【ブログ】第31回 森の読書会

2019年4月27日(土)。平成の時代も残りわずかです。
 10連休の初日は、東京・吉祥寺へ。
 ここ数日天候不順で気温も低い日が続いていましたが、この日も冷たい小雨がポツポツ。それでも井の頭公園には、傘を差して散策する人たちの姿。

満開のツツジ。
 保護されている珍しい野草(ナルコユリやキンラン)などが花盛りです。

JR吉祥寺駅から徒歩10分ほど、井の頭公園に隣接して「森の食卓」はあります。

様々なイベント、ワークショップ、セミナー等が開催されているコミュニティスペースですが、この日10時からは「第31回 森の読書会」が開催されました。
 午後からは引き続き「森のブックカフェ」も開催されます。

2階の部屋には天井まで届く書棚。窓からは緑の鮮やかな公園が望まれます。
 気持ちのいいスペースです。

この日の読書会の参加者は8名。10時を回り、主催者の田中瑛子さんにより開会。
 まずはチェックインとして、それぞれから自己紹介(呼んでもらいたい名前、どこから来たか、詩ってもらいたいこと等読書会に来られた思いなど)。

続いて、早速、それぞれが持ち寄った本の紹介です。

最初は偶然、瑛子さんの隣に座った男性から。
 西荻窪にお住まいで、この日は地域の資源ごみ回収のボランティアを済まされてからのご参加とのこと。
 紹介されたのは、30年後の医療の姿を考える会編『メディカルタウンの自分力』。

患者自身がいわば病気のプロフェッショナル。患者から学び、その体験等を他の人に伝えていくなど、「自分力」を重視した地域における支援のあり方が紹介されているそうです。

武蔵境から来られた若い男性のおススメは、イサベル・アジェンデ『日本人の恋びと』

老人ホームにいる80歳の女性の回想という設定で、チリ人の作家が描く第二次大戦直前のアメリカにおける令嬢と日本人庭師との恋の物語。
 人種や国籍、貧富を超えた恋の姿や、結局、結婚しなかった理由などに心打たれたとのこと(ネタバレは無し)。
 他の読書会にも参加されているそうですが、今年読んだ本で1番とのことです。

私が紹介させて頂いたのは、生源寺眞一先生の『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる(新版)』 。
 副題に「高校生からの食と農の経済学入門」とあるように、食べものや農業についてオーソドックスに学びたい人には最適のテキストです。

江戸川区から来られた女性(実家は三鷹とのこと)が紹介されたのは、大竹 稽 訳『(超訳)モンテーニュ 中庸の教え』

学生時代の専攻は国文学で、西洋の文学や哲学には全く縁は無かったそうですが、本書の訳者である大竹先生が主催する読書会に参加されたのをきっかけに手に取られたとのこと(サイン入り!)。
 毎朝の「自分と対話する時間」にこの本を開いて、本から問いかけてもらうことが楽しみ、とおっしゃっていました。

ご近所にお住まいで散歩しながら来られたという方からの1冊目は筒井康隆『旅のラゴス』
 1980年代の出版ですが今もベストセラーというSF。超高度文明が滅んだ世界で、超能力を活用しつつ旅を続けるというストーリーだそうです。GWにふさわしく旅の本を紹介して下さいました。

もう1冊は岩城けい『さようなら、オレンジ』。
 こちらはオーストラリアを舞台に、アフリカ難民の女性がたくましく生きていく物語です。

神奈川・川崎から来られた方が紹介して下さったのは、井上真吾『努力は天才に勝る』
 著者は、ボクシングの世界チャンピオンの父親 兼 トレーナー。子どもを尊重し対等に付き合うことの大切さ等が強調されているそうです。
 ボクシングの中継も楽しみになりました。

八王子から来られた学生さんからは、まず、綾屋紗月 編著『ソーシャル・マジョリティ研究』。ラジオで紹介されていた本だそうです。
 堅い学術書かと思いきや「普通の人はどこからがウザいと感じる?」「なぜ物音がしても声が聞き取れるのか?」等の問いに対する回答など、分かりやすく実践的な構成になっているようです。みんなで覗き込みました。

もう1冊の入江亜季『乱と灰色の世界』は、魔法使いを主人公にしたコミックス。マジョ(魔女)リティつながり?

さらに近藤聡乃『ニューヨークで考え中』というコミックスも。テーブルの上にぺたりと置ける珍しい作りになっています。

最後は瑛子さんから。
 1冊目は臼井健二、臼井朋子『パーマカルチャー事始め』。長野・安曇野に著者を訪ねた際に求められたとのこと。
 もう1冊は田畑健『ワタが世界を変える』

お母さま(「森の食卓」オーナー)のご実家がある栃木で、様々な取組みを計画されているそうです。少しずつ実現して行くのが楽しみです。

最後に1人ずつ、今日の感想など振り返り。皆さん、リアルな読書会の面白さを堪能されたようです。
 実際に読んだ人から推薦されると面白さが伝わってくる、自分では決して手を取らないような本を知ることができる、読書の幅が広がる、等の感想が出されました。

最後の最後は、今日紹介した本をテーブルを並べて記念撮影。毎回の恒例です。

落ち着いた雰囲気の中で、豊かな時間を過ごすことができました。
 今回の読書会にも、コミュニティ、多様性、対面・対話という、新時代につながるキーワードがちりばめられていたように感じました。
 紹介下さった本も、何冊か読んでみようと思います。

間もなく令和。外に出ると雨は上がっていました。