【ブログ】多磨全生園(東京・東村山市)

靖国神社の標準木のフライイング(?)により、東京地方では全国で最も早く3月21日(火)に桜の開花宣言が出されました。
 最寄駅の前の桜並木にも早々に提灯が飾られたのですが、その後は天候不順の日が続き、3月末になってもソメイヨシノは1~2分咲き程度です。

そのようなある日、「育てる醤油キット」が届きました。
 先日、東京・八王子での講演会の際に知り合った方に紹介頂いたもので、京都・綾部に移住された人達(今しぼり醤油)が作っておられるそうです。
 水を入れて最初は毎日かき混ぜ、半年ほどで醤油ができるとのこと。楽しみです。

2017年4月1日(土)。新年度最初の日。
 午後になって前日からの冷たい雨もようやく上がったようなので、久しぶりに多磨全生園(ぜんしょうえん)に出かけてみました。ハンセン病からの回復者(元患者)の方達の後遺症への対応等に当たっている国立療養所です。
 自宅から自転車で10分ほど。まだ時折、細かな雨が落ちてきます。

全生園の広い敷地は、とげのあるヒイラギの生垣で囲まれています。かつて強制隔離政策が行われていたことの名残とのこと。現在の生垣の背丈は低く、葉っぱには多くの虫食いがありました。
 山吹舎は、1928年に入所者により建築された4軒長屋がを再現したもの。十二畳半の部屋に8名が同居し共同生活していたそうです。

敷地内には雑木林等もあり、武蔵野の面影が残っています。
 そのようななかに鮮やかなピンクの花。地元小学生が記念植樹した「陽光」という桜だそうです。
 小さな黄色い花をつけているのはクロモジでしょうか。

近くには「豚舎と牛舎跡」の説明板。現在も多くの畑はありますが、かつて畜産や養蚕も行われていたそうです。

林の中にある納骨堂には花や線香が手向けられ、手を合わせる人の姿も。4000人以上が祀られているそうです。周囲の花ダイコンの紫色の花が、雨に濡れていました。
 「尊厳回復の碑」にも花束が捧げられていました。かつて治療と称して、断種や強制堕胎も行われていた時代もあったそうです。

国立ハンセン病資料館へ。入口の母娘遍路像がハンセン病の歴史(誤解や無理解)を象徴しています。
 館内には膨大な資料。実物はもとより、パネル、模型、映像・音声などでハンセン病の全体像を把握することができます。しばしば声を失います。

窓からソメイヨシノの並木が見えました。
 ここは花見の名所なのですが、まだ1~2分咲きといったところです。

センターを出て冷たい空気に当たるとほっとしました。雨はほぼ上がっています。

お食事処「なごみ」へ。施設内の食堂ですが一般の人も利用できます。
 映画『あん』のサイン入りポスターや色紙。
 樹木希林さんが演じた徳江さんの衣装も展示されていました(試着して写真をとってもいいですよ、とお店の人が言って下さいました)。

映画にも出てきたぜんざいを頂きました(ふだん、あまり甘いものは頂かないのですが)。「旅する小豆たち」と命名したのは、『あん』の原作者・ドリアン助川さんだそうです。

『あん』については、1月に東久留米市での上映会・講演会に参加しましたが素晴らしい映画です。
 熱くて甘いぜんざいを頂きながら、『あん』の一場面一場面が心に蘇ってきました。