世界農業遺産紀行 vol.3 – 椎葉から阿蘇へ

 感動的な火入れを見学させて頂いた日の翌日、2016年8月4日(木)も好転に恵まれました。
 この日も大和田順子さん(農林水産省・世界農業遺産等専門家会議メンバー、社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス共同代表)手作りのお味噌汁などを頂いた後、すぐ上の民宿・焼畑へ。
 昨日の火入れでお世話になった椎葉勝さんご夫婦と、クニ子さんにお礼のご挨拶。
 大和田さん達は打合せもあったようです。8月24日(水)には、大和田さんが基調講演される「世界農業遺産認定記念シンポジウム」も開催される予定とのこと。
 (株)さとゆめの皆さんは、冊子用に雑穀の写真撮影(下、右の写真はアワ)。
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 焼畑は縄文時代から続いているともされていますが、ここで発掘された石器も見せて下さいました。
 皆さんとお別れし(お世話になりました。)、一人でレンタカーへ。
 来た山道を下りますが、狭くて見通しが利かないところに対向車多し。ひやひや。 
 日本初のアーチ式ダム「上椎葉ダム」の近くには、「ひえつき節発祥の地」の碑。改めて、雑穀文化の里であったことが伺われました。
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 役場近くの平場まで降りてきました(とはいえ山の中、標高400メートル超ですが)。
 鶴富屋敷(国指定重要文化財)を見学。平家の姫君・鶴富姫と、鎌倉から追討のため派遣された武将・那須大八郎との悲恋の舞台だそうです。
 広い座敷が横一列に配置されているのは、傾斜地に建てられているためとか。
 隣接する墓地には、稲富姫のお墓も(自然石です)。
 
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 すぐ近くの椎葉民俗芸能博物館には、焼畑や神楽の展示も。
 博物館の4階を出るたところは、那須大八郎が建立したという椎葉厳島神社の境内。立派な土俵があります。
 大相撲・貴乃花部屋の夏合宿や少年相撲大会に使われているとのこと。
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 車に戻り、来た時も通った国道265号を逆に北上。往路とは打って変わって好天、快適なドライブです。
 途中、八村杉(国指定天然記念物)に立ち寄り。那須大八郎が植えたという伝承があるそうです。大八郎さん、人気者のようです。
 向かい側の十根川集落は、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
 立派な石垣は、まるでお城のよう。細い坂道を登ると民家の庭に出て、犬(複数)に吠えられてしまいました。
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 五ヶ瀬町から熊本県に入る県境近く、道路沿いに揚城(鞍岡城)跡の標識。
 いったん通り過ぎましたが、戻って立ち寄ってみました。
 秋葉神社の石団を登ったところに小さな祠。ここが本丸跡のようです。
 全く予備知識はなかったのですが、鳥居脇の説明板によると、何と甲斐宗運(肥後・戦国上のキーマンの一人!)の居城で、阿蘇氏の内紛に大きな役割を果たした城とのこと。
 低い丘陵ながら四方の見晴らしが利き、戦略上の拠点だったことが伺えます。
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 熊本・山都町からトンネルを抜ると、間もなく阿蘇盆地です。
 途中の展望台からは、広い草原と、遠くに放牧されているあか牛の姿も眺められました。
 阿蘇地域(草原の維持と持続的農業)は、高千穂郷・椎葉山地域(山間地農林業複合システム)に先立ち、2013年に世界農業遺産に認定されています。野焼きや放牧など人が管理することを通じて、日本最大級の草原が維持されているのです。
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 産山村(うぶやまむら)に向かいます。
 途中、根子岳の麓では激しい雨に。山の天気は本当に変わりやすいようで、産山に入ると雨は落ちていませんでした。
 14時近くに目当て「山の里」に到着。
 さる7月9日(土)の熊本応援食事会の際、「くまもと食べる通信」の林さんにお願いして手配して下さったあか牛の生産者、井俊介さんのお宅が経営されている民宿・農家レストランです。
 ここで井俊介さんにもお会いでき、食事会の時のパンフレットを手渡しし、美味しくて好評だった旨を報告。農作業の合い間に付き合って下さり、有難うございました。
 すねステーキ定食を頂きました。すごいボリュームです。
 すね肉は少し硬いのですが、それだけにあか牛の風味と旨みが凝縮しているように感じました。ご馳走様でした。
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 ずっと気になっていた阿蘇神社へ。
 2300年の歴史を有するという肥後国一の宮神社は、4月の熊本地震で大きな被害を受け、国の重要文化財に指定されている楼門のほか、拝殿等も倒壊したままです。
 上半分が落下した石灯籠。大きく曲がった鉄骨入りの柵も、修復にはしばらく時間がかかりそうです。
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 気になって、北宮とも呼ばれる国造神社(こくぞうじんじゃ)にも足を運んでみました。
 こちらは外から見る限り、大きな被害は無いようでほっとしました。
 
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 今夜の宿は、やまなみハイウェイ沿いにある高原のリゾートホテル。乗馬クラブを兼ねています。
 広いツインの部屋に一人。大浴場も、レストランでの夕食も一人でした。今朝までの賑やかさとは大きな落差です。
 乗馬教室に来ていた子ども達の姿はありましたが、観光客は今も少ないようです。
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 ぼっち夕食も、あか牛ステーキのコース。熊本復興応援のビールとともに。なかなかの美味。
 今回は、「肉率」が高い旅行です。
 久々のテレビもあまり見る気にならず、スマホでラジオを聴きながら布団へ。
 阿蘇で仙台のラジオが聞けるのですから、ネットとは便利なものです。生憎と相手のエースピッチャーに抑えられ3連勝はならず。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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