【ブログ】問いの思考塾(対話塾・実践編)

2019年2月13日(水)の終業後は、東京・新橋のご近所ラボ新橋へ。
 隣の駐車場だったスペースが小洒落たビジネスホテルが変わっていて驚き!

この日19時から開催されたのは「問いの思考塾(対話塾・実践編)」。
 男性を中心に10名ほどが参加しました。

主催者は、毎週水曜日の「対話ラボ」のマスター・みずかさん。
 ボランティアとして被災地支援のために全国を回ったり、時には新潟の山間部でお米を作ったりお酒を飲んだり、ここ新橋では対話から社会を変えていく実験に取り組むなど、まさに八面六臂の活躍をされている方。

予定の19時を少し回ってスタート。
 みずかさんから、「問いの思考塾では、これまで少人数のゼミナール形式でダン・ロスステイン『たった一つを変えるだけ』という本を読み、質問作りの大切さを学んできた」

「今日は実践編の第1回。ゲストによる話題提供を受けて、自分の内側から湧き上がる問いを作り上げる筋力を鍛えるためのワークショップを行いたい」等の説明。

続いて、栄えある(?)第1回目のゲストとして声をかけて頂いた私から、スライドと資料を使って20分ほど話題提供。

なるべく多くの問いを出しやすい方がいいかと思い、特にストーリーは重視せずにアラカルト的に準備してきた8種類の図表を紹介しました。
配布資料。は4つ折にしてお配りしました。)

そして、食や農に関わる深刻な多くの問題の一因は食と農の間の距離が離れてしまっていることにあり、問題解決のためには「顔の見える関係」の再構築が必要で、自分自身もそのためにささやかながら取り組んでいきたいと説明(あくまで個人の見解です)。

17日(日)に予定しているイベント「空が青いからお寿司を巻くんです」も紹介させて頂きました。

ここで改めて参加者一人ひとりから簡単な自己紹介。
 ご近所イノベーター養成講座の修了生の方も数名。別のイベント等で何度かここに来られている方や、イベントのことを知らずに立ち寄ったついでに参加されたという方も。
 ご自身で自然農に取り組んでいる方もおられます。

その後、2グループに分かれての対話の時間。
 話題提供者(私)への質問、この場でさらに議論を深めたい質問に分けて、それぞれ手元の紙に書き出しつつ、対話が進められていきます。

ここでいくつか聞かれたので答えかけると、みずかさんから「今は答えないで下さい」とダメ出し。
 答えを求めず、グループで対話しつつ問いを構築していくことが本ワークショップの趣旨のようです。

2種類の質問についてグループでまとめたものを、みずかさんがホワイトボードに書き出していきます。

「話題提供者への質問」としては、
 グラフ類と結論との関係、
 家庭の食品ロスはどのように計測しているのか、
 耕地面積の減少に対して就業者数の減少の方が著しい理由は何か。

「この場でさらに議論を深めたい質問」としては、
 食と農の間の距離を近づける具体策とは、
 フードロスの定義と向き合い方、
 物の豊かさを求めることと収入との関係。

ここでブレイクタイム。
 みずかさんと、もう一人の水曜マスター・おってぃさんが、パスタ、ホワイトアスパラガス、いちご等を準備して下さっています。
 アスパラガスは、みずかさんが前週末にボランティアに行かれていた熊本で調達してこられたものとのこと。

後半も、さらに問いをブラッシュアップするための話し合いが続きます。
 コーディネータの指示に従い、黙って耳を傾けていると、様々な(刺激的な)発言か聞こえてきます。

「そもそも食と農の間の距離を縮める必要があるのか。個人の考え方次第、多様性があっていいのでは」
 「どうして顔の見える関係が食に対する不安や食品ロスの解消につながるのか理解できない」
 「物理的な距離が近ければ良いというわけでもなく、多くの地域の多様な食品を食べる方が健康にも良い。むしろ作る人と食べる人の気持ちが通じているかどうかが重要では」

「消費者が安さと見栄えだけで食品を選んでいることが問題」
 「個人の選択に委ねるだけではなく、国が主導して問題解決に当たるべきではないか」

「絶対的に知識が不足している。魚が切り身で泳いでいると思っている人さえいる。昔は鶏も自分で絞めていたのに」
 「外食や中食が増えているのは、お金で時間を買っているため。便利さのために手放したものも多いのでは」
 「核家族が増えるなか、血縁にこだわらない地域コミュニティのなかで共食を進めていくことが効果的では」

最後にみずかさんから「この時間を過ごして感じたことをキーワード的に」と促され、
 「余白の時間を持っていたい」
 「多くの人はそもそも問題意識も持っていない。リーダーが先陣を切る必要」
 「感じるまま、あるがままに対応するしかない」
 「未来の子ども達のために、今、大人が責任を持って安心できる食べ物を確保していくことが必要」等のコメントが出されました。

最後にようやく発言の機会を得られ、いくつかの質問について個人の立場から回答。
 短時間で、十分には説明できませんでした。

率直な感想としては、食や農についての参加者の方々の知識や経験のレベルは様々であり、途中で技術的な質疑応答を行い、ある程度の基本的な情報は共有しておくことが、より実りある対話につながるのではないか、ということ。

また、話題提供も、今回のように幅を広げずに1つか2つのテーマに絞った方が良かったのでは、とも思いました。

21時に終了。後片付けをして施錠して退室。いつもの中華料理屋さんで延長戦(?)。

23時を回ってお開きに。ご近所ラボ新橋でのイベントは、いつも刺激的です。
 ちょっと自宅が遠いのが難点ですが。