2018年9月15日(土)は3連休初日。パラパラと小雨が落ちる蒸し暑い日です。
久しぶりに東京・根岸の子規庵に足を運んでみました。
正岡子規の旧居で、各種の資料が展示されています。明治35(1902)年9月19日、子規はここで34歳11ヶ月の生涯を終えました。
子規の忌日・糸瓜忌に合わせて、9月一杯、特別展示(初公開の書簡、妹・律が代筆した『墨汁一滴』原稿等)が行われています。
庭には糸瓜や鶏頭。
雨上がりの鮮やかな色が目に染みます。
両国に足を伸ばしました。
秋場所で賑わう国技館と逆方向に10分ほど歩いた所に「喫茶ランドリー」があります。
新橋で開催されていた読書会の課題図書『マイパブリックとグランドレベル』の著者、田中元子さんがオープンさせたコミュニティ・スペース。
喫茶だけではなく洗濯や家事もでき、イベント等にも使わせて頂けるそうです。
ご著書を求め、ちょうど居合わせた田中さんの手を止めさせてサインして頂きました。
(限定のクラフトビールも美味しかったです。有難うございました。)
好天の翌16日(日)は、東京・武蔵野市の清水農園へ。
園主の清水茂さんとは何度かお会いし、先日(9月11日)の銀座農業コミュニティ塾ではお話を伺ったのですが、農場に初めて伺わせて頂きました。
桜橋というバス停で降りると、玉川上水のたもとには国木田独歩の文学碑。
上水の流れを別にすれば、今は周辺は住宅ばかりです。
さらに10 分ほど歩くと、住宅の間に少し開けた農地に到着。作業されている10数名の方々の姿が見えます。
近づいていくと清水さんの方から声を掛けて下さり、フェンスを開けて畑に招じ入れて下さいました。
この日は「たくわんズ」の方達が大根の種播きをする作業日です。
自分達で根を栽培・収穫し、酵母等にもこだわって、たくわん作りをされている方達とのこと。近くの幼稚園に通っていた子ども(清水農園で農業体験)のお母さんが中心のグループのようで、活動は今年で9年目になるそうです。
到着したときは、耕うんが終わり、マルチを敷く作業に取りかかったところでした。半数ほどは子どもです。
協力してマルチの端を土で固定した後、いよいよ種播きです。固定種(在来種)とF1種の2種類を播くとのこと。
清水さんから手順の説明。鉛筆の消しゴムの方を使って穴を開け、その中に1粒ずつ種を入れて土をかぶせます。発芽率を考慮して、マルチの穴1箇所にF1は3個ずつ、在来種は5個ずつほど。
子ども達は、鉛筆を取り合うようにして播いていました。
作業はほどなく終了。
欲しい人には、畑に実っている野菜を分けて下さいました。値段は、例えば大きなバターナッツ(かぼちゃ)なら1個、ネギなら5束で200円(安い!)。
「いくらでも持って行っていいよ」と清水さん。各自、思い思いにに収穫し、自己申告でお金を置いていかれます。
秋晴れの1日、子どもも大人も、土や野菜に触れたためか、穏やかで晴れ晴れとした表情です。
その後、清水さんのアトリエ(清水さんは絵描きでもあります。)に招じ入れて下さり、お茶をご馳走になりながら、色々と話を伺いました。
清水さんが子どもの頃の写真も見せて下さいました。今とは全く異なって広い畑と雑木林が拡がっており、独歩が『武蔵野』で描いた光景を偲ぶことができます。
当時は高い建物がなかったため、ご自宅の縁側から富士山が望めたとのこと。
帰り際、ご家族の皆さまから立派なゴーヤと自家製のぶどうジャムまでお土産に頂き、あろうことか、駅まで送って下さるという言葉にまで甘えてしまいました。
お忙しいところ、申し訳ありませんでした。
畑には、幼稚園児達が早く植えた大根の芽が出揃っていました。
食の安全よりも「健全な食」を目指して有機農業に取り組んでおられると言う清水さん。
その畑は決して広いとは言えませんが、子ども達や地域の方たちにとって貴重な農業体験や交流の場となっています。
都市農業の役割の大きさは、面積や生産量だけで測れるものではないことを、再認識した1日でした。