【メルマガ】 F.M.Letter No.147

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.147◇
 2018年7月13日(金)[和暦 水無月朔日]発行
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◆ F.M.豆知識  書店数と販売農家数の推移
◆ O.カレント  ハイブリッド型総合書店“honto”
◆ ほんのさわり 辻山良雄『本屋、はじめました』
◆ 情報ひろば  拙ブログ更新、イベント情報等
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 西日本を中心とした記録的な大雨による甚大な被害には言葉を失います。被災者の皆さまに、一刻も早く日常が戻ることを衷心よりお祈り申し上げます。
 時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月の日)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は本や書店にフォーカスしてみました。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるようなデータをコツコツと紹介していきます。

-書店数と販売農家数の推移-

街の中から書店が次々と姿を消しています。
 個人経営の小規模店だけではなく、日本を代表する大書店だったリブロ池袋本店(2015年7月)や青山ブックセンター六本木店(2018年6月)も閉店、パルコブックセンター吉祥寺店も本年7月29日をもって閉じられるそうです。

リンク先の図101の赤い折れ線グラフは、2000~17年の全国の書店数の推移を示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/07/101_shoten.pdf

2000年には 21,495店あった書店は、2017年には12,526 店へと約9000店減少、割合では42%も減少しています。
 この背景には、消費者の活字離れ、ネット通販の拡大、電子書籍の普及等があるとされています。

このグラフに販売農家数の推移をプロットしてみると、偶然ながら、実によく似た形となりました(緑の折れ線。同期間に50%減)。

農業の場合は、スピードは不十分ながら規模拡大が進み、新規に就農する人も徐々に増えています。
 一次産業が社会の基盤を支える重要な産業であると同様、書店は地域の知識基盤や景観を形成するのに無くてはならない存在にも思えるのですが、いかがでしょうか。

[出典]
 日本著者販促センターのホームページ
  http://www.1book.co.jp/001166.html
 農林水産省「農業センサス」「農業構造動態調査」
  http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kensaku/bunya1.html

◆ オーシャン・カレント -潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。

-ハイブリッド型総合書店“honto”-

“honto”は、「読書をもっと便利に! 楽しく!!」をキャッチフレーズに、(株)トゥ・ディファクトが運営するオンライン書店。

このサイトでは電子書籍の購入や立ち読みができるほか、大手書店と連携して全国200店舗の「紙の本」の店頭在庫まで検索することができます。
 気になる本があれば自ら足を運び、店頭で(大きさや手触りを含め)確認することができるのです。もちろん、紙の本をネット購入することもできます。

つまり、ここでは電子書籍と紙の本は「敵ではなく仲間」と位置づけられており、目的や利用シーンによって使い分けることが提案されているのです。

また、「ブックツリー」というページでは、各分野の本に詳しい専門家(ブックキュレーター)が独自のテーマで選んだ推薦本を、その時の関心や興味、気分に沿って検索することができます。「こんな本を読んでみたい」と思った時には、非常に役に立つ(痒い所に手が届くような)ページです。
 ちなみに、僭越ながら私もキュレーターの末席に名を連ね、“私たちの「食」を考えるヒントとなる本”として5冊を紹介させて頂いています。

[参考]
 ハイブリッド型総合書店“honto”
  https://honto.jp/
 “私たちの「食」を考えるヒ ントとなる本”(ブックツリー)
  https://honto.jp/booktree/detail_00006387.html

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。

-辻山良雄「本屋、はじめました-新刊書店 Title 開業の記録」(2017/1、苦楽堂)-
 https://title-books.stores.jp/items/585631921003154aa0012c64

1972年神戸生れの著者は、早稲田大学を卒業後、書店の全国チェーン・(株)リブロに入社し広島、名古屋の店長等を歴任。
 池袋本店のマネージャーを務めていた2015年7月に同店が閉店した後に退社、2016年1月、東京・荻窪に「本屋・Title」(タイトル) を開業された方です。
 著者自身、「あとになって、ここ数年で個人が新刊書店を開いたケースはほとんどないということを聞いた」と記しておられます。

本書には、場所の下見・物件探し、内装や仕入れ等の経緯が具体的に記録され、巻末には「事業計画書」も掲載されているなど、書店のみならず新規起業を目指す方にも大いに参考になりそうです。

その事業計画書に、著者は、独立・開業の動機を「お客さまの顔が見える規模でもう一度仕事がしたい」と書かれています。
 「小さな本屋では自然とお客様と話すようになる。接客とは本屋に残された数少ない可能性の一つではないか」とのこと。さらに「個人でやると、本が数字の積み重なりではなく、ちゃんと本になる。お客さんが『消費者』じゃなくてちゃんと1人の『ひと』になる。店をやっていて、嬉しいことはそれですね」とも語っておられます。

また、本屋・Title の店内にはギャラリーとともにカフェが併設されています。
 そこで使う食材は地元産を重視し、「顔の見える」取引先と契約しているとのこと。産地 や販売の現場を知っていることで、「食」を通じてより多くの情報を客に伝えることができるとのことです。

これからの書店も食も、「顔の見える関係」が共通するキーワードになりそうです。

[参考] 本屋・Title
  http://www.title-books.com/

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 加須パワーフードでまんぷくナイト(@ちよだいちば)[6/27]
 http://food-mileage.jp/2018/06/27/blog-112/

○ オーボエ・お笑いコラボ、レザミ寄席[6/30]
 http://food-mileage.jp/2018/06/30/blog-113/

○ サンピンメシと、酒と、福島と(神田・なみへい)[7/2]
 http://food-mileage.jp/2018/07/02/blog-114/

○ IBUKI-vol.3-“自分の好き”で突き抜ける[7/4]
 http://food-mileage.jp/2018/07/04/blog-115/

○ 銀座農業コミュニティ塾 第4回勉強会[7/9]
 http://food-mileage.jp/2018/07/09/blog-116/

○ 第42回 縮小社会研究会[7/12]
 http://food-mileage.jp/2018/07/12/blog-117/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 第53回 天山祭り
 日時:7月14日(土)11:30~14:00
 場所:天山文庫 前庭(福島・川内村大字上川内)
 主催:川内村天山祭り実行委員会
 (詳細、お問合せ等↓)
 http://www.kawauchimura.jp/page/page000497.html

○ 証言ドキュメンタリー「福島は語る」上映会
 日時:7月22日(日)14:00~17:10
 (注:17日(火)、19日(木)18:30~にも開催あり)
 場所:光塾(渋谷・駅新南口徒歩1分)
 主催:NPO市民科学研究室
 (詳細、お問合せ等↓)
 https://www.shiminkagaku.org/201807_fukushima_film/

○ 第16回 脱成長ミーティング公開研究会
 日時:7月28日(土)13:00~17:35
 場所:ピープルズ・プラン研究所(東京・江戸川橋)
 主催:脱成長ミーティング
 (詳細、お問合せ等↓)
 http://umininaru.raindrop.jp/datsuseichou/tuo_cheng_zhangmitingu/di16hui_kai_cui_jiang_zuo.html
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 今号のコツコツ小咄
「七夕飾りの竹は、必ず毎年新しいものを使うんです」
「なぜですか?」
「笹の葉、さらさら」
 七夕は終わりましたが、多くの方の平穏を祈ります
 なお、コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
  http://food-mileage.jp/category/iki/

次号No.148は7月27日(金)、[和暦 水無月十五日]の配信予定です。
 より役立つ情報発信に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  http://food-mileage.jp/
 ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
  http://food-mileage.jp/category/blog/
 発行システム:『まぐまぐ!』
  http://www.mag2.com/