第5期 銀座農業政策塾(第2回、コミュニティ農業)

 2016年7月6日(水)の終業後は、銀座3丁目のルノワール・貸会議室へ。
160706_1_convert_20160711230218.jpg 第5期 銀座農業政策塾の第2回講座が開催されました。この日の参加者は10名強。
 講師は、農的社会デザイン研究所の蔦谷栄ー先生です。
 永く農林中央金庫総合研究所に務められ(現在も客員研究員)、食料、農業、農政等について多くの著作もあります。なかでも都市農業、有機農業、水田放牧等については第一人者の方です。
 理論面のみならず、多くの現場を歩かれて地元の方達と地域づくりに取り組まれるなど 実践と経験に基づいているところが蔦谷先生の素晴らしいところ。
 山梨・牧丘町でブドウ畑に囲まれた元養蚕農家を改造した「みんなの家・農土香(のどか)」を 運営しておられ、子ども達の田舎体験教室を受け入れつつ、ご自身も自然農を実践されています。
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 この日のテーマは、コミュニティ農業(その詳細な内容は、新著『農的社会をひらく』にも詳しく整理されています)。
 蔦谷先生の講義の概要は、以下のようなものでした(文責・中田)。
 「多様な担い手(集落営農+少数のプロ農業者と多数のアマチュア農業者)の組合せ、外部からの人材獲得(法人化等)が重要。農業の楽しさを知っているアマチュア農業者の力を活かしていくことが、プロ農家の生き残りにつながる。プロ農家だけでは地域農業は守っていけず、その意味で、規模拡大一辺倒の担い手対策は見直す必要」
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 「地域農業は、流域、市町村、旧市町村、集落など重層的に捉えることが必要。マーケティングや都市・農村交流等は旧市町村単位以上が範囲となるが、農地や担い手については集落がベース。農地利用のキーは有畜複合経営にある」
160706_4_convert_20160711230313.jpg 「経営面では所得増加ばかり言われるが、ICTの活用等を通じたコスト低減が課題であり、産消提携等を通じた安定販売も重要。
 先進的な農家を手本にビジネスモデルを確立していくことが必要。到達点は、地域に貢献する農業」
 「コミュニティ農業とは、人と人との関係性、人と自然との関係性に立脚するもの。
 産消提携等を通じて販売ルートを複線化すること等を進めることにより、地域農業は地域社会農業に移行していく」
 その後、塾生との間で質疑応答。
 地場産品やオーガニックにこだわったレストランや宅配など異業者との連携が重要ではないか、学校給食に地場農産物を使用することを推進して子ども達に地産地消の重要性を教えていくベきではないか等の意見が出されました。
 これらに対して蔦谷先生からは、先日の千葉・いすみ市でのシンポジ ウムに参加された経験を踏まえ、行政、JAなど地域における様々な主体の連携の重要性等について指摘がありました。
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 終了後は近くの居酒屋で懇親会。
 合間を縫って、蔦谷先生、主催者の茂木さん・植村さんと、9日 (土) に迫ってきた「食ベて香んで勝手に熊本を応援する会」の直前打合せ。実は、前回(6月8日)の農政塾後の懇親会の場で飲みながら、「やりたいね」「やりましよう」と盛り上がったり、実現にこぎ着けた企画なのです。
 東京・銀座というと、一般的には農業とは最も縁遠い場所と考えられています(実は「銀座ミツバチプロジェクト」等の取組も行われており、7月22日(金)には「銀座天空農園BBQ」も開催予定)。
 その都会で継続的に開催されている銀座農業政策塾から、将来の日本の食べものと農業を変える流れが生まれつつあります。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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