福島ひまわり里親プロジェクト

 福島県会津若松市の卸売市場会社、丸果会津株式会社代表の鈴木新さんの講演をお聴きしたのは、8月の初めのことでした。
 鈴木さんは、これまでも産直や東京圏での直接販売等を通じて、会津地方の地野菜(伝統野菜)等の普及に努められてきた方です。しかし、の講演では、今般の原発事故により、原発から遠く離れた会津地方においても、学校給食に地場野菜が使えなくなっているなど、厳しい現状についての報告がありました。事業者、生産者の方の無念は、想像するに余りあります。
 その鈴木さんに紹介頂いたのが「福島ひまわり里親プロジェクト」でした。
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 ひまわりは、土壌から放射性物質を吸収する植物として注目されており、福島では、復興のシンボルとしてひまわりを植えようという動きが拡がっています。このプロジェクトは、福島のひまわりの種を用い、里親になって全国各地でひまわりを栽培し、秋に種を採取して福島へ送っていただこうという取組です。
 ウェブサイトには、「日本中を福島発のひまわりで一杯にして、福島を忘れていないよと、日本中からひまわりのような元気を福島に送っていただければ嬉しく思います」との主催者の思いが綴られています。
 その里親に申し込んだのが8月の終わり、すぐに種が送られてきました。いくら温暖化が進んでいるといっても、いくらなんでも9月に入ってから植えたのでは遅すぎるとは思いつつ、借りている市民農園の一画に植えてみました。
 それから2週間、ここのところ残暑が続いているのが幸いしたのか、一斉に芽を出し、今のところ順調に育っています。
 果たして花を咲かせることができるか、さらには種を採って福島に遅れるか、はなはだ心許ない面はありますが、東京の片隅で福島のひまわりが育っていくのを、楽しみにしています。
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 なお、ひまわりが土壌の除染にどの程度の効果があるか、種を搾った油には放射性物質は移行しないとされているものの、搾りかすや茎や葉の処分をどうするか等、多くの課題が残されています(参考:チェルノブイリ救援・中部の見解)。また、本日公表された農林水産省による除染技術の実証試験結果においても、効果は小さいとの見解が示されたところです。
 それでも復興のシンボルというだけてはなく、除染の可能性がある取組は、できる限り試してみようという現地の方たちの気持ちは痛いほど理解できます。季節遅れのひまわりの生長力に、期待したいと思います。
 猫の額ほどの市民農園、ひまわりの隣には、山梨県上野原市西原(さいはら)から頂いてきた蕎麦の花が満開。昨年、実は採れなかったのですが、落ちた種が自然に生えてきたものです。
 さにに隣には、多摩地方から埼玉県にかけての伝統野菜、白茄子がまだまだ実をつけています。