南相馬市は被災真っただ中

 今日、神田駿河台の総評会館では「福島復興フォーラム」が開催されました。
 澤田清一さん(南相馬市農業委員会)、箱崎亮三さん(NPO実践まちづくり)など南相馬市の皆さんからの現地報告に続いての南相馬市長・桜井勝延さんの基調報告は、衝撃的なものでした。
 今般の大震災以降、「時の人」として各種マスコミ等で発言が取り上げられることも多い桜井市長ですが、ご本人の肉声による震災の発生当時から半年を経た現在までの南相馬市の現実についての報告は、表面的なマスコミ報道等では伺えない、深刻な内容でした。
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 3.11の震災発生時は市議会の最中で、庁舎外に避難してその場で災害対策本部を立ち上げたこと、ただちに防災無線等で津波の避難勧告を流したものの700名近くが犠牲となり、市の面積の1割に当たる41平方キロメートルが浸水したこと。当初は国からも東電からも情報や指示は無く、そのくせ東電職員とマスコミは早々に避難していたこと。そして現在まで、除染や仮設住宅の建設など復興についても、国や県の対応は全くお粗末なこと。
 現行の政治や行政のシステムの中で苦闘されている地元の首長さんだからこそ話すことができる、深刻な状況が、具体的に、改めて明らかになりました。
 東京に住んでいると、震災から半年が過ぎ、夏場の電力危機も無事に回避され、ともすれば震災は過去のことのように感じることもあります。「脱原発」を標榜していた政権も代わり、今日の大規模な原発集会とデモもNHKの7時のニュースでは取り上げられませんでした。
 しかし、桜井市長はじめ南相馬の皆さんから報告があったように、現場は被災真っただ中です。多くの人たちの避難は長期化し、先の見通しは質す。むしろ事態はますます深刻化、悪化していると言わざるを得ません。自治体職員の方たちにも健康被害が拡がっているそうです。
 フォーラムの最後には、会場の参加者から「東京に住む人間として何ができるか」との真摯な質問がありました。
 桜井市長の答「当面必要なものとしては体重計。仮設に移られた人たちの健康管理が心配。それと多くの企業が南相馬から撤退してしまった。いわば南相馬には新しい市場があると思って、新しい企業に来て頂きたい。その仲立ちをお願いしたい」。
 NPO民間稲作研究所の稲葉光圀さんからは、「ひまわりによる除染は、飯舘のような汚染が強い地域では割合としては小さいが、大豆・ひまわり・なたねの栽培は有効。油からはセシウムは検出されていない。ぜひ買い支えてほしい」。
 コーディネータの山田厚史さん(AERA編集部)がまとめられたように、みんなが同じことをする必要はありません。一人ひとりが、自分ができることを考え、判断し、行動していくということしかないのでしょう。
 私としては、6月末に訪れて自分の目で見た南相馬の光景と、その時にお会いした人たちのことは、忘れられるものではありません。
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 その時にお話を伺った消防団の方は、果樹園を経営されており、梨ができたら送って頂くようお願いしてあります。7月には早々に枇杷を送って頂きました。今は梨が届くのを楽しみに待つ日々です。
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