【豆知識】相対的貧困率と可処分所得の推移

 前々回は、日本の経済成長率が低迷する中で格差が拡大している状況を紹介しました。
 今回は、この同じ統計(厚生労働省「国民生活基礎調査」)にある別のデータをみます。リンク先の図68をご覧ください。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2017/02/68_hinkonritu2.pdf

折れ線グラフは前々回に示したもの(図66)と同じもので、相対的貧困率と子どもの貧困率(17歳以下の子どもがいる世帯から計算)の推移を示しています。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/66_hinkonritu.pdf

おさらいですが、相対的貧困率とは等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分(貧困線)に満たない世帯員の割合です。
 図68の棒グラフは、この中央値と貧困線の推移を示したものです。

これによると、1985年から97年までは可処分所得(中央値及び貧困線)が増加するなかで格差が拡大していたのですが、それ以降は可処分所得が減少に転じるなかで(「脱成長」のなかで)格差が拡大し続けていることが分かります。

なお、2000年から2003年にかけては可処分所得が減少するなかで貧困率が低下して(格差が是正されて)いますが、これは貧困線が低下することに伴い、貧困線に満たない世帯員の割合が低下したという事情もあるものとも考えられます。

[参考]
 内閣府「国民生活に関する世論調査」(2016年7月調査)
  http://survey.gov-online.go.jp/h28/h28-life/2-2.html
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-F.M.豆知識」
  http://food-mileage.jp/category/mame/

F.M.Letter No.113, 2017.2/26掲載】