【オーシャン・カレント】改元と食糧、農業

元号は古代中国の発祥で、やがて東アジアのいくつかの国で採用されるようになりました。日本においては、大化の改新(645年)の際に『大化』が用いられたのが最初とされ、平成までで246回の改元が行われてきました。
 なお、現在も元号を用いているのは日本だけです(「本家」の中国では1911年の辛亥革命により元号は廃止され、現在は西暦(「公元」と称されます。)のみが用いられています)。

改元の理由は様々ですが、大きく分けて、天皇の交代による代始改元、吉兆とされる現象を賀して行われる祥瑞改元、天災地変など凶兆とみられる現象を理由にした災異改元、革命の年とされる三革(甲子、足辰、辛酉の年)に行われる革年改元の4タイプ(あるいはこれらの組合せ)があります。

ところで改元は、2つの意味で、食糧(注)や農業と大きな関連を有しています。
 1つは、「豆知識」欄でもみたように、改元のうち半数近くが災異改元であることです。

「災異」の具体的な内容は、台風、水害、干ばつ等による農業被害、地震や噴火の発生、これらの結果としての食糧不足(飢饉)、疫病等と記録されています。
 禁裏における大火の発生や彗星の出現など、食糧等とは直接の関連が薄いものもありますが、災異改元の多さは、日本の歴史において食糧不足等の事態が頻繁に起こっていたことを示しているのです。

もう1つは、改元(新天皇の即位)に伴って行われる大嘗祭が、農業(特に稲作)と密接に関連していることです。
 これについては、次の「ほんのさわり」欄で紹介します。

(注)
「食糧」は穀物など主食を指し、野菜や畜産物など食べもの全てを含む場合は「食料」と表記するのが一般的です。

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出所:F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.165
 https://archives.mag2.com/0001579997/
(過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/pr/