ふくしまオーガニックコ ットン ボランティアバス2016(第1回)

 2016年7月24日(日)、朝7時過ぎの新宿西口。晴れ。
 30名ほどの参加者を乗せた1台の天ぶらバスが出発しました。 向かう先は福島県の浜通り地方にある広野町(ひろのまち)。
 この日は、「双葉八町村に春を呼ぶ! 福島県広野町応援プロジェクト ふくしまオーガニックコットン ボランティアバス2016」(第1回)の日です。
 昨年まで私は、東京の認定NPO法人JKSK(女性の活力を社会の活力に)が主催する同様のボラバスに何度か参加させて頂きましたが、今年度のボラバスが昨年までと異なるのは、広野町の方達が立ち上げたNPO法人広野わいわいプロジェクトが中心となって企画・運営されていることです。
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 車中では、まずツアーの企画・実施者であるリボーンの壱岐代表から旅程等の説明。
 続いて、いわきおてんとSUN企業組合の吉田恵美子さん(前日ま、大阪でのイベントに参加されていたそうです。)と、昨年までのボラバスの実施主体で今年度の事業の企画等にも関わっておられるJKSKの大和田順子さん(一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス(LBA)共同代表)から、ふくしまオーガニックコットンプロジェクト、広野わいわいプロジェクトの概要等について紹介がありました。
160724_0_convert_20160728162909.jpg 昨年度は、オーガニックコットンの栽培に加え、二ツ沼総合公園でのパークフェスや防災緑地でのプレゼントツリーによる森づ くり、オリーブなど特産品を活用した商品開発を通して、地域外との交流促進と女性等の仕事創出等に取り組んできました (私も何度かワークショップ等に参加させて頂き ました)。
 そして今年度は NPO法人格を取得、これら取組をさらに発展させ、広野町と首都圏を 結ぶボランティアバスも3回運行することとなったそうです(福島県「平成28年度ふるさと・きずな維持・再生支援事業」を活用)。
 その後は、マイクを回して他己紹介」の時間。
 座席で隣り合った同士(初対面の組み合わせも多数)でお互いにインタビューを行い、それを元に相手のことを紹介するというもの。
 コットンを含めボランティアには何度も参加している方もいれば、初参加の方もいらっ しゃいます。
 親子連れが3組。小学生も2人。
 常磐自動車道は渋滞もなく順調。
 最初の休憩、友部SAのトイレにはツバメの巣。四ツ倉PAでの2度目の休憩を経て広野ICで降り、浅見川地区のコットン栽培畑に到着したのは10時20分頃です。
 地元の方達が畑の脇にテントを張って、待っていて下さいました。
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 広野わいわいプロジェクト事務局長の磯辺吉彦さんの進行により(楢葉町の温泉施設まで、丸1日、同行して下さいました。)、まず、プロジェクトの根本賢仁理事長から、
 「都会との交流人口を増やすことで賑わいを創出していきたい。これからも長い付き合いをお願いしたい」旨の挨拶を頂きました。
 地元の方達を紹介頂いた後、いよいよ午前中のプログラムであるコットン畑での除草作業に取りかかります。
 根本理事長ご自身が見本を実演して下さいます。複雑な作業ではなく、綿の株元から生えている雑草の除去(綿の根を傷めないように)と、畝の間の草刈り。
 吉田さんからは、ハマキムシを見つけたら手で取って足で踏み潰して下さい、との補足。
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 今年のコットンは春先の発芽が遅かったそうで、草丈はまだ30~50cm程度。つぼみをつけ始めていますが開花はみられません。初めての人には、ぜひ、清楚な花(オクラに似ています。)を見て頂きたかったのですが。
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 ハマキムシを発見。
 巻かれている葉っぱを手で開くと、サナギが現れました。手で取って足で踏み潰すのは、ちょっと勇気が必要です(有機栽培ですから)。
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 薄曇りで強い日差しは、時おり、涼しい風も吹き快適です。
 ジャングルのようになっている一画もありましたが、12時過ぎには予定していた範囲の除草作業は完了。見た目もスッキリ。
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 磯辺さんに先導・案内頂きながら、徒歩で昼食場所(集会所)に向かいます。
 初めてこの地に来たのは震災翌々の2013年5月でしたが、その頃から比べて景色は大きく変わりました。
 津波で被災し消波ブロック置き場になっていた地は、水田が復活し、稲の葉が夏風になびいています。間もなく出穂の時期を迎えるようです。
 住宅も再建され、新たに津波で被災された方達のための災害公営住宅も立ち並びました。市役所に隣接してスーパーなど公設商業施設も開設。地域の方達の集いの場となっているそうです。
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 何台もの車両が行き交います。工事用のトラック等ではなく住民の方達の乗用車です。
 原発事故後は独自の判断で全町避難した広野町ですが、帰還される住民の方も増えているようです。それでも震災前の半分以下、一方、廃炉や除染の作業に携われる方達が多数住んでおられるとのこと。
 整備が進められている防災緑地の姿が見えてきました。
 住民の方達(サポーターズクラブ等)の意見や要望を聞きながら、防災と同時に公園緑地の機能も兼ね備えた防災緑地の整備が進められているとのこと。
 子ども達が山で拾ってきたドングリから育てた苗木が植えられている一画もありました。
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 集会施設での昼食は、おむすびと名物のすいとんです。
 すいとんは、サッカー日本代表帯同シェフの西芳照さんの監修。かつて日本代表のトルシエ監督(当時)が故郷の味のようだと言ったことにちなみ、マミーすいとんと呼ばれています。
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 ふくしまオーガニックコットンプロジェクトのTシャツ等の製品と、新妻有機農園のお米、麦、日本酒等も販売されていました。
 以前も頂いたことのある日本酒「驚」(あひる)を購入。カルガモならぬアヒルを放して生産された米から醸造されたお酒です。
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 午後のプログラムは、防災緑地 (「Present Treein ひろの」エリア)の除草作業です。
 まず、認定NPO法人 環境リレーションズ研究所の平沢真実子さんから、「プレゼントツリー(都市と地域をつなぐ記念樹の森づくり)の説明を頂きました。
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 その後、歩いて数分の防災緑地へ。今秋の完成に向けて工事が急ピッチで進められており、日曜日にもかかわらず多くのダンプカーが行き交っています。
 海を望む堤上で、遠藤智町長さんが待っていて下さいました。
 「皆さまとの出会いに感謝。この地の復興に向け、長きにわたり共に歩んでいくことをお願いしたい」等の挨拶を頂きました。
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 その後、4班に分かれての除草作業。
 今年3月の植樹祭の時に植えた苗木は、海からの強い風を受けて斜めになっていますが、 力強く根付いているようです。
 ちなみに樹種は、在来の広葉樹の5種(コナラ、クヌギ、エノキ、スダジイ、アカガシ)です。
 堤全体はネットで覆われて植樹する部分だけ穴が開けられていた箇所に、施肥しつつ苗木を植えたのです が、苗木の回りに雑草が生えてきています。中には苗木よりはるかに大きく育ったものも。
 苗木の根を痛めないように雑草を抜いて集め、袋詰め。作業量はそれほど多くはあり ません。
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 途中の休憩時には、副町長さんも見えられて挨拶を頂きました。
 15時近くに予定されていた作業は完了。
 この日のボランティア作業は全て終了です。天候に恵まれたこともあり、 比較的楽な内容でした。
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 集会所に戻り、ここからバスに乗って北隣の楢葉町に向かいます。
 根本理事長、 吉田代表はじめ地域の皆さまが、大きく手を振って見送って下さいます。今回も大変お世話になりました。
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 磯辺事務局長が同乗され、車窓の風景等を案内して下さいます。
 昨年、全町で避難指示が解除された楢葉町ですが、帰還した住民は少ないとのこと。
 天神岬スポーツ公園の展望台から見下ろすと、田んぼの真ん中にはフレコンバッグの山。除染等で出た放射性廃棄物の仮置き場です。初めて見た人には大きな衝撃だったようです。
 リニューアルされた天神岬温泉 しおかぜ荘で、太平洋を眺めながらの露天風呂を堪能。
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 16時過ぎに出発。広野ICから常磐自動車道へ。
 再びマイクが回され、参加者から今の日の感想等のシェア。それぞれ、色々と感じるところは多かったようです。
 帰途も渋滞はなく予定の時間に新宿に到着。
 これもいつものことながら、光景のあまりの違いに目がくらむようです。
 このボラバスは、今年度はあと2回予定されているとのこと。
 できるだけ多くの方、特に初めての方には、ぜひ現地に足を運び、地元の方達と交流する機会を持って頂きたいと思います。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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