しごと塾さいはら-栃餅作りの準備

 2016年9月4日(日)。前夜から降りだした雨は朝になっても上がりません。
午前8時過ぎにJR中央線の上野原駅に到着。自家用車とバスに分乗して西原(さいはら)地区に向かいました。
 山も雨雲に煙っています。
 普段は登山やハイキング客で賑やかなバスも、市の中心部で他の2人が下車してからは貸切り状態に。
 
 この日は、しごと塾さいはらのイベント「蕎麦の土寄せと栃餅作りの準備」の日。私は久しぶ りの参加です。
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 駅からバスで50分ほどで羽置の里・びりゅう館に到着。
 地域の交流施設で、直売所やレストランも兼ねています。
 雨は上がりません。後で聞くと昨夜から今朝にかけてかなり強く降ったそうで、水車を回す水量も勢いがあります。
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 この辺りの土壌は火山灰土で、雨の日に畑に入ると土が踏み固められてしまうそうです。さらに今年は長雨のせいか、8月に播種した蕎麦の生育が遅れているようで、土寄せの作業は中止に。
 天気を気にしつつ、しばし、10月9日(日)に予定されている「西原ふるさとまつり」のチラシの折り込み作業等のお手伝い。
 この地域にとって一年に一度の大きなイベントで、今年で25回目とのこと。「歌謡ショー、三頭太鼓、古在家神楽舞、藤尾獅子舞、福引大会などの楽しみがいっぱい」だそうです。
 見た目に色も鮮やかな紫蘇ジュースを頂きました。
 さいはらには多くの美味しいものがありますが、このジュースもその一つです。
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 雨が上がってきたので、10時頃から栃の実を拾いに行くことに。
 この地域でも昔は普通に食べられていた栃餅ですが、最近は作る人も少なくなっているそうで、そのノウハウを学んで将来にも引き継いでいこうというのが「しごと塾」の趣旨です。
 3台の車に分乗して出発。
 栃の実を拾えそうな場所は、あらかじめ太郎さんが目星を付けて地権者の方とも話をしておいてくれていて、さらに前日にはイノシシに食べ尽くされていないかと確認して下さったそうです。
 ちなみに太郎さんは横浜出身で、この地に移住・新規就農された方。NPOさいはらの事務局として、しごと塾さいはらの活動の受入れやコーディネートをして下さっています。
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 太郎さんの師匠・Nさん宅に寄って弟のヒトシさんに同乗してもらい、案内して頂いた先は、 集落の最も山側にあるお宅の庭の奥。
 崖っぷちの大きな栃の木の下にはたくさんの栃の実。
 堅い殻は簡単に外れます。殻を外すと、小ぶりの栗のような果実(種)。栗よりも艶々として、宝石のようです。
 竹ざるに1杯ほどを拾った後、一宮神社に移動。スギ、ヒノキ等の社叢は山梨県の天然記念物に指定されているとのこと。
 近くの山に入ってみましたが、ここでは収穫なし。
 クマ出没注意の看板も。現に昨日、山道を一人で歩いていた女性が子熊と遭遇、怖かったそうです。
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 11時過ぎにびりゅう館に戻る頃には青空がのぞき、陽が射してきました。急に暑くなってきました。
 改めてみると、びりゅう館の前の小さな菜園も電気柵で囲われています。鳥獣害は深刻な状況のようです。
 直売所やレストランには多くのお客様。
 私たちも事務作業の残りを片付け、昼食に。
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 ここの名物は、何と言っても水車で挽き手打ちした蕎麦。びりゅう館では蕎麦打ちの体験もできます。
 いつもの「坪山よくばりセット (蕎麦大盛り)」を頂きました。
 サツマイモの葉や野菜の天ぷら、手作りこんにゃく、せいだのたまじ(小ぶりのジャガイモを味噌で甘辛く煮付けた郷土料理)、雑穀入りご飯など。
 欲張りにもほどがあります。
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 13時を回って再び車に分乗し、拾った栃の実のかごを携えてNさん宅へ。
 雑穀などの在来種の種を守り続けているNさんは、祖父母の時代まではよく栃餅作りをされていたとのこと。その時の体験を元にノウハウを伝授して下さいます。
 この日の作業は、あく抜きのために灰汁に漬けるところまでが目標です。
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 まずは皮むきから。ところが始めてみると思った以上に大変な作業です。
 金づちで2つ割りにしてから手で剥いていましたが、たちまち爪が痛くなってきました。
 ちなみに、かけらを口に含んでみると、とんでもない渋さ、苦さです。
 ナイフやペンチ、梅の種外し等の器具を総動員。
 最初に金づちで全体を回すように叩いておくと、 比較的むき易くなることも発見。
 いずれにしても、大変な労力です。昔の人はここまで苦労して食料を確保していたという ことです。
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 2時間ほど黙々と作業しましたが、拾ってきた半分もむけませんでした。
 残りは流水に漬けておくことに。どのようにすれば、むきやすくなるか、色々とトライです。
 むいた分だけをバケツに入れ、ここに蕎麦の灰と水を入れて混ぜ合わせていきます。灰は何でもいいという訳ではなく、蕎麦がらを焼いた灰がベストとのこと。
 灰を溶かした水というよりは、ペースト状に近い粘りがあります。
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 これを木の棒で混ぜ合わせつつ、さらに灰を追加し、さらに混ぜ混ぜ。。
 都内から来た元気な男の子(自称小学生、実はまだ幼稚園児)もお手伝い。
 赤ちゃんもお母さんの背中で参加。
 この状態で数日寝かせ、さらに流水に数日さらすと、あくが抜けるそうです。手間だけではなく、時間もかかります。
 水に浸けておいた栃の実をみると、苦しくなった虫が這い出てきていました。虫に食われているものもかなりあるようです。
 16時近くなってこの日の作業は終了。
 Nさん宅に上がらせてもらい、お茶と甲州トウモロコシを頂きました。この在来種、もちもちとして歯ごたえがあります。
 Nさんご兄弟には、今回も大変お世話になりました。有難うございました。
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 びりゅう館に立ち寄り。すっきりと美しい青空。
 買っておいた野菜等を抱えて車に分乗し、上野原駅まで送って頂いたところで、また細かな雨が落ちてきました。電車も空いています。
 大きなユウガオ(この辺りでは「ゆうごう」と呼ぶそうです。)を買ってきた女性(昨日、熊と遭遇した方)は、電車の中で赤ん坊のように大事そうに抱いていました。
 それぞれに、西原の思い出を抱えて帰路に。
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 しごと塾さいはらでは、これからも様々なイベントを計画しています。蕎麦や雑穀の農作業体験、蕎麦打ち体験の他、獅子舞や神楽といった伝統行事の見学も計画されているようです。
 フェイスブック等で告知されますので、ご関心のある方はぜひ、参加してみて下さい。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で1月12日以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業を検討中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
(↓ランキング参加中)

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