農土香ツアー @山梨市牧丘町等

 今年(2016年)は10月に入っても長雨が続き、久しぶりに晴れると思うと夏が戻ったかのように気温が上昇するなど、何とも不安定な天候が続きます。
 そのような中、10月8日(土)未明には阿蘇中岳が36年ぶりに爆発的噴火。降灰により農作物等にも被害が発生しました。相次ぐ災害に言葉を失います。
 その8日(土)も雨模様。
 銀座農業政策塾の皆さんによる「農土香ツアー」に参加させて頂きました。
 JR高尾駅9時20分発中央本線・甲府行の普通列車に。上野原から先は久しぶりです。
 笹子トンネルを抜けて甲府盆地に入っても雨模様は変わらず、ブドウ畑が広がっているはずの景観は望めません。束の間の「乗り鉄」旅は10時32分塩山着で終了。
 北口を出ると武田信玄公の像が出迎えてくれました。
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 信玄像の向こう側にみえる独特の形の立派な建物が旧高野家住宅・甘草屋敷。江戸幕府の命を受け漢方薬の原料「甘草」を栽培し江戸幕府に納めていたそうです。
 立派な大黒柱。各種の資料も。お茶と、お茶菓子代わりのブドウを出して下さいました。
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 11時過ぎ、駅前に今回の参加者10人が集合。5歳の元気な男の子も。
 農土香オーナーの蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)が出迎えて下さいました。
 蔦谷先生の車ともう1台に分乗して県道を北西へ。雨は上がったようです。
 まずはOさんの「牧場」へ。 牧場と呼ばれていますが(ヤギやポニーがいます)、干し柿用の柿を生産している農場です。
 見学させて頂きながら、Oさんが概要を説明して下さいました。
 実家(農家)にUターン就農し、自然栽培・無くん蒸での干し柿生産に取り組んでおられるそうです。
 小屋や畜舎を建てるのに協力されているAさん(Oさんの高校の1年先輩の大工さん)も、ご一緒して下さいました。
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 この地域はもともと干し柿の産地とのこと。
 Oさんは、甲州百目柿という大ぶりの在来種を使って「紅露柿」(クロガキ)という名称でブランド化し、東京・代々木のアースデイマーケット等で販売されているほか、甲州市のふるさと納税の返礼品としても使われているそうです。
 二酸化硫黄によるくん蒸はせず、じっくり熟成させて出荷するので品質の劣化も少ないとのこと。
 3年位前から導入したポニーとヤギ(ヤギは3月に子どもが生まれ3頭になったそうです)は、柿畑の下草や落ちた実を食べ、糞は肥料になっているそうです。
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 武田家の菩提寺・恵林寺を過ぎてしばらく進むと、道路脇に看板代わりの大きなタンクが見えてきました。
 地元産ブドウで純国産ワインを生産している三養醸造(株)です。
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 Y社長が出迎えて下さり、まずは工場見学。試飲もさせて下さいました。
 ほ場の見学も(1房ずつ収穫体験させて下さいました)。
 最高に熟した時を見計らって収穫した自社農場等のブドウを原料に、少ない量を丁寧に造っているそうです。
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 ワイナリーの前庭には手作りの石釜が設えられており、IターンされたTさん(パン屋さん兼俳優)がピザを焼いて下さいました。毎月、ピザとワインの交流会が開催されているそうです(「農土香の会」の活動の一環)。
 天然酵母のピザは香ばしく、ワインによく合います。
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 昼間からワインとピザをたらふく頂いた後は、いよいよ「みんなの家・農土香」へ。
 3階建ての元・養蚕農家を改築した建物を蔦谷先生が借り受け、ここを拠点として「農土香の会」として様々な活動をされています。
 高台にあり、ブドウ畑に囲まれています。青空が広がってきました。
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 先ほど農場(牧場)を見学させて頂いたOさんとAさんが来て下さり、14時頃から意見交換会。
 Oさん
 「農業(特に自然農法)は不安定だが、作物が自然に生長するのに最小限のお手伝いをしているのだと気づくと楽になった。柿の木が自分の先生。動物が来て子ども達や地域の方たちとの交流も深まった。
 ホームページは開設せずネット通販もしていない。アースディマーケット等に来て下さった方と顔を合わせて伝えていきたい」
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 Aさん
 「工務店に勤め現代建築に関わっていたが、ある時、石斧を木に打ち込んで腑に落ちた。30歳で独立した。
 縄文時代は1万6千年も続いた素晴らしい時代。弥生時代に入り『農業』とともに戦いも始まった。今、世界で戦争が起こりつつあるなか、出る杭が打たれやすい田舎でこそ声をあげていくのが大人の責任と感じている」
 ちなみにAさんは、能登・真脇遺跡で石斧で縄文住居をつくるワークショップにも携わっておられるそうです。
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 蔦谷先生の奥様は、子ども達とつくった絵本や団扇を見せて下さいました。中央の写真はAさん作成の絵本です。
 16時を回り、日帰りの参加者を駅まで送った後は温泉へ。
 気持ちのいい露天風呂など。ブドウや野菜も販売されていました。
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 宿泊させて頂く私たちは農土香に戻り、夕食の準備。
 みんなで野菜を切り、かまどで火を起こし鍋をかけます。5歳のジロー君も元気にお手伝い。
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 ほうとうのほか、地元産野菜の料理や馬刺しが食卓に並びました。
 薪の残り火で焼いた野菜も絶品です。
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 Oさん、Aさんも再び足を運んで下さり、意見交換の続き。
 農土香のラベルが貼られたワイン(赤、白の1升瓶)も出して下さいました。山梨のワインは和食にもよく合うようです。
 日本酒がないと喉が詰まってしまうという参加者(私ともう1人)からの差し入れも。
 アルコールも入り、文明と野蛮、鉄の文明、科学技術の意味から縄文の暮らしやヒゲの整え方(驚きの方法!)まで、23時過ぎまで話は盛り上がりました。
 Oさん、Aさん、午前中から深夜までお付き合い下さり、有難うございました。
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 2階は一間の広いスペース。思い思いの場所にお借りした布団を敷いて就寝。
 翌9日(日)の朝は、強い雨の音で目が覚めました。
 蔦谷先生は、縁側でギターの練習をされています。
 奥様が昨日のほうとうの残りで味噌汁を作って下さいました(美味!)。それに卵ご飯等の朝食。
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 全員で掃除と片づけをして、9時過ぎに塩山駅まで送って頂きました。蔦谷先生、奥様、大変お世話になりました。
 特急で帰る方達とは駅のホームでお別れし、9時37分発の普通電車に。上野原で途中下車の予定です。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で本年1月以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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