図49 「しっかりとした担い手」数の順位(都道府県別)


◆ F.M.豆知識
  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げていきます。
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 「熊本の農業」
 熊本県は、総面積では47都道府県中15位、人口では23位、県民所得(総額)でも23 位という「中堅どころ」の県です。

 しかし農業についてはトップクラスにあります。
 耕地面積は全国で13位(牧草地は4位)ながら、農業産出額は6位、生産農業所得では4位。産出額を品目別にみると野菜は4位、乳用牛は3位、肉用牛は4位。特にトマトは1位で、なす、くりは2位です(収穫量)。

 また、米、野菜、果樹、畜産など、非常に多彩な生産が行われているのも熊本の農業の特色です。
 個人的な経験ですが、私は2008年4月に3年間暮らした熊本から石川県の金沢に転勤になりましたが、熊本ではすでに初夏の気配、冬の間でも農地には何かの作物が生産されているため緑色ですが、4月の加賀平野は、雪を頂く白山の下、見渡す限り黒っぽい水田が拡がっていたのを寂しく感じたことを思い出します。

 熊本の農業の特色の一つは、「しっかりとした担い手」によって支えられていることです。

 例えば、農業経営体(農業を営む農家や会社等)の数は全国8位ですが、販売金額が1000万円以上ある大規模経営体の数は全国第2位です。また、主業農家(農業所得が主で1年間に60日以上農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家)の数も2位。
 さらに、基幹的農業従事者(ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)の数は全国4位ですが、うち65歳未満の方の数でみると全国で2位となります。
 グラフにあるように、いずれも全国1位は面積等が格段に大きい北海道で、熊本は、これら「しっかりとした担い手の数」の指標でみると、都府県ではトップということになります。

 また、熊本の豊かな食は、農業生産者のみならず、食育や地産地消に取り組む様々な方々(栄養士、学校関係者、消費者団体、野菜ソムリエの方々等)によって実現しています。
 熊本県の農地や農業用施設も今回の地震で大きな被害を蒙りましたが、これら多くの方達により、長い時間を置かずに復興することが期待されます。

 ちなみに、豊かな農業が身近にある効果か、熊本県の平均寿命は男女ともに全国4位となっています。

[出典、参考資料等]
 矢野恒太郎記念会『データでみる県勢(2016)』
 http://www.yanotsuneta-kinenkai.jp/databook/004.html

 農林水産省『2015年農林業センサス』
 http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/index.html

 農林水産省『平成26年農業産出額及び生産農業所得(都道府県別)』
 http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/nougyou_sansyutu/index.html

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

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