【ほんのさわり】菊池勇夫『飢饉』

菊池勇夫『飢饉』 (2000.7、集英社新書)
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本書は、1950年青森県生まれで日本近世史・北方史を専門とする著者が、日本における飢饉の歴史を明らかにし、その発生メカニズムや未然に防ぐための社会システムのあり方等を論じた書です。

「日本書記」以来、数年に一度、あるいは毎年のように日本のどこかで飢饉は発生していたとのこと。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】市川英樹さん(福島田んぼアートプロジェクト)

市川英樹さん(福島田んぼアートプロジェクト実行委員長)は愛知県のご出身。東京電力・福島第一原子力発電所の事故後、廃炉作業員として初めて福島に来られました。
 毎日、現場に向かう車中から市川さんが見たものは、事故により避難が強いられるなどして管理ができなくなり、雑草に覆い尽くされた田んぼの風景でした。事故前は地元の、さらには首都圏の食を支えていた田んぼの無残な姿に、市川さんの胸は痛みました。

その一方で、市川さんは地元の方たちの暖かさに触れるうちに、次第に福島の地に魅かれていきました。そして2015年に移住を決心し、いわき市四倉町で農業を始められたのです。
 回りには、まだまだ荒れた田んぼがありました。市川さんは、地域の田んぼを再生し、農と食の元気な姿を発信することで、福島・浜通りの復興に貢献したいという思いを強く抱くようになりました。

その思いをどのように形にするか模索していた市川さんは、隣の田村市常葉地区で「田んぼアート」の取組みが行われていることを知り、足を運びました。田んぼアートとは、古代米など色の異なる稲で田んぼに絵柄を描くというものです。さらに、発祥地とされる青森・田舎館村も視察されました。… 続きを読む

【豆知識】過去の平均気温の推移と災異改元

前号では、平成までの246回の改元のうち、災害や飢饉など凶事を理由にした災異改元が4割以上を占めていることを紹介しました。
 それでは、災異改元が行われた年(あるいはその前年)は、実際に飢饉等が起こるような気象条件だったのでしょうか。

近年、樹木の年輪幅や湖沼の堆積物のデータ、あるいは古文書の記録等を用いて、過去の長期的な気温や降水量の推移を解明する「古気候復元」の研究が進展しています。
 総合地球環境科学研究所「気候適応史プロジェクト」もその一つで、同プロジェクトのウェブサイトでは、樹木の年輪幅から再現した西暦800年以降の夏季(6~8月)の平均気温のデータ(1961~90年の平均気温との偏差)が公開されています。

リンク先の図119の折れ線グラフは、このデータを図示したものです。ただし1514年まで(青)は東アジアの、1515年以降(緑)は東アジアのデータから抽出した日本の平均気温の推移を示しています。… 続きを読む

【ブログ】第31回 森の読書会

2019年4月27日(土)。平成の時代も残りわずかです。
 10連休の初日は、東京・吉祥寺へ。
 ここ数日天候不順で気温も低い日が続いていましたが、この日も冷たい小雨がポツポツ。それでも井の頭公園には、傘を差して散策する人たちの姿。

満開のツツジ。
 保護されている珍しい野草(ナルコユリやキンラン)などが花盛りです。… 続きを読む

【ブログ】居酒屋ゆるぎ「巻き物の一夜」編@神田・なみへい

しばらくブログ更新をサボっているうちに、時候(二十四節気)は清明から穀雨へ。

ソメイヨシノは葉桜に。それも散った後を追いかけるように八重桜が満開へ。源平咲き(紅白)のハナモモなど百花繚乱。
 一年で最も生命力を感じる季節です。

そのようななか、飛び込んできたショッキングなニュースは、ノートルダム寺院の火災。

フランス国民、パリ市民の皆様の悲嘆は想像するに余りあります。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】改元と食糧、農業

元号は古代中国の発祥で、やがて東アジアのいくつかの国で採用されるようになりました。日本においては、大化の改新(645年)の際に『大化』が用いられたのが最初とされ、平成までで246回の改元が行われてきました。
 なお、現在も元号を用いているのは日本だけです(「本家」の中国では1911年の辛亥革命により元号は廃止され、現在は西暦(「公元」と称されます。)のみが用いられています)。

改元の理由は様々ですが、大きく分けて、天皇の交代による代始改元、吉兆とされる現象を賀して行われる祥瑞改元、天災地変など凶兆とみられる現象を理由にした災異改元、革命の年とされる三革(甲子、足辰、辛酉の年)に行われる革年改元の4タイプ(あるいはこれらの組合せ)があります。

ところで改元は、2つの意味で、食糧(注)や農業と大きな関連を有しています。
 1つは、「豆知識」欄でもみたように、改元のうち半数近くが災異改元であることです。 … 続きを読む

【豆知識】改元の回数と災異改元の割合


 新元号『令和』は、『大化』以来248番目の元号となります。来る5月1日(水)には皇太子殿下が即位され、247回目の改元が行われます。
 リンク先の図118の棒グラフは、平成までの改元の回数を50年ごとに図示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/04/118_gengou.pdf

明治時代に一世一元の制が採用されるまで、改元は比較的頻繁に行われていたことが分かります。1元号当たり平均の期間は5.3年に過ぎません。

改元の理由にはいくつかのタイプがありますが(「オーシャン・カレント」欄参照)、棒グラフのうち赤い部分が「災異改元」を表しています(注)。… 続きを読む

【ブログ】寮美千子さん講演会「詩が開いた心の扉」

2019年4月7日(日)。
 東京・東村山駅前のさくら通りでは桜まつり(交通安全 市民の集い)開催中。子ども達のお囃子や模擬店で賑わっています。
 例年だと盛りを過ぎてしまっていることが多いのですが、今年は満開の下での開催です。

その前日・6日(土)の夜は、東京・新宿歌舞伎町の… 続きを読む