【F.M.Letter No.109】

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◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信 ◇◆◇

     No.109;2016.12/29(木)[和暦 師走朔日]発行

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 今回は2016年の最終号、1年を振り返る特別編です。

 本年は110日(師走朔日)配信のNo.85以降、毎月2回(和暦の朔日

と十五日)、計25本を発行することができました。

 これもひとえに読者の皆さまのおかげです。有り難うございました。

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  F.M.豆知識

  食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるい

 は考えるヒントになるような話題を毎回コツコツと紹介してきました。

 

 注:各号では図表を1点ずつリンクを貼るかたちで紹介してきましたが、

  プロバイダ側(jcom)の都合により明年1月一杯で使用できなくなり

  ます。

   現在、ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」を含め新サイト

  に移行作業中であり、新しいアドレス等は次号で紹介する予定です。

   なお、本メルマガ自体の配信システムには変更はありません。

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 2016年はまず、経済紙に掲載された社説を受け、新聞代が米価を大き

く上回って推移していることを紹介しました[No.86]。

 

 その後は地方再生と人口の一極集中について取り上げました。

 牛の頭数や森林面積からみた「一票の格差」を半ば冗談で計算し問題

提起[No.87]したのに続き、日本は諸外国に比べて人口の一極集中の程

度が大きいこと[No.88]、現在も東京圏への人口の一極集中が進行して

いること[No.89]、関東地方の中でも他県から東京都への人口流入が大

きいこと[No.9091]を紹介しました。

 

 4月にはかつて3年間在住・在勤した熊本が震災を蒙ったことを受けて、

熊本農業は「しっかりとした担い手」が多いこと[No.92]、農地が有効

に利用されていること[No.93]、地域経済における農林水産業や食料品

製造業のシェアが大きいこと[No.94]を紹介しました。 

 

 続いて、いわゆる「食の安全・安心」について取り上げました。

 消費者アンケートによる安心感[No.95]と実際のリスク(食中毒によ

る死者数)[No.96]の間には乖離があることを確認した上で、リスク認

知に影響する要素に関する研究成果[No.97]、食品に関するリスク認識

については一般消費者と専門家との間で格差が大きいこと[No.98]を紹

介し、食品についての「安全」と「安心」の関係について概念的な整理

を試みました[No.99]。

 また、食事バターンと乳がん罹患のリスクには関連があるという研究

成果も紹介しました[No.100]。

 

 その後の数回は、最近の経済情勢と食生活との関連を取り上げました。

 まず、長期的にみて供給熱量が減少を続け脂質が大幅に増加するなか、

供給たんぱく質はほぼ一定で推移してきたました[No.102]が、最近は

たんばく質が大きく減少していることを紹介しました[No.103]。

 そして、この背景には最近の経済情勢の悪化(失業率の上昇)がある

と考えられること[No.104105]、低所得者層は相対的に穀類の摂取量

が多い一方で野菜類や肉類の摂取量が少ないこと[No.106]、さらに肥

満者の割合も高いこと[No.107]を紹介しました。

 さらに、4割近くの人が過去1年間に経済的な理由で食物の購入を控え

た又は購入できなかった経験があったとする調査結果を紹介しました

No.108]。

 

 社会経済情勢が食生活に及ぼしている影響等については、今後も注視

していきたいと考えています。

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおら

 れる方達やトピックスを紹介してきました。

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 本欄でも熊本農業について取り上げました。

 「火の国」と呼ばれる熊本が実は地下水など水資源に恵まれている

「水の国」であること[No.92]、阿蘇の草原は農業生産活動(あか牛生

産等)により維持されていること[No.93]について、熊本在住中の個人

的な経験も踏まえて紹介しました。

 関連して、阿蘇も認定されている世界農業遺産(GIAHS)[No.100]

『くまもと食べる通信』[No.94]も紹介しました。なお、『くま食べ』は

現在休刊中ですが再開が待たれるところです。

 

 福島の関係では、福島・広野町と双葉郡の復興を目指す町民有志によ

NPO
法人「広野わいわいプロジェクト」[No.97]、避難者の支援のほ

か様々な情報発信を続けておられる番場さち子さん(ベテランママの会、

番來舎)[No.107]を紹介させて頂きました。

 また、開沼博先生、吉川彰浩さん、竜田一人さん共著による『福島第

一原発廃炉図鑑』[No.96]も取り上げました。

 (株)さとゆめは、広野町の復興にも関わっている伴走型のコンサル

タント会社です[No.90]。

 

 茨城・那珂市で自然農法をされている和知健一さん(ポコアポコ農園)

No.106]、都市部で食育等にも積極的に取り組んでおられる冨澤剛さ

(東京・三鷹市) No.108]、千葉・香取郡神崎町の酒蔵・寺田本家

No.88]も紹介させて頂きました。

 NPO法人江戸東京野菜コンシェルジュ協会理事長の納所二郎さんは画

伯・書家でもあります[No.91]。

 

 フロマエカフェ(東京・西日暮里)は、東京朝市・アースデイマーケッ

トから派生した「縁農カフェ」です[No.103]。東京・葛飾区立石で個

人的にマルシェを開催されている横山知代さん[No.98]、ものづくり

の本場である東京・葛飾区で開催されている「すみだ川ものコト市」

No.105]、井の頭公園に隣接する素晴らしい環境にある「森の食卓」

No.102]、コミュニティづくりの実験室・ご近所ラボ新橋[No.89]、

農的社会デザイン研究所の蔦谷栄一先生が山梨市牧丘町で運営されてい

る「みんなの家・農土香(のどか)」も紹介させて頂きました[No.104]。

 

 豆知識欄で取り上げたいわゆる「食の安全・安心」の関連で、内閣府

食品安全委員会も取り上げました[No.99]。

 今年は奥沢ブッククラブ「No.95」に参加することにより読書会の楽し

みを知ることができました。改めて読み直した正岡子規『仰臥慢録』は、

食と生への執着が赤裸々に綴られている最晩年の日記です[No.86]。

 また、本メルマガ発行でもご著書を大いに参考にさせて頂いている和

暦研究家・高月美樹さんも紹介させて頂きました[No.87]。

 

 今年も多くの方とご縁を頂きました。この場を借りてに感謝申し上げ

ます。

 

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  ほんのさわり

  食や農の分野について、考えるヒントとなるような本の「さわり」

 だけを紹介する新コーナーでは、以下の本を紹介させて頂きました

 (敬称略)。

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No.102]高橋博之「都市と地方をかきまぜる」(2016.8、光文社新書)

No.103]蔦谷栄一「農的社会をひらく」(2016.4、創森社)

No.104]中村靖彦「日本の食糧が危ない」(2011.5、岩波新書)

No.105]西田栄喜「小さい農業で稼ぐコツ」

      (2016.2、農山漁村文化協会)

No.106]西加奈子「まく子」(2016.2、福音館)

No.107]大和田順子「アグリ・コミュニティビジネス」

      (2011.2,学芸出版社)

No.108]大江正章「地域に希望あり:まち・人・仕事を創る」

      (2015.5、岩波新書)

 

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 冬の江戸東京野菜収穫体験&山分け(東京・練馬、ファーム渡戸)

  
(12/14)

  http://food-mileage.jp/2016/12/14/

 

 Refugee
Talk –
難民を学ぶタベ (12/17)

  http://food-mileage.jp/2016/12/17/

 

 広野町ボラバス2016−東北に春を告げるまち・福島県広野町へ行こ

 う!(1)(2)
(12/23
25)

  http://food-mileage.jp/2016/12/23/

  http://food-mileage.jp/2016/12/25/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

 市民科学研究室「実践料理講習会+新年交流会」

 日時:18日(日)1400〜、1700

 場所:アカデミー湯島・実習室(東京・文京区湯島2

 主催:NPO法人
市民科学研究室

 (詳細、お問合せ等

  http://www.shiminkagaku.org/20100020161106/

 

 共奏キッチン
in
フロマエ

 日時:110日(月)17:0021:00

 場所:From
a & e
フロマエ(東京・西日暮里4

 主催:From
a & e
フロマエ

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/188094378321064/

 

 第7
ロータス寺市

 日時:114日(土)10:3016:30

 場所:常圓寺(東京・西新宿7

 主催:ロータス寺市

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1710438422604083/

 

 第2回ご近所sdラボ「あなたの命をつくる食べものの選び方」

 日時:118日(水)19:0021:00

 場所:ご近所ラボ新橋(東京・港区新橋6

 主催:ご近所ラボ新橋

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/154715605011545/

 

 健康まちづくりまち歩き神田川沿い

 日時:126日(木)1300

 場所:神田川沿い(日本医学教育歴史館を含む。)

 主催:NPO法人
市民科学研究室

 (詳細、お問合せ等

  http://www.shiminkagaku.org/20100020161216/

 

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*今夜のコツコツ小咄。

「年越しはお蕎麦ではなく、煮込みうどんにしようと思うの」

「おお、味噌か(大晦日)」

 注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、

  絶賛(?)投稿中です。

  https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7

 

* 次号No.110は、112日(木)[師走十五日]の配信予定です。

  より有用な情報の発信に努めていきたいと改めて考えています。

 読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也