図46 圏域別にみた人口増減数及び東京・地方圏の人口増減率


◆ F.M.豆知識
  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 【尖鋭化する一極集中】
 前々回は半ば冗談ながら、牛1頭当たり、森林面積当たりの「一票の格差」を計算してみたところ、それぞれ1100倍、140倍という大きな格差があり、日本の国土はバランスがとれていないのではないかと問題提起しました(表44)。、
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/44_kakusa.pdf

 また、前回は、大都市圏への人口集中の状況について国際比較を試みたところ、日本の東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は世界の中でダントツの大都市圏であることが明らかとなりました(図45)。
 日本は国土、特に平地面積が狭いという制約があるとはいえ、日本の一極集中の度合いは諸外国と比べても特異と言わざるを得ないようです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/45_daitosi.pdf

 今回は、先日、2015年値の速報が公表された総務省『国勢調査』により、人口の一極集中の経緯を概観します(図46)。

 図46の棒グラフは、圏域別の5年ごとの人口増減率を示したものです。
 これによると、高度経済成長期の初期(1970年頃まで)は地方圏(2015年における人口が下位20県)の人口減少と、三大都市圏(東京圏、中部圏及び大阪圏)への移動がみられましたが、70年代に入ると、日本全体の人口が増加するなか、地方圏でも人口が増加あるいは横ばいとなり、「国土の均衡ある発展」がある程度は実現しかけていました。

 ところが2000年代に入り、再び地方圏の人口は減少し始め、しかも減少のペースが加速しているのです。さらには、中間圏(三大都市圏及び地方圏以外の道県)の人口も減少に転じています。
 一方、大都市圏への人口移動の状況をみると、2000年代に入ると大阪圏や中部圏への人口流入は頭打ちとなっており、東京圏のみに集中するようになっています。そして、特に直近(2000〜05年)では、実に東京都のみが増加しているという状況です。

 東京及び地方圏の人口増減率(折れ線)をみても、最近は、地方圏での人口減少が再び加速し、東京都のみに人口が集中するようになっていることが分かります。
 つまり、日本全体の人口が減少に転じるなか、日本における人口の一極集中は、さらにいびつに、尖鋭化しているのです。

[出典、参考資料等]
 総務省『平成27年国勢調査』
  http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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