ぶらり北品川散歩

11月9日(火)、久しぶりに北品川商店街を訪れました。週末の土曜、品川区の依頼で市民講座で話をさせて頂くこととなっており、そのための直前の取材という意味もありました。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/sinagawa1.pdf

仕事が終わってから向かったので、京急新馬場の駅に降り立ったのは19時過ぎ、日はとっぷりと暮れています。ちょっと心配しながら少し戻って右折し商店街を歩くと、最初のターゲットである甘味・伊勢屋さんは、まだ営業中。しかも、お目当ての品川カブ饅頭をゲットです。胡麻味と生姜味の2種類。帰宅してから頂きましたが、カブの実や葉っぱが練りこまれていて、さっぱりしていて美味でした。

 第2のターゲットに向かって山手通りを横断します。ところが、一度来たのですが洋菓子の孝庵さんが見つからない。スーパーの前で通行人のご夫婦にお聞きすると、親切にすぐ目の前だと教えて下さいました。残念ながらすでに閉店でした。9月に来た時は、寺島ナスと千寿ネギのケーキをゲットできましたが、念願の「蕪」はお預けです。
 北品川の商店街を北に戻ります。あちこちに週末の養願寺虚空像尊秋季大祭の幟。今週末はお祭りです。そして幟の下、あちらこちらにはプランターが。何とこれが品川カブです。
 そうなんです。北品川商店街は、江戸東京野菜の一つである品川カブで地域おこしに取り組んでいるのです。
 そしてこの日の最終ターゲット、地域おこしの仕掛け人である大塚好雄さんの経営するマルダイ大塚好雄商店に着きました。
 覗くと、ご主人と奥さまは店じまいの最中。忙しいときに何とか間に合いました。店主の大塚さんは、町会長さんも兼ねておられ、品川カブを素材に、地域のお菓子屋さん、加工業者さんと連携して様々な特産品を開発されているほか、地域の小学校での食育の一貫としてのカブ栽培の指導等も行われています。東海道の宿場町であった品川宿の、歴史と伝統と食文化を象徴するのが品川カブなのです。
 この日の最大のお目当てである品川カブの本体と、有名になった漬物を大塚商店でゲットすることができました。
 品川カブの実物を見るのは初めてです。大根のような形をしています。葉っぱとともに煮つけにし、サラダでも頂きました。美味です。
 おりしも今日(10日)は、日比谷から霞が関、永田町にかけて、全国の農業団体、消費者団体等の方々3千人からなるTPP(環太平洋経済連携協定)反対集会が開催されました。ちょうど昼休み、全国から集まられた方々のシュプレヒコールを間近に聞くことができました。
 確かに日本の食料と農業は、色々な意味で危機的な状況にあります。生産額だけ取り上げて「世界第5位の農業大国」といった表面的な議論もされています(この問題点については、拙ウェブサイト「伏臥慢録」をご覧頂けると幸いです)。
 そのような中、東京のど真ん中の品川において行われている伝統野菜の復活・普及の取組は、一つの確実な方向性を示しているものと心強く感じています。