『銀の匙』。
 続いて、1人3分程度で「オススメの本」の紹介(メモを取り切れてないかもしれません)。
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 私同様、初参加という男性からは壺井栄の短編『坂道』。
 続いて朗読の活動をされている女性からは、「匙」 つながりで辻村深月『ぼくのメジャースプーン』。そしてロジャー・メイダーの絵本 『てっペんねこ』を朗読してくれました。傷つきながら成長する姿が『銀の匙』の主人公 に相通ずるという感想です。
151130_6_convert_20151205224127.jpg 私からは、荒川弘の同名コミック『銀の匙』と、厚かましくも拙著『フード・マイレージ』を紹介。こちらはシェア奥沢の本棚に寄贈させて頂きました。
 隣の男性は、ヘンリー・ミラー『わが読書』、ケン・キージー『カッコーの巣の上で』、ローズマン・ブリッジ『マディソン郡の橋』の3冊を推薦して下さいました。
 次の女性からは大瀬敏昭『輝け!いのちの授業』とスーザン・バーレイの絵本『わすれられないおくりもの』。
 ブックカフエに参加するようになってから読書に目覚めたという男性からは、雨月衣『いにしえからのラブレター』。
 福祉関係の仕事をされているという女性は歌川たいじのコミック『母さんがどんなに僕がきらいでも』。生活保護の相談窓口をされていた時に出会い、希望をもらったという本だそうです(私も、後日、読みました)。
 続いて男子大学生のIさん(このブックカフェのFB等を管理をしてくれています)は、松岡正剛 『多読術』と、甲野善紀、茂木健一郎『響きあう脳と身体』を紹介してくれ ました。
 次の男性からは森絵都『犬の散歩』、保坂和志 『プレーンソング』、デイヴィッド・イー グルマン 『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』、それにサンテグジュベリ 『夜間飛行』。
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 最後にシゲさんからは、ロアルド・ダール『あなたに似た人』、フォレスト・カーター『リ トル・トリー』。
 続いてもう1冊、『銀の匙』を3年間かけて読む「スローリーディング」 を実践した高校での授業の記録・橋本武『奇跡の教室』を紹介されたのをきっかけに、後半の課題図書をめぐる感想等の話し合いに。
 さまざまな感想や意見が自由に出されます。
 「『銀の匙』にはストーリーがない。最初、ストーリーを追って読もうとして苦労した」
 「その一方で、花や駄菓子など、記載は極めて詳細。知らない言葉が出てくるとネットで調べながら読んだ。今はすぐにネットで調べることができる。子安貝がこんなに締麗な貝だとは知らなかった。」
 「子どもの頃の記憶をこんなに鮮明に覚えていことに驚いた」
 「この本によって、一行一行、一文字一文字を追うスローリーディングの楽しさを知ることができた。今後、本の読み方が変わってくると思う」
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 「『銀の匙』は成長の物語」
 「育ててくれた伯母さんの影響が大きい。伯母さんは百人一首をそらんずるなど博覧強記の人。主人公は、幼いころから伯母さんから様々な話を聞きながら成長した」
151130_9_convert_20151205224256.jpg 「主人公は体は弱かったが、芯が強かった様子が伺える」
 「後半の大和魂をめぐって教師と対立する場面など、よく、当時の新聞に連載されたとさえ思う」
 
 この日はIさんの誕生日だったそうで、途中、サプライズでケーキが差し入れらりたりと、予定の21時が近付いても、なかなか話は尽きません。
 最後に次回の日程と課題図書について相談した結果、第 3回奥沢ブックカフェは12月18日(金)18時30分からとなりました。忘年会も兼ね、よりフリーな会になるとのこと。食事は1人1000円程度(学生は500円)で持ち寄りです。
 課題図書は辺見庸『もの食うひとびと』
 好著です。ただ、みんなで食事しながら読む本としては・・・?。
151130_7_convert_20151205224149.jpg 本を読むのは嫌いではありませんが、どうしてもジャンルなど限られてきます。この日、多くの興味深い本が紹介されました。少しずつ、気になったものから読んでいこうと思っています。
 手始めに、歌川たいじの『母さんがどんなに僕がきらいでも』を読んでみました。コミックエッセイ版と、文章化したもの(手記)の2種類があります。
 母親との葛藤や虐待など心が苦しくなるような場面が続き、その中でも「おばあちゃん」など回りの人との触れ会いを通じて成長していくという自伝です。
 これまで、深く考えたことのない世界を知ることができました。ブッククラブに参加したお陰です。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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