身近にある歴史との対話

 11月3日は文化の日。
 「しごと塾さいはら」の蕎麦刈りの日だったのですが、追い込みの仕事の疲労感が抜け切らず、遠出はパスすることに。
 その代わり、地元H市内を自転車で散策。
 曇り空で陽射しは乏しいものの寒くはありません。ここのところ季節外れに暖かい日が続いています。
 名作「隣のトトロ」の舞台にもなった八国山緑地や北山公園は、夏は菖蒲、秋はコスモスで有名ですが、今は緑は残っているものの寂しげな光景。学校農園の田んぼで刈られた稲が干されています。写真愛好家のカメラの先にはカワセミの姿も。
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 公園横の体験学習施設「八国山たいけんの里」は、縄文遺跡から発掘された漆製品の公開、縄文弓矢大会や火おこし体験など子どもたち等で賑わっています。
 ここで小腹が空いたので近くのうどん屋さんへ。
 ここは多摩地方の地粉うどんではなく讃岐うどんを手打ちで出してくれる店で、土日の夜は香川県期待の新品種小麦「さぬきの夢」を使うこだわりもあるそうです。
 この日頂いたのは「釜玉うどん」。
 釜からあげた熱々のうどんに雛鳥の卵を絡ませただけのもの。麺を1本啜ると、つるつると喉を越し、卵の甘い香りが鼻に抜けます。薬味の葱と生姜をのせた上から醤油を垂らし、後は一気に。
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 ちなみにこの辺りは、古くから鎌倉街道上道が通じ交通の要衝として栄えていました。久米川古戦場の舞台でもあります。元弘3(1333)年、数万の新田義貞勢は迎え撃つ鎌倉幕府軍を撃ち破り、その後、鎌倉北条政権は坂道を転げ落ちるように滅亡に向かいます。
 余談ながら、最大の功労者・義貞は後に足利尊氏と対立し追討され、越前で戦死します。以前、その墓所(福井県坂井市・称念寺)に参拝したことがありますが、訪れる人は多くない様子でした。
 さて、近くの正福寺・千体地蔵堂では、日は年に1度の「地蔵まつり」が開催されていました。
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 市内名店の屋台が並び、雅楽の演奏も。そしてこの日は、都内唯一の国宝木造建造物である地蔵堂の内部が公開されています。
 ボランティアガイドさんが詳しく説明をしてくれたところによると、正福寺は弘安元(1278)年の創建、現存する地蔵堂は応永14(1407)年の建立とのこと。
 大きな建物ではありませんが、入母屋造・こけら葺の屋根の鋭い反りが印象的で、裳階(もこし)、花頭窓、桟唐戸など禅宗様の工夫が凝らされています。
 内部は間仕切りのない土間の空間で、正面に本尊の地蔵菩薩像が、その両側の棚には多数の小像が安置されています。これらの小さなお地蔵様の多くは江戸時代のもので、祈願する人はお地蔵様を一体借りて持ち帰り、願いが成就すれば別に一体添えて奉納したものだそうです。
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 身近なご近所、足もとにも、様々な史跡や物語があります。
 この地で生きてきた多くの人達の思いの積み重ねを「歴史」と呼ぶのでしょう。大事にしたいものです。