【ブログ】双葉ばら園の絵本を応援(結イレブン vol.48)

2017年12月11日(月)は、2時間ほど早く退庁して横浜へ。
 この日18時30分から、JR横浜駅に近い神奈川県民センターで48回目の「結イレブン」が開催されました。

結イレブンとは、東日本大震災の月命日(毎月11日)に、被災地・被災者のことを忘れないために続けられてきたイベントです(主催:すずめの未来市、国際青年環境NGO A SEED JAPAN、NPO 元気になろう福島)。

開会に当たり、元気になろう福島の根本二郎理事長から
「丸4年続けてきた。間もなく50回目、そして明年3月には震災から丸7年という節目を迎える。これからも被災地の復興支援について考えていきたい」等の挨拶。

この日の会場での参加者は9名。
 かながわ「福島応援」プロジェクト(kfop)に携わっておられる女性、母親が仙台出身で家庭裁判所の調停員をされている女性、福島・浪江町出身で出版会社の代表をされている男性。

A SEED JAPANからは、西島事務局長と学生ボランティアの男性が運営スタッフを兼ねて参加。
 さらに、芝浦工業大学の10数名もウェブ会議システムで参加しています。

この日のテーマは「双葉ばら園の絵本『じいじとバラ』応援アイデアを考える」。

企画中という絵本(タイトルは未定)について、葉方丹(はかた・たん)さんから紹介がありました。
 葉方さんはテレビ局等で活躍された脚本家・演出家。NPO元気になろう福島のメンバーでもあり、現在も被災地支援に関連するドキュメンタリ映像や絵本の製作等に携わっておられます。

葉方さん(文責は中田)
「これまで、津波で多くの児童が亡くなった大川小学校(宮城・石巻市)のお母さん達へのインタビューを基にした『ひまわりのおか』、元気になろう福島では福島の子どもたちの作文で『子どもたちの3.11』という2冊の絵本を作った。
 今度は双葉ばら園のことを絵本にしたい」

「NHK『趣味の園芸』という番組で一年かけてバラを取り上げる企画があり、全国各地のバラ園を取材した。福島・双葉町に素晴らしいバラ園があることは聞いていて、行こうと思っていた矢先に震災と原発事故が発生。双葉ばら園は避難区域に入り、廃園となってしまった」

「後にドキュメンタリ『わが心 の薔薇園』を製作した。
 園長だった岡田勝秀さんの『俺は50年近くをかけてバラと話ができるようになった』『その人生そのものが消された』等の言葉が心に残っている」

「ふるさとを、そして家族を含めた人との繋がりが失われた。これらのことは映像では表現できない。だったら絵本にできないかと考え、岡田さんに持ち掛けると『自分のやってきたことが形に残るのは励みになる』と涙を流して賛同して下さった。
 これは何としても完成させなければならないと思っている。ぜひ、力添えを頂きたい」

「実は今日も岡田さんをお誘いしたが、74歳になられて夜の遠出は難しいということで、代わりに次のようなメッセージを預かってきた」

「『17歳でバラと出会い、47年かけてバラ園を完成させた。それが原発事故で立入り禁止になりヤブになってしまったことは、言葉で言い表せないほど悔しい。今も気持ちの整理がつかない。多くの人が同じように苦しんでいる。私がしてきたことが絵本という形で残ることは婿しい』」

続いて15分程に編集した『わが心の蓄薇園』が上映されました。

1968年にオープンした2万2千坪のバラ園の、震災前の美しい姿と、被災後の荒れた様子が対比されるように映し出されていきます。
 震災3ヶ月後に初めてバラ園を訪れた岡田さんには、『何で今頃来たの』『もう帰るの』等のバラの声が聞こえたそうです。

被災地支援にも力を入れておられるという浜田真理子さん(松江在住)の挿入歌『のこされしものの歌』等が、心に沁み入ります。

その後、接続に若干手間取りつつも、ウェブ会議システムを通じて芝浦工業大学大学院の長島裕樹氏から「笑顔のまちなこそ復興プロジェクト」(学生プロジェクト)の紹介。

福島・いわき市勿来地区において、「くぼたんけん」(まちあるき)や「かるたんか」(カルタ)等により、双葉町からの避難者と元の住民との交流促進等に取り組んでいるそうです。

後半は、絵本を応援するアイデアについての話し合い。

シナリオは葉方さんが書き下ろし、作画もボランティアで引き受けてくれるという作家に頼んであり(サンプルを見せてくれました)、出版社も目処が立っているそうです(半分は引き取るのが条件とのこと)。

ただ葉方さんは、資金面よりも、どのように多くの人に広めていくかが課題と捉えておられるようです。
 このため、できれば3.11に間に合うように(テレビ等で取り上げてもらいやすい)、遅くとも薔薇の季節(5月頃)までには完成させたいとのこと。

参加者からは、
 「クラウドファンディングを検討してみてはどうか。資金調達面だけではなく、話題になればメディアが取り上げてくれるという効果も期待できる」

「バラ園の絵本を通して世界の子どもや大人に被災地の実態を伝えていくために、英訳をつければどうか」

「小学校や地域で読み聞かせの活動をされている方に、取り上げてもらってはどうか」等のコメントがありました。

さらには、「ネットを活用し、電子書籍化する、あるいは一部だけでもサンブルページで見られるようにしてはどうか」とのアドバイス。
 進行役の鈴木亮さんからは、双葉町役場は海沿いに開設する公園にバラを移植する構想もある旨の紹介も。

芝浦工大の皆さんからは「自分たちもSNSで拡散していく。勿来の方たちにも勧めたい」等の発言がありました。

資金面については、葉方さんは今は年金生活のお立場ながら身銭を切る覚悟のようです(7万部売れた『ひまわりのおか』の印税は、全額を子どもの捜索のために寄付されたとのこと)。

最後に根本さんから「出版するからには、みんなでアイデアを出し合って広く読んでもらえるものにしていきたい」との言葉で閉会。

進行役の鈴木亮さんから当面の予定の説明。
 1月11日(木)の第49回は「農村と都市とSDGs~福島・浜通りから有機農業の未来を描く~」と題して開催予定、2月には現地ツアーも予定しているそうです。

また、かながわ「福島応援」プロジェクトの方からは「ふくしまの農と人とつながる講演会」(1月20日)の紹介もありました。

20時30分過ぎに終了。
 各自、販売されていた きぼうの種カンパニー(福島・二本松市東和)の野菜などを求めた後、会場を片付け、有志(?)数名は地元の方に案内して頂き駅近くの中華料理店へ。
 さすが横浜! 餃子など美味しく頂きました。