【豆知識】明治時代の食生活

現代の「飽食」を嘆くあまり、江戸時代や明治時代の食生活が理想的であったとする説がありますが、実際に明治時代の食生活はどのようなものだったでしょうか。
 リンク先の図106は、1人1日当たりの供給熱量の品目別の構成比について、明治時代と現在とを比較したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/09/106_meiji.pdf

 これによると、明治時代末(統計が残っている最も古い1911(明治44)~15(大正4)年平均)の1人1日当たり供給熱量は2,124kcalでしたが、これが現在(2015(平成27)年)には 2,416kcal と約14%増加していますが、その構成は大きく変化していることが分かります。

明治時代には穀類の割合が76.9%(うち米だけで59.2%)、いも・豆類が15.7%と、これらでほとんど(92.6%)を占めていました。
 それが現代は、穀類の割合は36.3%(うち米は 22.1%)にまで、いも・豆類は 6.0%へと大きく減少しています。一方、畜産物(0.4%→16.8%)や油脂類(0.6%→14.8%)が大きく増加しています。
 ライフスタイルの変化等に伴い、食生活の洋風化が急激に進んだことが分かります。

ところで明治末頃の女性の平均寿命(0歳の平均余命)は 44.73歳と、現在(86.99歳)の半分近くでした。
 むろん、これには食生活以外の多くの要因が関与していますが、当時の穀類やいもに偏った食生活が理想的という訳ではなかったことを示唆しているものと思われます(現在は逆に脂質の摂取過多が問題視されています)。

[参考]
農林大臣官房調査課編「食料需要に関する基礎統計」(1976)
 http://www.japanfoodstat.com/fbs/
農林水産省「食料需給表」
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/
厚生労働省「主な年齢の平均余命の年次推移(完全生命表)」
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/22th/dl/22th_11.pdf
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出典:メルマガ「F.M.Letter」No.152