【豆知識】アフリカで高い飢餓人口割合

 前回は、FAO「世界の食糧安全保障と栄養の現状に関する白書」(2018年版)から飢餓人口の地域別推移を紹介しました。
 減少傾向で推移していた世界の飢餓人口は、近年、増加に転じており、2017年における世界の飢餓人口は8億2,080万人。飢餓人口はアジアで最も多いものの、増加の程度はアフリカで著しいことを紹介しました。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/05/167_kiga.pdf  

 世界人口に占める飢餓人口の割合(飢餓人口割合)も、同様に低下傾向で推移していましたが、やはり近年は上昇に転じています。
 リンク先の図168は、この飢餓人口割合の地域別の推移をみたものです。… 続きを読む

【豆知識】飢餓人口の地域別推移

新時代を迎えて世の中は祝賀ムードですが、あえて、現下の食をめぐる深刻な状況を紹介します(前回からの『飢饉』つながりです)。
 昨年(2018年)9月、国際連合の食糧農業機関(FAO)は、毎年恒例の「世界の食糧安全保障と栄養の現状に関する白書」の2018年版 (The State of … 続きを読む

【豆知識】過去の平均気温の推移と災異改元

前号では、平成までの246回の改元のうち、災害や飢饉など凶事を理由にした災異改元が4割以上を占めていることを紹介しました。
 それでは、災異改元が行われた年(あるいはその前年)は、実際に飢饉等が起こるような気象条件だったのでしょうか。

近年、樹木の年輪幅や湖沼の堆積物のデータ、あるいは古文書の記録等を用いて、過去の長期的な気温や降水量の推移を解明する「古気候復元」の研究が進展しています。
 総合地球環境科学研究所「気候適応史プロジェクト」もその一つで、同プロジェクトのウェブサイトでは、樹木の年輪幅から再現した西暦800年以降の夏季(6~8月)の平均気温のデータ(1961~90年の平均気温との偏差)が公開されています。

リンク先の図119の折れ線グラフは、このデータを図示したものです。ただし1514年まで(青)は東アジアの、1515年以降(緑)は東アジアのデータから抽出した日本の平均気温の推移を示しています。… 続きを読む

【豆知識】改元の回数と災異改元の割合


 新元号『令和』は、『大化』以来248番目の元号となります。来る5月1日(水)には皇太子殿下が即位され、247回目の改元が行われます。
 リンク先の図118の棒グラフは、平成までの改元の回数を50年ごとに図示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/04/118_gengou.pdf

明治時代に一世一元の制が採用されるまで、改元は比較的頻繁に行われていたことが分かります。1元号当たり平均の期間は5.3年に過ぎません。

改元の理由にはいくつかのタイプがありますが(「オーシャン・カレント」欄参照)、棒グラフのうち赤い部分が「災異改元」を表しています(注)。… 続きを読む

【豆知識】水産加工業者の東日本大震災からの復興状況

水産庁は、関係団体の協力を得て、青森、岩手、宮城、福島及び茨城の水産加工業者(814企業)における東日本大震災からの復興状況に関するアンケート調査を実施しました。今回で6回目となります。
 調査期間は2018年11月~2019年1月の間、回収率は21.6%です。

これによると、生産能力が8割以上回復した業者は5県全体で57%となっていますが、売上が8割以上回復した業者は全体で42%にとどまっています。
 依然として、生産能力の回復に比べ売上の回復が遅れていることが伺えます(リンク先参照)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/03/117_suisankakou.pdf続きを読む

【豆知識】福島・双葉郡の人口推移

間もなく東日本大震災から丸8年。この間、日本や被災地の人口はどのように推移しているでしょうか。
 リンク先の図115は、住民基本台帳に基づく人口の推移をみたものです(2010年3月=100)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/03/116_jinkou.pdf

これによると、日本全体の人口(日本人)は2018年には1.5%減少しているなかで、東京都は4%増加しています。同じ大都市圏でも、愛知県は1.1%増にとどまり、大阪府は0.6%減少していることと比べても、東京都の人口増は顕著です。

一方、東日本大震災で大きく被災した3県についてみると、宮城県は1.6%減と、日本平均とほぼ同様の減少率となっていますが、岩手県は6.5%減、福島県は7.1%減と、大きく減少しています。… 続きを読む

【豆知識】おにぎりとサンドイッチへの支出額の比較


 食の外部化・簡便化が進むなか、家計における調理食品(いわゆる「中食」)への支出額も増加しています。
 リンク先の図115は、調理食品の内、おにぎりとサンドイッチのへの支出が苦を年階級別、地域別に図示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/02/115_onigiri.pdf

これによると、2人以上世帯における1ヶ月のおにぎり(赤飯等を含む。)への支出額は4,500円と、サンドイッチ(ホットドッグ等を含む。)への支出額(5,353円)に対して84%となっています(2018年)。

この状況を都市階級別にみると、おにぎり、サンドイッチへの支出額ともに大都市から小都市・町村に向けて減少していますが、両者の差は次第に縮小することが分かります。… 続きを読む

【豆知識】食品ロスの発生場所

一昨日は節分、今年も残念なニュースが伝えられました。すっかり年中行事となった恵方巻ですが、今年も大量の売れ残りが出て廃棄されたというのです。今回は日本の食品ロスの現状について概観します。
 リンク先の図114は、食品廃棄物と食品ロスの発生量(2015年推計)を発生場所別にみたものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/02/114_loss.pdf

全体の長方形の面積が、日本における食品廃棄物の発生量を表しています。合計で2,842万トンとなっていますが、全体の約7割(1,653万トン)は食品製造業において発生していることが分かります。
 ただし、これはリサイクルされる有価物や食べられない部分も含んだ数値です。これらを除いた、本来食べられるのに捨てられている食品のことを「食品ロス」と呼びます。… 続きを読む

【豆知識】食事の楽しさと食行動との関連

食事の楽しさは、食に関わる行動と関連しています。
 山梨県都留市内の全公立小学校8校の小学校4・5・6年生児童及び全公立中学校3校の生徒を対象とした研究では、食事の楽しさ(いつも楽しく食事しているかどうか)と、食行動の有無との関連が明らかにされています。

これによると、ほぼ毎日、夕食を共食している児童・生徒のうち73.2%が「いつも楽しく食事している(○)」とし、26.7%が「そうでない(×)」(○-×のポイント差46.3)となっているのに対し、ほぼ毎日、夕食を共食していない児童・生徒では53.2%が○、46.8%が×(ポイント差6.5)となっています(リンク先の図113参照)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/01/113_tanosisa.pdf

また、食卓での会話については、ある児童・生徒はポイント差54.1に対して食卓での会話がない児童・生徒は26.3となっており、ほぼ毎日、食事作りを手伝う児童・生徒は47.5に対してそうではない児童・生徒は30.9等となっています。… 続きを読む

【豆知識】福島県を訪れる観光客数の推移

リンク先の図111 は、福島県内の観光地を訪れる観光客の人数(入込客数、宿泊客と日帰り客の計)の推移を示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/12/111_f_kanko.pdf

これによると、2005年以降、観光客数は緩やかに増加し、2010年には5,713万人となりましたが、東日本大震災の発生と東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響により、2011年には3,521人と4割近く減少しました。
 福島県では観光業も大きな打撃を受けたのです。… 続きを読む

【豆知識】現代高校生の朝ごはん

日本における米の消費量は長期的に減少を続けています。
 年間1人当たり消費量は、戦後のピークであった1962年の118kgから2018年には54.4kgと、半分以下になっています。全国ベースでみると、毎年8万トンずつ需要量が減少しているのです。

そのようななか、若い世代に「ご飯」回帰が進んでいる可能性を示す興味深い調査結果があります。
 農林中央金庫では、各世代を対象に食に関する調査を継続して実施していますが、2017年には高校生を対象に、“食”に関する意識と実態を探るための調査を実施しました。調査対象は東京近郊の400人(男女各200人)です。
 また、同様の調査は2006年、2012年にも実施されていることから、この間の意識の変化を探ることもできます。… 続きを読む

【豆知識】福島県における漁獲量の推移

福島県沖は、親潮と黒潮がぶつかる海域(潮目)であるため豊かな漁場が形成され、そこで獲れる海産物は“常磐もの”と呼ばれ、市場でも高い評価を受けていました。
 ところが、東日本大震災の津波により港湾が被災したことに加え、東京電力福島第一原発の事故により、福島県の漁獲量は大きく減少しています。

リンク先の図109の赤い折れ線グラフは、福島県における海面漁業の漁獲量の推移を示したものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/11/109_gyokaku.pdf

これによると、震災前の2010年には約7.9万トンあった漁獲量は2015年には約4.8万トンへと6割の水準にまで落ち込んでいることが分かります。 … 続きを読む

【豆知識】トーフ・マイレージ

地産地消は、食料の輸送距離を縮めることによって、その輸送に伴う環境負荷(CO2排出量)を削減することができる取組みですが、その削減効果は、フード・マイレージ指標(食料の輸送量×輸送距離)を用いることで簡単に定量的に計測することができます。
 リンク先の図表は、埼玉・小川町における豆腐についてのケーススタディ(トーフ・マイレージ)の結果です。

 フェスの会場(埼玉元気プラザ)で1丁の豆腐を作るものとします。
 1丁の豆腐には112gの原料大豆が必要ですが、地元(小川町下里)産の大豆を使用した場合(ケース1)の輸送距離は … 続きを読む