地域からの潮流。 大阪、新座。

 11月25日(金)は大阪へ。
 東海道新幹線の車窓からは、冬晴れの空を背景に富士山がくっきり。新大阪から市営地下鉄とニュートラムを乗り継いで大阪南港ベイエリアへ。地下鉄の車中では、日曜に迫った知事・市長ダブル選挙の投票を促す車内放送。
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 この日、大阪環境産業振興センター(おおさかATCグリーンエコプラザ)主催のセミナー「フード・マイレージから日本の『食』を考える」が開催されました。
 まず「前座」の私からはフード・マイレージの概要について。指標としての限界や問題点を意識しつつも、世界で軌を一にした潮流(BUY LOCAL、スローフード、CSA、LOCAVORE等)が起きており、今後の循環型で持続可能な社会づくりに向けて考えるきっかけの一つとなるのではないか、という内容の説明。
 ご関心のある方は説明資料をご覧下さい。
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 続いて京都大学大学院教授の加賀爪優先生からは、「地球環境と食料貿易」と題するご講演。誠に時宜を得たテーマです。
 エコロジカル・フットプリントの考え方等を基に、貿易自由化が環境を悪化させる可能性について、また、地域貿易協定が途上国に及ぼす影響等について、理論的に整理して下さいました。肥料であるリン鉱石のフットプリント、工程間国際分業等の言葉も初めて知ることができました。最後には、日本の農業政策は、その保護のための論拠がころころと変わるなど「腰が据わっていない」とのご批判も。
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 さらに株式会社ビオ・マーケットの関信雄代表取締役からは、100%オーガニックを目指す企業の理念と「フードマイレージ・プロジェクト」への取組について。
 このプロジェクトは、2009年、大地を守る会、パルシステム、生活クラブ、グリーンコープが共同で立ち上げたもので、輸入依存度が高い大豆製品や畜産物等について、国産を選ぶことによってどの程度の輸送に伴うCO2が削減されるかを、分かりやすくpoco(ポコ)という単位でカタログや請求書に記載するという取組。私もオブザーバーとして事務局会議に参加しています。
 ビオ・マーケットが本年4月から参加することとなり、対象となる会員等は約200万人に及びます。「気軽に誰でもポコッと取り組めるように」との関代表の言葉は、このプロジェクトの本質と意義を表しています。
 約50人の参加者の皆さんは熱心に聞いて下さり、最後の質疑応答では活発な質問と意見が出されました。食べものと環境問題について、大阪の人たちの熱心さが感じられるセミナーでした。
 17時に終了して新大阪駅へ。
 いつも立ち寄る構内の立ち食いうどん屋さんで、いつものきつねうどん。熱々で透明なお出汁に甘辛さも控えめな揚げ。美味しいだけではなく、応対の手際の良さも気持ちよく、この店の魅力です。
 満足してホームを探検してみると、今年3月に開通した九州新幹線「さくら」の姿も。4列シートと木を多用した内装は快適そうです。
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 27日(日)も快適な晴れ。自転車で空掘川、柳瀬川沿いを埼玉県新座市まで。
 紅葉でも有名な平林寺の裏手には野火止用水の清流が流れ、遊歩道脇に蛍の飼育施設も。
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 この日、西分集会所では「わいがや勉強&交流会」が開催されました。
 代表の荻原洋志さんとは、あるセミナーの会場で名刺交換したことをきっかけに面識を頂き、この日の会合の案内を頂いていたものです。
 午前中は集会所の広間に座布団を並べ、NPO環境生態工学研究所理事長で東北大学教授の須藤隆一先生から、「東日本大災害からの復興に向けて-ガレキ対策と放射能汚染対策を中心に-」と題するご講演。
 自ら仙台近郊の自宅で被災された須藤先生は、ご自身の経験も踏まえつつ、豊富な写真を交えて、ガレキ対策を始めとする大震災がもたらした環境問題の深刻さについて、分かりやすく説明して下さいました。そして今後は、単に旧に復することではなく、東北の持続可能な社会づくりをしていくことが重要とのご主張が心に残りました。
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 さて、昼過ぎからは交流会です。
 地元の皆さんが、地場産の野菜等を使った様々な料理を出して下さいました。芋煮、ちゃんちゃん焼き、レバノンスープ(!)、ズワイガニ、ハヤトウリ(写真右)のヨーグルト和え、各種のお漬物等。豪華でボリュームもたっぷり。飲み物もたっぷり。
 100名近い参加者の皆さんは、埼玉県を中心に、NPO等で環境問題や地域づくりに活動されている方、民間会社の方、行政の方など多彩です。環境ネットワークの方など旧知の方も参加されていました。
 さらに、地元にある跡見学園女子大学「エコキャンパス研究会」の皆さんも多数が参加されており、料理の準備や後片付けも含め、大活躍でした。
 新座市は東京の通勤圏ですが、平地林や農地も多く残っている地域です。しかし新座の本当の強みは、そのような資源があることだけではなく、その資源を活かすために、子ども向けの環境教育など様々な活動をされている方がたくさんいらっしゃることです。
 環境問題の解決、持続的な社会づくり等と、言葉だけ言うのは簡単ですが、それを実現していくためには、地域における横に拡がった取組が不可欠です。ここ新座では、市民、教育機関、行政が連携したネットワークが確実に根付いていることが、実感された会合でした。
 ところで大阪では新しい地域政党がダブル圧勝。投票率も高く、社会の流れが変わりつつある予感が。一方、競馬のジャパンカップは日本の女王が復活、こちらは1年ぶりのリベンジ。