「世なおしは、食なおし」-東北食べる通信車座座談会 @八王子

 2016年7月25日(月)。
 熊本地震の影響で発送が遅れていた「くまもと食べる通信」4月号が、先日、手元に届きました。
 天主堂で有名な崎津(天草市河浦町)の特集。
 写真とイラストがふんだんに掲載された大判の情報誌とともに、エソのすり身とみりん干しが届きました。生産者の方のお手紙も同封されています。
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 すり身は早速、情報誌にある宮本けんしんシェフのレシピを参考に、カツにして頂きました。プリプリとして美味でした。
 ご馳走様でした。次号も楽しみに待っています。
 なお、「くまもと食べる通信」の林信吾さんには、7月9日の熊本応援食事会の際も、食材の手配等で大変お世話になりました。
 改めてお礼申し上げます。
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 2016年7月28日(木)は休暇を頂きました。
 JAの直売所に寄ったあと、自宅近くに借りている市民農園の一画へ。
 枝豆はすべて刈り取り。比較的よくできたことに味を占め、少し遅いかも知れませんが追加で播種。つるありインゲンも。
 区画の一番手前の目立つ場所には、はつかダイコンミックスを播いてみました。 
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 畑仕事のあとはシャワーを浴び、ビールを飲みながら昼食、昼寝。
 夕方、都知事選の期日前投票を済ませた後、東京・八王子に向かいました。
 JR八王子駅から徒歩10分弱のところに、阿弥陀様のお姿が描かれた看板が。
 郊外にある延立寺の別院が「アミダステーション」と名づけられ、様々な市民活動に開放されています。
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 会場の2階に上がると、正面にはお仏壇。四囲の壁はすべて本棚になっています。
 広い板の間の半分くらいには畳が敷かれ、各地の「食べる通信」の冊子が並べられています。
 テーブルの上には、地元の八王子高校が夏の甲子園大会出場を決めたとの号外。八王子地区からは初めてとのこと。
 それに、八王子まつり(8月5~7日)の冊子等も。
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 この日18時30分から開催されたのは、「第106回東北食べる通信車座座談会@八王子」。
 先日、第一回日本サービス大賞の地方創生大臣賞を受賞した食べ物つき情報誌「食べる通信」。
 その嚆矢となった「東北食べる通信」の編集長・高橋博之さんをお招きしての座談会です。
 主催者の皆さんの挨拶と高橋さんの紹介に続き、高橋さんの話が始まりました(文責・中田)。
 文字通りの「車座」です。
 「自分は岩手・花巻の出身。
 昨日まで4泊5日で、気仙沼沖合い70kmでのメカジキの突きん棒漁船に乗っていた」
 「そこに飛び込んできたのが。神奈川・相模原の障害者支援施設における殺傷事件。大きな衝撃を受けた。
 障がい者は役に立たない、経済活性化にも寄与しないという犯人の考えは許せないが、今の社会の風潮にも通じる面があると感じた。障がい者だけではなく高齢者、さらには一次産業など、稼げない人やものは要らないという考え」
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 「太平洋上で過ごした5日間との落差の大きさに言葉を失う思いだった。
 漁師は、思い通りにならないこと、自分には変えられない世界があることを知っている。それを前提に、自然の中で命をかけて漁をしている。
 現代の人間は、何でも自分達の思い通りにしようとしている。これが間違っている。自然から離れすぎている。多くの親は子どもに土に触れさせようとしない。海は危ないという。予測不能なことを徹底的に排除しようとしているのが都市。少子化の要因も経済だけではなく、思い通りにならない『赤ん坊』を持つことを避けている面があるのでは」
 「昔は、食べるために全身を使っていた。狩猟に行くのも五感を研ぎ澄ませていた。今の食事は、車のガソリンと同じ。食べものを工業製品と同じように思っている。
 『いただきます』という言葉は、他のものの命を奪い自分の命に変えていくことを表している。現代の私達は死から目を背けている。死を意識することで生き方が決定的に違ってくる。生きることとは、すなわち食べものを作る人と繋がっていくこと」
 「人間は一生に8万7千回、食事をする。大上段に社会を変えようとするのではなく、食べ方を見直すことで世の中を変えることができる。東北食べる通信のコンセプトは『世なおしは、食なおし』」
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 「『東北食べる通信』は、東日本大震災があったから生まれた。被災地で被災者と支援者が出会っている姿をみて、これは生産者と消費者の関係と同じではないかと気付いた。ボランティアの方達は、上から目線的な『支援』ではなく、被災した生身の人間を知り、困っている方の顔が具体的に思い浮かぶことで、共感に基づいて活動している。支援ではなく連帯、両思いの関係にある」
 「消費者が悪いわけではない、知らないだけ。知らないことに共感はできない。今の食べものは表の情報(美味しい等)ばかり。徹底的に裏側で勝負しようとするのが『食べる通信』。メインは冊子で食べものは(言葉は悪いが)付録。読んでから食べてもらいたい」
 「帰省先がない『ふるさと難民』が増えている。『食べもの通信』をきっかけにし、親戚づきあいのできる生産者を見つけてほしい。大地震が起こったときには避難先にもなる。生産者と消費者との間で、顔の見えるコミュニケーションができる関係を創っていきたい」
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 高橋さんの熱意のこもった話は、1時間弱で終了。
 後半は参加者一人ひとりから自己紹介しつつ、高橋さんも交えて意見交換。
 「聞き書き甲子園」に関わっておられる大学2年の女性。三鷹市で地域の方達が集う「場作り」をされている女性。田舎や農業が好きと、山梨の山間部に通っておられる女性。
 福島出身で、健康に関わる市民活動をされている男性。
 自然農に取組み始められたというご兄弟。「自給自足で社会を変えていきたい」と。
 八王子市の北郊で梅林等の手入れや加工、多摩ニュータウンでの朝市開催等に取り組んでおられるNPOの女性。獣害被害が深刻とのこと。
 牧場の畜舎の屋根に太陽光パネルを設置するなど、再生可能エネルギーの普及に取り組んでおられる女性。
 東京・日野市で生ごみリサイクルによるコミュニティ農園を開設されている女性。都会に住む人に土に触れる機会を増やしたいという思いがあるそうです。
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 途上国でのボランティア活動の後、西東京市で町おこしの会社を起業された男性。障がい者等も参加できる市民農園の運営等もされているそうです。
 八王子で地域の情報発信等に努めておられる男性。多くの市民は地元のことを知らない、気がつくと行動が変わるとのこと。プロボノとして市民活動に参加されている男性も。
 町会長として地域のケア等に取り組んでおられる女性。ワーカーズコレクティブの活動に関わっておられる女性など。 
 様々な方達が、高橋さんの話に触発されて自分たちがそれぞれ取り組んでおられる思いについて語られました。その一つひとつに共感しつつ、丁寧に意見を述べられる高橋さんの姿が印象的でした。
 そして高橋さんからは参加者の方達に対して、
 「八王子は、大都会・東京の一部ながら多くの農地もあり多様な農業が行われており、同時に様々な市民活動が展開されていることを知って心強く思った。ともに旗を立てて取り組んでいきましょう」とのエールが送られました。
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 予定の21時をだいぶ回って会は終了。
 高橋さんを含め、時間のある方は引き続き懇親会に移動。
 会場はお馴染みの北前廻船紀行・けいの家さん。
 代表の北澤さんも顔を出して下さいました。
 野菜はすべて八王子産、しかも生産者も分かっているそうです。江戸東京野菜のフェアも開催されます。
 「食べる通信」の理念が体現されているお店と言えそうです。
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 八王子産野菜のチーズたっぷり焼き、ピザ、ちゃんちゃん焼きなど。
 帰り際、八王子のNPOの方が作っておられるトマトソースを購入させて頂きました。気がつくと終電間近です。
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 高橋さんによると、各地の「食べる通信」は会員獲得に苦慮しているケースもあるとのこと。
 より多くの人が関心を持つことで、生産者と消費者の間の距離を再び近づけようとする「食べる通信」の取組みが発展していくことを期待したいと思います。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキング参加中)

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