【ブログ】ふくしま有機ネット交流サロン in 東京

2019年2月16日(土)は比較的暖かい一日。午後から東京・神保町(千代田区神田)に向かいました。
 翌日の主催イベントの準備もできていないのですが、こちらも顔を出さない訳にはいきません。

この日、EDITORY 神保町というイベントスペースで開催されたのは「ふくしま有機ネット交流サロン in 東京」。

NPO福島県有機農業ネットワーク(ふくしま有機ネット)が東京で開催する交流会の2回目(立正校正会「一食福島復興・被災者支援事業」助成)で、私は昨年に続いての参加です。

また、昨年12月のふくしま有機ネット主催「ふくしまの農家を巡るスタディツアー」の際に、お世話になった方達と再開できるのも楽しみです。

15時、ふくしま有機ネットの浅見明宏理事長(ひぐらし農園、喜多方市)による開会の挨拶(以下、文責は全て中田にあります)。
 ちなみに浅見さんは千葉県の出身、埼玉・小川町での研修を経て会津・喜多方市山都町(やまと)に移住・就農された方です。

「東京での交流会は2回目。福島からのゲストの方から、直接、現地の話を聞いて交流して頂くとともに、福島と縁のある首都圏の方同士で横の交流も進めてもらいたい。
 さらに福島に関わるきっかけを見つけて頂ければ幸い」

続いて鈴木亮さん(ふたば地域サポートセンター)から、双葉郡の現状について説明がありました。

昨年11月にオープンした「ふたばいんふぉ」は、双葉郡全体(8町村)のアーカイブ施設で、情報発信する民営の拠点(ここもツアーの際に訪問させて頂きました)。

東京と福島とではギャップが大きく、同じ福島県内、さらに浜通りの中でも地域によって状況は全く異なるとのこと。

ちなみに亮さんは神奈川・鎌倉出身。
 富岡町に単身移住され、浜通り地方の復興に尽力されている方です。

第1部は、福島からのゲストによるトーク。

最初の報告は、谷 咲月(さつき)さん。
 谷さんは静岡の出身。(一社)ふるさとと心を守る友の会の代表で、大熊町で「もーもーガーデン」を運営されています(ツアーの際にもお話を伺いました)。
 ユーモアを交えつつ、スライドを使って取組みの紹介をして下さいました

「もーもーとはふざけたような名前だが、ある人から “Mow” には草を刈るという意味があると教えてもらった。
 大震災と原発事故を生き抜いた牛を生(活)かすことで、山林化・荒廃化しつつある土地を保全する取組みにふさわしい名前」

「牛が殺処分されるニュースをみて何とか助けられないかと、2013年に大熊町の田んぼ2枚、牛6頭から取組みを始めた。信頼できる仲間やボランティアの方達とともに取り組んできており、現在は6haの土地で11頭の牛(もーもーイレブン)を放牧している」

「草ぼうぼうだった土地は、働き者の牛達によって見事に美しくなった。被災牛の放牧は、牛達の命だけではなく、地域の景観や環境を守るなど多くのメリットがある」

「現地の方々の多くは、天保の飢饉等があっても守り抜いてきた農地を自分の代で荒らしてしまうことの罪悪感を持っている。多くの人の涙を見てきた。
 このようなことを二度と繰り返すことのないよう、平時から体制を構築しておくことが必要。クラウドファンディングも計画中」

続いて、岡 洋子さんと石井絹江さん(浪江まち物語つたえ隊)による紙芝居の上演です。
 ツアーの際には、岡さんが自宅の納屋を改装してオープンされたカフェ(O CAFE)で、鑑賞させて頂きました。

演目は『浪江ちち牛物語』。
 昨年のツアーの際には、岡さんがご実家の納屋を改装されたオカフェで鑑賞しました。ちなみに浪江町は2017年3月に避難指示が解除されたばかりです。

紙芝居に登場するのは乳牛たち。原発事故で避難指示が出され、残された牛たちは殺処分されてしまいます。
 モオ-、モオーという悲痛な叫びが胸に迫ります。

上演後、浪江町で酪農を営んでいた石井さんは声を詰まらせつつ、
 「家族同様の存在だった牛たちの声を忘れたことはない。このようなことになってしまったことを、これからも発信していきたい。避難指示は解除されたがこれからも闘っていく。亡くなったたち人のためにも、声を大にして伝えていきたい」と訴えられました。

なお、現在、石井さんは震災後避難された福島市で、ご主人と石井農園を経営されています(えごま油など加工品販売も)。

再び浅見さんがマイクを取られ、サポーターズクラブの紹介。

生産者と消費者が垣根を越えて共生、未来の福島・日本の農業を共に考えて行こうという趣旨とのこと。
 野菜、お米などの「お返し」もあるそうです。

後半は、福島自慢の地元素材を活かした食事、日本酒を頂きながらの交流会です。
 特産品や書籍のミニマルシェも(南相馬市の「油菜ちゃん」を求めさせて頂きました)。

実家は会津・喜多方の米農家という山田みきさん(笑むすび∞)から、この日のおむすびのラインナップの紹介。
 山田さんの明るいキャラクターで、会場の雰囲気は一変(山田さんは、今回の拙メルマガでも紹介させて頂きました)。

おむすびのほか、テーブルには様々な料理が並んでいます。
 浅見さんの奥様手作りのポテトサラダも(美味!)。

会場の一画には「日本酒BAR」もあります。

福島県は、全国新酒鑑評会での金賞受賞数が6年連続日本一という酒処です。
 浅見さんが作られている「上堰米のお酒」を含め、選りすぐりのラインナップ。

ソフトドリンクも、多数、準備して下さっています。

福島から来られた方達、昨年のツアーでご一緒した方達、久しぶりにお会いした方、初めてお会いした方も。
 美味しい食事と飲みものを頂きながら、楽しい時間を過ごさせて頂きました。

東日本大震災と原発事故から、もうすぐ丸8年。
 「東京に来るたび福島とのギャップを感じる」という亮さんの言葉が耳に残っています。