表面的な数字に惑わされないように

先週の土曜日は、山梨県上野原市の西原を訪ねてきました。8月21日の記事にも書いた「さいはら秋そばプロジェクト」の今年最後のイベントです。収穫し軒先に干してあった蕎麦を木槌で叩き、「とうみ」を使って選別作業。いつもながら、地元の「NPOさいはら」の皆さんにお世話になりました (拙ブログでも紹介しています)。

典型的な中山間地域で農地も少なく、過疎と高齢化が進むこの地域に、東京や横浜の若い男女が約10人ほど、何かを求めて集まりました。私のような中高年は少数派です。彼がさいはらを訪ねる目的は何なのでしょうか。逆にいえば、彼らを引き付けるさいはらの魅力とは何なのでしょうか。… 続きを読む

「農」とのつながり

 11日(土)の穏やかな休日、紅葉シーズンも過ぎて車も人も少ない奥多摩を抜けて、山梨県上野原市西原(さいはら)に向かいました。奥多摩湖は冬の陽を反射して輝いていました。
 この日は、「さいはら秋そばプロジェクト」の今年最後のイベントです。
 これは、池袋にあるNPO法人「ECOM」の企画から始まった有志によるプロジェクトです(… 続きを読む

表参道の「みずあかり」

 今年も、恒例の表参道のイルミネーションが始まりました。すごい人出です。

 そして今年は、その一画(というか中心部に)熊本の「みずあかり」が出展されています。
 「みずあかり」とは、熊本城近くの坪井川周辺を舞台に、孟宗竹と和ろうそくを使った様々なオブジェによるイベントで、2004年から開催されています。
 私も熊本在住中に観に行きましたが、竹のオブジェの明かりは幻想的で、様々な心の内面が映し出されるようです。
 坪井川にかかる橋の上で、若い女性が他人の子どもをよく見えるように抱き上げ、赤ちゃんをおぶったお母さんに感謝されていたシーンを思い出しました。水面に揺れる明かりは、私たちの心の中にある優しい気持ちを思い起こさせてくれるようです。… 続きを読む

新潟と歌舞伎町から

 12月3日(金)の朝、関東地方はものすごい豪雨、上がったと思うと午後には気温が急上昇と変な天気です。翌土曜日は雨も上がっており、上越新幹線は定刻通り新潟へ。ところが強風の影響で、新潟地方の在来線のほとんどが運休とのこと。新幹線の有難さは、その地方に住んでみないと分からないのかもしれません。あたかもこの日、東北新幹線は青森まで開業。

 県立新潟女子短期大学での特別講義に招かれました。この大学は、行政や他の大学と連携して、新潟市内の全保育園・幼稚園を対象にアンケートを実施するなど、地産地消に熱心に取り組んでおられます。その成果の一つとして、「みんなで育てよう!新潟の食」というパンフレットも作成されています。表紙のイラストは、地元食材を中心にした小学校の給食の献立です。

 さて、強風による交通機関の混乱にも関わらず、学生さん達は予定の10時にほぼ揃いました。前半はパワーポイントを使っての説明、後半はワークショップの予定が、説明がもたもたと長くなりWSの時間が足らなくなりました。先週から風邪気味、しかも前夜は職場の忘年会・・・というのは、もちろん言い訳にはなりません。

 短時間になってしまいましたが、2人一組で「私の晩ご飯」の献立作りと、フード・マイレージと輸送に伴うCO2を計測してもらい、発表と意見交換を行いました。
 そして、最後の一人の学生さんから、考えさせられる意見を頂きました。その発言とは、「私は山形出身で、いつも実家から野菜や果物を送ってもらっています。でもフード・マイレージを考えて、これからはなるべく地元のものを食べようと思います」というものです。少々慌てて、以下のような内容のことを答えました。… 続きを読む

豊かな食の実現と市場経済

 勤労感謝の日の朝、冷たい雨が残るなか銀座へ向かいました。実は銀座は、これからの日本の食と農業にとって重要な役割を果たすことが期待されている場所です。

 銀座3丁目の紙パルプ会館では、恒例のファーム・エイド銀座2010が開催されました。そのキャッチフレーズは「あなたのおいしい!が日本の地域と食を元気にします!」。銀座の屋上でのミツバチ見学会(ご存知「銀パチ」)、全国各地から美味しいものが集まるプチマルシェ等と併せ、いくつかのフォーラムが開催されました。

 私が参加したのは、「いま、なぜ赤肉か!? ~短角和牛から考える食文化の創造~」。ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」の山本謙治氏を司会に、岩手県岩泉町の生産者・合砂哲夫氏、フレンチ・銀座KANSEIシェフの坂田幹靖氏、スローフードジャパン会長の若生裕俊氏、銀座社交料飲協会理事の白坂亜紀氏、そして農水省からは食料安全保障課・西経子補佐がパネリストとして参加。

ローカルフード

 土日と穏やかな週末でした。
 土曜の昼は、久しぶりに肉汁うどんを食べに行きました。多摩地方は水が少なく、米があまり獲れなかったため、食文化としては小麦地帯です。現在も、H市内には多くのうどん屋さんがあります。今回は、Kやさんにお邪魔しました。

 小さな店ですが、いつも混んでいます。メニューは基本的に1種類、肉汁うどんだけです。
 地粉を打ったうどんは、一般的な真っ白ではなく褐色がかっています。これがざるに盛られて出てくるのですが、サイズはLから5Lまでの中から選びます。2Lが普通サイズ位でしょうか。足らなければうどんだけ追加することもできます。また、お好みで天ぷらの掻き揚げと海苔をトッピングできます。
 このうどんを、熱い付け汁に浸して頂くのですが、だしのきいた付け汁の具は豚肉、ネギ、ほうれん草など。表面には脂の粒がきらきらと輝いています。これに薬味のワサビ、生姜、ゆずを入れ、さらに摺り胡麻を振ると、ぱっと食欲をもよおす香りが立ちます。… 続きを読む

シブヤの農業

 今日の午後は、渋谷区主催の環境講座にお招き頂きました(資料等は拙ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」をご覧下さい)。

 平日の午後早い時間にも関わらず、センター街からスペイン坂を歩いただけで、人の多さと喧騒に頭がくらくらとしてしまいました。シブヤは大都会・東京の代名詞であり、およそ農業とは無縁の場所です。正直、始まるまでは、ここでどうやって食べものや農業の話をすればいいんだろう、という不安で胸が一杯でした。
 しかし、約40名の参加者の皆さんを相手にお話しするうち、長時間の一方的な(しかも下手くそな)説明にも関わらず、参加者の皆さんが一所懸命聞いて下さっている熱意が伝わってきて、次第に不安は消えて行きました。真摯な質問も出され、終了後には何人もの方と名刺交換させて頂き、また、アンケートには、多くの方が自由記入欄にたくさんの感想を書いて頂いていることをみて、大変、心強く、有難く思った次第です。
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品川、渋谷、そして立川

 13日の土曜日は荏原文化センターへ。まっすぐ向かうなら、西武新宿線の高田馬場から山手線に乗り換え、五反田で池上線で荏原中延が最短ですが、せっかくなので(何がせっかくだか)、渋谷で東急東横線に乗り換え、自由が丘で大井町線、旗の台で池上線に乗り換えて行きました。あまり時間も変わらないのに、あまり馴染みのない東急に3路線も乗れてラッキーでした(乗り鉄かい)。でも池上線って、本当に3両編成なんだ。
 さて、14時からは品川区民大学入門講座「ほっとけない!環境のこと~自分の暮らしをチェンジする~」チラシ続きを読む

ぶらり北品川散歩

11月9日(火)、久しぶりに北品川商店街を訪れました。週末の土曜、品川区の依頼で市民講座で話をさせて頂くこととなっており、そのための直前の取材という意味もありました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/sinagawa1.pdf

仕事が終わってから向かったので、京急新馬場の駅に降り立ったのは19時過ぎ、日はとっぷりと暮れています。ちょっと心配しながら少し戻って右折し商店街を歩くと、最初のターゲットである甘味・伊勢屋さんは、まだ営業中。しかも、お目当ての品川カブ饅頭をゲットです。胡麻味と生姜味の2種類。帰宅してから頂きましたが、カブの実や葉っぱが練りこまれていて、さっぱりしていて美味でした。

 第2のターゲットに向かって山手通りを横断します。ところが、一度来たのですが洋菓子の孝庵さんが見つからない。スーパーの前で通行人のご夫婦にお聞きすると、親切にすぐ目の前だと教えて下さいました。残念ながらすでに閉店でした。9月に来た時は、寺島ナスと千寿ネギのケーキをゲットできましたが、念願の「蕪」はお預けです。
 北品川の商店街を北に戻ります。あちこちに週末の養願寺虚空像尊秋季大祭の幟。今週末はお祭りです。そして幟の下、あちらこちらにはプランターが。何とこれが品川カブです。… 続きを読む

秋晴れの週末

土日、秋晴れが続きました。3月まで住んでいた金沢の秋から冬にかけての気候とは大違いです。

猫の額ほどの市民農園、大幅に遅れていた秋の作業をしました。まず、最後までたくさんの実をつけてくれた茄子とピーマン、ししとうを処分。跡地を耕して肥料と石灰を施し、茎ブロッコリ、九条ねぎ、たまねぎ、にんにくの苗を植え付け。大根とほうれん草を播種。これらは時期が遅れているため、果たして発芽してくれるかどうか。
黒マルチを敷いてネットをかけました。いつもながら、あたかも不揃いな王蟲の行進。

蕎麦については、完全に実が十分に褐色になってから収穫という専門家からのアドバイスを受け、もうしばらく置いておくことにしました。でも、あまり実は入っていないようです。
蕎麦の隣では菊が満開、モンシロチョウやミツバチが集まっています。 … 続きを読む

文化の日に「あたり前の農業」について考えました。

 11月3日の文化の日、東京は秋晴れの一日でした。
 午前中、東京都下H市の自宅近くで借りているささやかな市民農園の片隅は、菊の花が満開になりました。

 茄子は実が小さくなり、そろそろ終わりです。週末には片づける予定です。夏から秋にかけ、たくさんの恵みを頂きました。
蕎麦はあまり実がついていません。
 今日は参加できませんでしたが、山梨県上野原市でのECOM「しごと塾」蕎麦収穫イベントはどうだったでしょうか。… 続きを読む

「日本が農業大国」なんて、とんでもない

最近、日本の食料や農業について様々な指摘がなされています。例えば「日本は世界第5位の農業大国」、「食料自給率は大嘘だらけで日本は最大の農産物輸入国ではない」、等々。多様な視点からの議論は重要ですが、これらをそのまま鵜呑みにすると誤解が生じることになります。

まず、単純に農林水産業生産額を比較すれば、日本は中国、インド、米国、ブラジルに次いで世界第5位になります。しかし、そもそもGDPでみて日本は米国に次ぐ世界第2位の経済大国です(中国に抜かれますが)。先進国の場合、GDPに占める農林水産業のシェアはおおむね1%前後ということからみても、5位というだけで農業大国というのは誤りです。ちなみに日本の農業生産額の30%強は畜産ですが、飼料の75%は輸入に依存しています。

別の見方をすれば、アメリカではGDPに占める農林漁業のシェアは0.9%ですが、それでも農業大国であることは間違いありません。多面的機能論を持ち出すまでもなく、表面的なGDPの大きさだけで、その産業の重要性を計ることの非合理性は、このことからも明らかです。

農産物輸入額については、日本は米国、ドイツ、英国、中国等よりも少ないのは事実です。しかし、他の国は輸入をしながら輸出もしている(例えば米国は747億ドルの農産物を輸入し927億ドルを輸出)のに対し、日本はほとんど輸出していません(輸入460億ドルに対し輸出23億ドル)。したがって、輸入額から輸出額を差し引いた純輸入額でみると、日本は断トツの一位となります。日本の農産物の貿易構造は、世界の中でも極めて特異な姿です。

その結果、食料自給率も低くなっています。日本の総合食料自給率はカロリーベースで40%、生産額ベースで70%でありも、農水省も両指標を併用しているのですが、低い方の数値だけが一人歩きしていると問題視する論調があります。生産額ベースについては、カロリーが少ない野菜等の生産を的確に把握できるというメリットがある一方、国民に対して安定的に食料(栄養)を供給するという安全保障の観点からは、輸入飼料等を勘案したカロリーベース自給率という指標も重要です。ちなみに国際的に一般に用いられている穀物自給率でみると、日本は28%とカロリーベースよりも小さくなります。これは飼料穀物を含んでいるためですが、主食用穀物に限っても61%と、世界の人口1億人以上の国(途上国を含む。)のほとんどが80%以上を確保していることと比べても低いと言わざるを得ません。 … 続きを読む

熊本での実践講座第3期がスタート

熊本市の熊本県立大学の教室を会場にお借りして、フード・マイレージ実践講座がスタートしました。熊本での開催は、これで3期目(3年目)です。かつて九州農政局に勤務していた際のご縁で、2年前、熊本市の一般消費者(主婦)の皆様の自主的な取組として、フード・マイレージをヒントに自分たちの食と農業、環境の問題を考えていこうという講座が初めて発足しました。その後、東京でも2年続けて開催しましたが、3年続けての開催は熊本が最初で、熊本の皆さんの環境問題への取組の熱心さがうかがえます。

今回の講座の参加者は、大学の先生、小学校の教員の方、保育園の栄養士・保育士の3名の皆さん、生協関係の主婦の方、そして若い野菜農家の方(唯一の男性)の7名です。2回にわたる講座の一日目は、フード・マイレージが必要とされる背景(食生活の変化、世界の食料事情と日本の食料自給率、食生活と地球環境との関わり等)、フード・マイレージの概念と計算方法等について説明し、意見交換しました。プロの教員でも研究者でもない私の4時間弱の拙い話に、熱心に耳を傾けて頂いた参加者の皆さんの熱意には、頭の下がる思いでした。

より豊かな未来の食を築いていくためには、行政や政治の取組も当然ながら必要ですが、結局は、一人ひとりの消費者の気付きと実践が決定的に重要です。私も一人の消費者として、参加者の皆さん、事務局(… 続きを読む